マガジンのカバー画像

蟻を見つめていた頃

79
20年前に書いたエッセイ。一部加筆修正。 ★は2017年以降、新たに書き下ろしたエッセイ。
運営しているクリエイター

2017年12月の記事一覧

★慇懃無礼(いんぎんぶれい)

★慇懃無礼(いんぎんぶれい)

 慇懃無礼とは、言葉や態度などが丁寧すぎて、かえって無礼であるさま。あまりに丁寧すぎると、かえって嫌味で誠意が感じられなくなるさま。また、表面の態度はきわめて礼儀正しく丁寧だが、実は尊大で相手を見下げているさま。

 私は約30年教師をしている。学校で働いている限り、あまり、慇懃無礼な人物に出会ったことがない。しかし、役所で働いたとき、あるいは、役所の人間と関わるときに、慇懃無礼な人物に遭遇する確

もっとみる
★次元上昇を阻むもの

★次元上昇を阻むもの

 本田健さんのセミナーに行ってきた。今回で三回目。テーマは「次元上昇」について。

 社会で成功を収めている人は、それまでの人生で何度か次元上昇を体験している。次元上昇とは今まで生活していたレベルから一つ上のステージへ引き上げられる現象である。日本の平均サラリーマンの生涯年収は2億円程度と言われている。それ以上の収入を望むなら、"普通”の生活をしていては難しい。

 次元上昇に伴い、物事の考え方が

もっとみる
★「以心伝心」神話

★「以心伝心」神話

 「以心伝心」という四字熟語がある。中学校の国語資料集に掲載されていて覚えたという方が多いのではないだろうか。「人は、親しい関係になれば、言葉にしなくても気持ちが伝わる」という意味である。

 「察する」「慮る」という言葉がある。「相手の行動などの様子を見て、気持ちを忖度する」という意味である。「以心伝心」と「察する」力があれば、最高の人間関係が築けるような気がする。間違いない。

 しかし、現実

もっとみる
★道徳専門教師

★道徳専門教師

 区の道徳教育の研究会に参加した。

 私は、以前から道徳の時間の指導が大切だと思い、個人的に研究している。平成20年度には東京都教員研究生という制度を利用して、学校を離れ、東京都教職員研修センターに勤務しながら道徳指導の研究をした。研究テーマは「対話を重視した道徳指導の工夫-互いを尊重する豊かな話合い活動を通して-」

http://www.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.j

もっとみる
★人権感覚

★人権感覚

 12月4日から人権週間が始まった。教育界では「人権感覚」と言う言葉をよく耳にする。教師の「人権感覚」を高めるための研修が、東京都では、毎年2学期の終業式の後に行われている。

 「人権感覚」とは、人が生まれながらに持っている、何人からも侵されることのない「基本的人権」をきちんと理解し、様々な差別、例えば、女性蔑視、いじめ、障害者差別、外国人差別、最近ではLGBT差別、パワーハラスメント等、人権侵

もっとみる
★組織的に機能できない学校

★組織的に機能できない学校

 学校は長く鍋ぶた型組織であった。校長、教頭の二人の管理職以外は、教諭という一段階の職層しかなかった。結果、長くその学校に在籍したり、年長のベテランだったりする教諭が、校長以上の権力を握り、学校を牛耳ってしまうという悪習が常態化していた。私が着任した平成2年頃の盲学校では、一人の事務職員が、職員会議で、儀式で日の丸を掲揚するか否かで校長に私見を述べ、会議を紛糾させていた。

 今から10年程前から

もっとみる