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『歴史の考察』

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#トインビー博士

「何もない」からこそ可能性がある!?

「何もない」からこそ可能性がある!?

『なぜ結局蛮族が境界線を突破することになったのか。文明度の高い社会と低い社会との間の境界線が前進を停止するときは、それで、はかりが安定した平衡状態に落ち着つのではなくて、時の経過にともない、発達のおくれた社会に有利な方向に傾くものであるからである。(「歴史の研究1」第1章 歴史研究の単位より A・J・トインビー著)』

当時、高度な文明を築いたローマ帝国。積極的な拡大路線をとらず、常備軍を作り、基

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発展するには、「創造力」が不可欠!?

発展するには、「創造力」が不可欠!?

『指導者として欠くことのできない創造力の萌芽をもっていた新しい政治勢力にの亡ぼされてしまった。(歴史の研究1 第2章文明の比較研究より A・J・トインビー著)』

何故、「創造力」が指導者、また経営者に必要なのか?

そこで思い出したのが、ドラッカー博士の『創造する経営者』の次の一文です。ご参考までにご紹介したいと思います。

『まさに重要で困難な問題があまりに多いからこそ、単純な中小企業であって

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より創造的であればある程自由度が増す?

より創造的であればある程自由度が増す?

『結局、指導者として欠くことのできない創造力の萌芽をもっていた新しい政治勢力に亡ぼされてしまった。「歴史の研究1」第二章 文明の比較研究より A・J・トインビー著』

1,「創造力」によって「指導力」が増す!?古代ローマ帝国同様、創造力がない国や組織は、「創造力の萌芽」を持っている勢力に亡ぼされてしまう。

「創造力」とは、新しいものを作り出せる能力、のこと。

『民衆(社員)に指導を与え、民衆(

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イノベーションとマーケティングの機能不全が組織衰退を招く

イノベーションとマーケティングの機能不全が組織衰退を招く

私は、古代ギリシアや古代ローマ帝国の時代も好きです。そんな私に、トインビーは「歴史の研究」でこんな言葉を投げかけました。

『われわれは、ローマ帝国の直前に動乱時代のあったことを知った。この動乱時代は少なくてもハンニバル戦争までさかのぼるものであって、この時期にはヘレニック社会(古代ギリシア・ローマ)はもはや創造的ではなくなり、実際、歴然と衰退の道を辿りつつあった。               こ

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大著「歴史の研究」私達の価値観や既成概念は、知らぬうちに条件づけされている。

大著「歴史の研究」私達の価値観や既成概念は、知らぬうちに条件づけされている。

今、私はA・J・トインビーの『歴史の研究』を読んでいます。

自称・読書家の私でも、読み込むのに大変骨が折れる一作です。
トインビー博士の長年の研究があればこその深い思索の末の一文一文となっています。

それを感じる度に背筋がゾクゾクしてします。

トインビー博士は、20世紀最高の歴史学者と言われています。

彼のことは、私が10代のときに、実母から聞きました。
そもそも歴史好きな私にしてみれば、

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前例がない時代を迎えるにあたり、前例がないことを目指した組織を考察!?

前例がない時代を迎えるにあたり、前例がないことを目指した組織を考察!?

『ただ単に、カルキスとコリントの歴史は、ある意味において正常であるが、これに反してスパルタとアテナイの歴史は、それぞれ方向は異なるが、正常な発展からそれていった、ということができるだけであって、どうしてそのような特別な発展をとげたか、という点は説明できなかった。(歴史の研究 第1章歴史研究の単位 A・J・トインビー著)』

「どうしてそのような特別な発展をとげたか」という疑問について、身近に感じら

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我々の視点・観点は条件付けされている

我々の視点・観点は条件付けされている

私が敬愛している1人でもあるアーノルド・J・トインビー博士。博士の著書『歴史の研究』を改めて読み返すことにしたので、その考察をとりまとめようと考えています。

『歴史を眺める際に、われわれはすべて、われわれの見地が、たまたまわれわれのおのおのが生まれた時代と場所によって、大部分決定されていることに気づく。人の見方は、要するに、特定の個人、特定の国民、特定の社会の見方がある。(「歴史の研究」日本語版

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「力の作用」が生む3つモデルとは!?

「力の作用」が生む3つモデルとは!?

1,同一の「力の作用」によって異なる結果を生む『アクトン卿は、「一般史は当然、一国民に限られたものではなく、もっと広汎な原因から力の作用に依存する。フランスにおける近代王権の出現は、英国における同種の運動と不可分な一体をなす。ブルボン王家とスチュアート王家とは、結果は異なるにせよ、同一の法則に従ったのである」と述べている。いいかえれば、議会制度は、なるほど英国に生じた局地的な結果ではあったけれども

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