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インターン生がやってみた!社内報ロゴのデザインプロセス

はじめまして。ZENKIGENのデザインチームでインターンをしている定由と申します。大学ではデザインと全く関係のない学部に所属しており、デザインは専門スクールと独学にて学びました。ZENKIGENでは主に社外向けの広告やLP制作などのお手伝いをさせて頂いています。
今回は私も制作に携わりました、ZENKIGENの社内報である『THE ZEN』のロゴ制作についてご紹介したいと思います。企画段階から完成までのデザインプロセスについて、約4ヵ月の一連の流れをまとめていますので、ロゴ制作を検討されている方の参考として一助になれば幸いです。

1. 社内報『THE ZEN』について

今回ロゴを作成したのはZENKIGENの社内報『THE ZEN』です。従業員数の増加と共に生じたメンバー間のコミュニケーション不足を改善するため、昨年の7月に立ち上げられました。
詳しい経緯についてはこちらでもご紹介していますので、興味のある方はこちらもご覧下さい。

2. コンセプト設定『理想の社員像とは?』

『THE ZEN』ロゴの制作は昨年3月に行われたデザインチーム合宿からスタートしました。ここで行われたのがコンセプトの設定です。

ロゴデザインにおいては、ビジュアルデザインに入る前にデザインコンセプトを定義することが重要になります。何を目的として作成するのか、ロゴを通して誰に何を伝えたいのかなどを整理することで、ビジュアルだけではなく機能としても優れたロゴをデザインすることができるようになります。

今回の場合、作成するのは社内報のロゴ、メインターゲット(普段ロゴを目にする人)はZENKIGEN社員です。社内報の役割は社員同士のコミュニケーションを促進すること。メンバーの自己紹介や社内の出来事が共有される社内報は、ZENKIGEN社員とはどんな人間なのかを象徴する存在と言えます。
ゆえに社内報のロゴは、社員一人一人に共通する「ZENKIGENらしさ」が表現されていなければなりません。

それを実現するため、最初に『ZENKIGENにおける理想の社員像』とは何かを定義した上で、そこからコンセプトを導き出していくことにしました。

2-1. 現在の社員像を明確にする

『ZENKIGENにおける理想の社員像』を考えるにあたり、まずは現在の弊社社員のイメージを明確にしていきます。

最初にZENKIGENの社員と聞いて連想されるイメージ(情緒価値)を出し合った上で、それらに共通している要素(心理価値)をまとめてみます。情緒価値について考えてみると、「開拓者」「愛のある厳しさがある」「一生懸命」「仲間想い」「創造性に富んでいる」などなど、25個のイメージが挙げられました。
これらに共通する心理価値をまとめてみると、「挑戦」「元気」「誠実」といった7つのキーワードが出てきました。

次に、以上の心理価値を持つ人物とはどんな存在かを考えてみます。今回の場合、7つの価値を兼ね備えた存在とは、少年漫画の主人公みたく純粋で情熱的な存在、言わば『ピュアに挑戦し続ける駅伝部員』のような人物ではないかと考えました。
これで、『現在のZENKIGENの社員像』が明確になりました。

2-2. 現状を基に理想を考える

次に、理想の社員像の基盤となるZENKIGENのビジョンや行動指針を踏まえた上で、もう一度2-1の作業を振り返ってみます。

まずは情緒価値を確認します。弊社のビジョン等から逸脱している価値はないものの、「未来志向」や「透明感」など、不足している価値があるのでこれを追加します。また、例えば「十人十色」という要素は、ビジョン等を踏まえると「多様」という方が適しており、こうした「似ているがニュアンスが少し異なるもの」も修正していきます。

以上の調整が済んだら、今度は心理価値について考えてみましょう。先程の追加・修正を踏まえて改めて考えると、これまでになかった5つの価値があることが分かります。また、既存の要素についても、より適した表現に修正することができました。これが理想のZENKIGEN社員が持つ心理価値ということになります。

最後に、 アップデートした心理価値を基に改めて理想のZENKIGEN社員について考えました。これらの心理価値全てを兼ね備えたのはどんな存在か。最適な表現を模索した結果、理想のZENKIGEN社員とは
『ピュアで正直者。不屈の精神と情熱をうちに秘め、クリエイティビティを発揮して、活気ある社会を実現するキラキラ武士』
という表現でまとまりました。

何やら聞き慣れない「キラキラ武士」という言葉が出てきましたが、ここで言う「武士」とは世間的にイメージされる武士道とは少し違った意味があります。上下関係の厳しさや、失敗は切腹によって命で償うような厳格な存在というわけではなく、物事の道理を重んじた誠実さのある人間。どちらかと言えばサムライのような存在をイメージしてこの言葉を選びました。

2-3. 理想をより具体化する

遂に『理想のZENKIGEN社員』のイメージが固まったわけですが、「キラキラ武士」とだけ聞いてどんな人物かを連想するのは少し難しく、人によってイメージがバラバラになってしまいそうです。
そこで、具体的にキラキラ武士とはどんな存在なのかをより詳細に考えてみることにしました。

先程まとめた情緒価値や心理価値を基に、性格や見た目、行動などを具体化していきます。「常に未来を思考する」「ちょっと個性的だが洗練されているカジュアルなファッション」「目先の利益だけに囚われず“誠道な道”を貫く」などなど、キラキラ武士のイメージがだんだん明確になってきました。

2-4. トーン&マナーを決める

キラキラ武士のイメージが明確になり、コンセプトが固まりました。いよいよここからデザインに入るわけですが、果たしてキラキラ武士のイメージを伝えるにはどんな表現が適切なのでしょうか?ここからは最後の下準備として、キラキラ武士のイメージを表現する際のルールである「トーン&マナー」を決めていきます。

先程固まったキラキラ武士のイメージから、ビジュアライズするにあたって重要な要素を抜き出してみます。ここでは「クリエイティブ」「誠実」「挑戦」「ピュア」「調和」の5つを抽出しました。

次に、Pinterestなどを使って、クリエイティビティを感じるデザインや誠実さを感じるデザインにはどんなものがあるのか参考事例を収集します。そしてそれらの特徴や共通点をまとめておくことで、この後のデザイン制作において、どのような色やテイストにすれば良いかの指針ができ、今後の作業がスムーズに進みます。

これにて今回の社内報ロゴのコンセプトと、トーン&マナーが固まりました。これらを基に、いよいよデザイン制作に移っていきます。

3. ビジュアルをデザインする

以上の内容が決まったのが5月の冒頭。ここから約2ヶ月かけ、実際のデザイン制作を行いました。

まずはこれまでの内容を改めてチーム内で共有。コンセプトが明確になり、トーン&マナーも決まったことで、なんとなくのイメージやアイデアが膨らんできました。それらをラフスケッチとして書き出し、チーム全員で共有してみます。誠実さが強く出ているものやピュアな印象が強く出ているものなど、同じキラキラ武士でも様々なアイデアが生まれました。

チームで出たアイデア一覧

どの案も魅力的でしたが、今回はその中から3つをピックアップし、5つの要素が反映されるようにブラッシュアップしたものを本案の候補として作成しました。どの案もオリジナリティがありつつも、ZENKIGENの理想の社員像を反映させたものに仕上がりました。

1案目 : レター形式のデザイン

華奢なゴシック体の「THE ZEN」を貫く筆書き直線は、武士のようなストイックさ、誠実さを感じさせます。また、コントラストが強く、テイストの違う文字と線が交わることでクリエイティビティさを表現。さらに直線が中央を通ることで抜け感のある余白をつくり、透き通っているようなピュアさも反映させています。一見シンプルながらも、コンセプトが忠実に反映されたデザインです。「ZEN」をより強調させた派生案も作成しています。

2案目 : マーク形式のデザイン

円に入った直線的な斜めの斬り込みで、芯が通った不屈の精神を表現しています。円はZENKIGEN社員のつながりや調和を演出するだけでなく、禅を象徴する印でもあります。オリジナリティのあるダイナミックなタイポグラフィを用いて、スタイリッシュな印象に仕上げました。

加えて派生案として、円を筆で描き情熱を秘めた強さをより強調したバージョンも作成しています。

3案目 : シンボル形式のデザイン

こちらは筆者の定由が作成したデザイン。武士道らしい「家紋」のようなデザインです。ZENという文字を4つ組み合わせ、調和を表す円を表現しています。
禅を象徴する円は、古来より様々な形で描かれており、その描き方や解釈に正解はないとされているとのこと。ZENKIGENで働く社員それぞれが抱くビジョンやマインドが重なり、組み合わさることによって、多様性と調和を兼ね備えた1つの大きな円となって欲しいという願いを込めています。
さらに、風車のようにも見えることから、絶えず動き続ける可能性や挑戦心も感じられるデザインです。

また、派生案として、「THE ZEN」の文字を組み合わせて1つのオブジェクトとしたバージョンも作成しました。元の案と同じメッセージ性を込めつつ、それぞれの文字を線画の図のように組み合わせることで、若々しさを感じさせる抜け感をつくり、誠実さを感じさせるスタイリッシュなデザインになっています。

4. 提案 & 調整

遂にロゴの試作案が完成しました。ロゴカラーがまだ決まっていませんが、まずはプロポーションだけで判断してもらうため、ここまでの内容で一旦社内報チームの方々へ提案を行いました。それぞれ違った個性のある案でしたが、社内報チームの方々全員が満場一致で3案目のシンボル形式のデザインを選んで頂きました。

ただ、「現在のままだとカッコ良すぎるので、もう少し親しみやすさが欲しい」とのこと。しかし形は変わって欲しくない……ということだったので、この後選定するロゴカラーは親しみやすさを感じられるような配色を意識することにしました。

親しみやすさがありつつも、コンセプトから逸脱しないような配色を模索。なかなかバリエーションを出すのが難しい所ではありましたが、最終的には12個の案から選ばれた4つにブラック一色の単色バージョンを加えた5つの案で再度提案をさせて頂きました。

カラーバリエーション
  • 子供らしさや多様性が感じられるA案

  • 暖色が多く親しみやすさの強いB案

  • ブルー系統で統一し、誠実さやピュアさを感じられるC案

  • 明暗さや鮮やかさの異なる色を組み合わせ、クリエイティブでありつつ、ファッションブランドのようなカジュアルさがあるD案

それぞれに異なった方向性でコンセプトを反映させた組み合わせでしたが、やはり親しみやすさが刺さったようで、ニーズに一番合っていたB案が選ばれました。

5. リリース

プロジェクト開始から約4ヶ月、遂に社内報のロゴの完成です。
洗練された構成で誠実さと多様性、調和を感じさせつつ、配色からは親しみやすさとクリエイティビティが感じられる。デザインチームで考えたコンセプトと、社内報チームのニーズ双方を満たすデザインとなりました。リリースにあたってはサイト掲載時に「THE ZEN」の文字が目立つように文字の大きさや位置を調整しています。

時間をかけた分達成感があります

現在こちらのロゴは社内報サイトに掲載されている他、Slack用スタンプとしても活躍しています。

6. 制作してみての感想

ここまで一連のデザインプロセスをご紹介してきました。「理想の社員像」という抽象的だったイメージが徐々に明確になっていく過程、そしてそれがどのようにビジュアライズされていくのかをご覧頂けたのではないかと思います。

筆者の定由は個人制作を除けば今回が初めてのロゴデザインでしたが、制作において感じたのはやはり最初の準備段階の重要性です。
今回のプロジェクトでは約4ヶ月のうちの半分をコンセプト策定とトーン&マナーの設定に費やしていますが、それだけ時間をかけて理想の社員像を分析し、ZENKIGENらしさを詳細にしていったからこそ、コンセプトとしてしっかりとした基盤が出来上がったと感じています。

実際にデザインを進める中で迷ったり悩んだりすることは多々ありましたが、その際に立ち止まってコンセプトと照らし合わせることで、そのまま迷走することなく方向性を見出すことができました。ここまで詳細にコンセプトを突き詰めたことはこれまでありませんでしたが、その後の作業のスムーズさを踏まえると、やはり2ヶ月かけただけの価値は十二分に合ったように思います。
ロゴ制作に限らず、今後デザインをする際には改めてコンセプト設定を明確にしていきたいと思いました。

また、個人制作とは違い、チームで自分が考え付かなかったようなアイデアが出てくるのはチームでの制作の醍醐味だと感じました。アドバイスを頂ける機会も多く、個人制作よりも間違いなく良いものができたと感じます。立ち止まった時は、誰かに相談してみると、これまで気付かなかったものに気付けるかもしれません。

今回の記事が皆さんのデザイン制作の参考になれば幸いです。デザインチームでは今後もチームでの取り組みや実績など、様々なコンテンツを投稿していく予定ですので、気になる方は是非こちらの記事が収録されているマガジンやZENKIGEN公式noteをフォローしてみて下さい。

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