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色白ゆうじろう(差掛篤)
2024年2月8日 21:49
A子はアパートで一人暮らしをしていた。浴室の天井には、蓋が閉まった四角い点検口がついていた。風が強い日のことである。A子が入浴している時、ふと見上げると点検口の蓋がずれて開いていた。蓋に触った記憶のないA子は、何者かが家に侵入したと思った。風呂から飛び出すと彼氏に連絡した。すぐに彼氏が駆けつけると、蓋を元の位置に戻し、「見てて」と言った。彼氏は玄関ドアを勢いよく開けた。すると強い風
2023年12月18日 20:28
A子さんは、親友のB子さんを家に招き、お泊り会をした。夜遅くまでお酒とお菓子を片手に仕事の愚痴や恋バナをして楽しい時間を過ごした。それから「写真撮ろうよ」とお泊まりの記念撮影会となった。A子さんは自分のスマートフォンを使って、B子さんと写真を撮った。翌日B子さんが帰宅してから、A子さんは撮影した写真を見ていた。すると、二人で映った写真の一つに、妙なものが写り込んでいた。黒い
2023年12月17日 20:35
高校生A君は、友人のB君とC君三人で「心霊写真」を取りに行くことにした。 町には、いわくつきの電話ボックスがあって、その中に入って写真を撮ると「何かが写る」と学校の間では噂になっていた。 三人は遊び半分で、夜中にその電話ボックスにやってきた。 夜の郊外に、ぼんやりとした光を放つ電話ボックスがぽつんとある。 言い出しっぺでもあるC君が電話ボックスに入り、B君が「霊が写りやすそう」と用
2023年12月16日 20:33
Wさんは「ミニチュア風写真」が趣味だった。風景や街並みの写真を撮影し、編集ソフトを使って可愛らしいミニチュア風景に仕上げるのである。ある日Wさんは、小高い丘に登って町の風景を撮影した。住宅街やアパート、公園がある代り映えのない風景だった。町はいつものように静かで平和そうだった。写真を撮り終えると、Wさんは編集ソフトでミニチュア風に加工した。可愛らしく仕上がった。ただ、な
2023年10月9日 20:58
とある小学生から聞いた話である。彼の小学校は創立100周年を越える歴史ある小学校だ。敷地には、「二宮金次郎」の像がある。二宮金次郎像の周りにはきれいな花壇があって、一面花畑になるそうだ。二宮金次郎と言えば、学校怪談の鉄板だ。私が子どもの頃も映画「学校の怪談」で出てきたし、古典的テーマと言ってもいいだろう。だが、その二宮金次郎像自体には何もないらしい。二宮金次郎像を囲む花
2023年10月9日 00:01
D子さんは農業関連団体に勤めていたことがあった。彼女が仕事である農家を訪ねた時の事。商談が終わる頃には、辺りは暗くなっていた。周囲は山に囲まれ、田畑があるのみである。民家は点々として、人通りも少ない。農家の主人は言った。「大通りの道路から出て帰るといい。近道になるけど、湖の周りを走るのはやめときいよ」主人の言うように、帰り道は遠いけれど大通りの整備された車道と、近道だが
2023年10月3日 11:40
E子さんが住んでいた町に、道路が何個も交差している歪な交差点があった。その交差点の角には、大きな二階建ての家があった。現在は「売家」の看板が立てられ、だれも住んでいない。交差点のすぐそばにあるので、付近を歩く人には必ず目につく。付近の中学への通学路でもあるかつてその家には、E子さんの同級生Xさんが住んでいた。彼女は、引っ込み思案で人見知りの子だった。さらには、宗教か研究
2023年10月2日 10:06
情報提供者 男性30代 会社員とある街に小高い山があった。自然公園であり、市の観光スポットもあった。花の展示イベントなんか良くやっていたと思う。山の頂上に駐車場があって、そこから夜景を見ることができた。カップルにはすごく人気だった。昭和の頃は山に入るのも有料だった。頂上手前に料金所があり、お金を払わないと駐車場には行けなかった。だが、平成ヒトケタのうちに入場料制度はな
2023年9月23日 23:16
私の親戚には看護師がいる。彼女は町病院の看護師だ。小さな病院で、手術台などはなく、入院の受け入れもない。診察室と繋がった小さな処置室があり、点滴用のベッドが4つある。朝は8時30分から診療時間となり、昼14時に一旦診察時間は終わる。職員たちはその時間から休憩となり、午後からの診療に備え、点滴用ベッドに替えの毛布を敷き、しばし仮眠をとる。医師や仮眠をとらない職員は午後の診療開始
2023年9月24日 23:07
ある知人女性の話。彼女が小学5年生の頃だった。彼女は個人経営の自宅兼学習塾に通っていた。塾が終わると午後九時ほどで、母親が迎えに来ていた。辺りは閑静な住宅街で、夜になると人通りもほぼない。そんな中、塾生たちは皆帰り、自分の母親と塾の先生が戸外で立ち話をしていた。夜も遅いので母親と塾の先生の他だれもいない。彼女が大人たちの立ち話に退屈していた時だった。突然子どもの声で、わ