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★組織的に機能できない学校

 学校は長く鍋ぶた型組織であった。校長、教頭の二人の管理職以外は、教諭という一段階の職層しかなかった。結果、長くその学校に在籍したり、年長のベテランだったりする教諭が、校長以上の権力を握り、学校を牛耳ってしまうという悪習が常態化していた。私が着任した平成2年頃の盲学校では、一人の事務職員が、職員会議で、儀式で日の丸を掲揚するか否かで校長に私見を述べ、会議を紛糾させていた。

 今から10年程前から、都教委は教諭の職層を三段階に分けることを始めた。主幹教諭、主任教諭という職層が新設された。学校必置主任である教務、生活指導、進路指導の各主任は主幹教諭(主幹教諭が不足の場合は主任教諭)が務める様になった。学年主任などその他の主任は主任教諭が担う。

 形式上は、校長→副校長(教頭)→主幹教諭→主任教諭→教諭と五段階の職層ができた。しかし、この職層は、お世辞にも機能しているとは言いがたい。

 私は、平成26年度、長期社会体験派遣研修生として、東武鉄道株式会社、鉄道事業本部、営業部、開発宣伝課で勤務した。東武鉄道本線、浅草から日光、鬼怒川を結んでいる東武鉄道本線を広告宣伝する部署である。課員は10名。課長→課長補佐(2名)→主任→課員という職層である。私は、駅の改札で販売する東武鉄道グッズの企画宣伝に携わった。商品のサンプルができると、まず、主任と課長補佐に見せて確認してもらう。問題点があれば差し戻され、業者と再検討。再度、提出となる。その後、課長レクがあり、それが通れば、課長から部長レクへと進む。課員がいきなり、課長に意見したり、ましてや部長に談判するなどありえない。因みに、二人のうち一人の課長補佐と課長は私よりも年下であった。

 さて、学校はというと。教諭や主任教諭が、主幹教諭、副校長を飛ばして,直接、校長に談版することは日常茶飯事。校長も、副校長、主幹教諭を飛ばして、担当者に直接指示を出す。結果、副校長や主幹教諭は、蚊帳の外に置かれ、事の次第はだいぶ後になって知ることになる。特に、私の身の回りでは、それが、生徒指導案件で顕著である。組織が全くと言って良いほど機能不全を起こしている。

 学校が組織化できない原因はどこにあるのか? 私は、大きな責任は、校長にあると考える。現在の校長は、長く鍋ぶた型学校組織で勤務してきた。主幹教諭、主任教諭が設置された組織は管理職になって初めて経験する。結果、組織の動かし方が分からないのである。また、教諭や主任教諭から頼りにされると嬉しくなって、直接アドバイスしたくなってしまうのではないかと思われる節もある。

 東京都の教育管理職は、長く、「挙手制」で選考されてきた。管理職になりたいと立候補した教員の中から選ばれているのである。しかし、昨今、管理職候補者選考受験者は激減し、倍率は一倍を切っている。能力が足りなくとも、意欲さえあれば管理職なれる時代である。結果、能力不足管理職が増殖し、浅薄な知識を振りかざし、学校現場を混乱に陥れているのである。私は、選考に合格したが、管理職との人間関係から、やり甲斐が見いだせないと感じ、候補者を辞退した。

 学校の組織化、適正化を図るには、管理職選考の抜本的改革が急務である。

学校教育には矛盾がいっぱい!