笹竜胆

中小規模の知的財産部に所属する知財担当者(弁理士、1級知的財産管理技能士)。 特許の権…

笹竜胆

中小規模の知的財産部に所属する知財担当者(弁理士、1級知的財産管理技能士)。 特許の権利化、商標、契約、渉外、著作権など、知財に関する業務を幅広く担当しています。 スキルの棚卸しと言語化を目的として、自身の考えやノウハウ、勉強したことなどを少しずつまとめていこうと思います。

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記事が少しずつ増えてきたので、検索性・一覧性の向上のために、記事の一覧(リンク付き)を作りました。 本記事は、新たな記事を投稿した際に、適宜アップデートしていきます。 知財担当者の仕事メモ(特許編)「発明者」になる人/ならない人|発明者の認定 派遣社員が発明者に含まれる場合の手続きと留意点|派遣社員による発明 共同研究から生じた発明は共同出願しなければならない!?|出願人の確認 共同研究の成果を自社単独で特許出願する際の留意点|単独発明の確認 拒絶理由通知の応答期間

    • 知的財産権の帰属条項に関する考え方|発明等の帰属

      知財担当者が契約書レビューの際に一番気をつけているポイントは、知的財産権(発明等)の帰属に関する規定のチェックではないでしょうか。 ここでは、秘密保持契約や共同研究契約などにおける知的財産権の帰属の考え方をまとめておきます。 なお、本記事は、ファーストドラフトが相手方から送られてきた場合を想定して執筆しています。当社側からファーストドラフトを提示する場合には、この考え方を参考にしながら、今回の案件にとって最適なパターンを選択することになります(それぞれに応じた雛形が用意され

      • 「01.02.2024」っていつのこと!?|英米の日付表記

        アメリカと欧州の日付表記の違いに、迷うことはありませんか? 普段から外国案件をやっている方にとっては常識だと思いますが、当社では外国案件は非常に限られているため、中間対応時の庁期限を確認する際などに「あれ、どっちだっけ?」といつも混同してしまいます。13日以降の日付なら、迷わなくて済むのですが…。 調べる手間を軽減するために、ここにメモしておきます。 アメリカアメリカ表記では「mm. dd. yyyy」。 つまり、「01. 02. 2024」ならば、2024年1月2日です。

        • 契約書レビューの留意点|秘密保持契約

          ビジネスを始める前段階などで、秘密保持契約(Non-Disclosure Agreement を略して「NDA」と呼ばれることもあります)を締結することが多くあると思います。ここでは、秘密保持契約書をレビューする際の注意点をまとめておきます。 工業所有権情報・研修館(INPIT)のWebサイト「知っておきたい知的財産契約の基礎知識について」内には、双方開示の場合のサンプルである「(8)秘密保持契約書1」や、一方開示の場合のサンプルである「(9)秘密保持契約書2」などが用意さ

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          共同研究から生じた発明は共同出願しなければならない!?|出願人の確認

          発明提案を受けた際に、発明者から「これは共同研究に関連する発明なので、相手方との共同出願になります」と言われることがありますが、「共同研究に関連している=共同出願になる」と無意識に思ってしまうのは良くないと思っています。 もし、ここで「相手方の貢献はほとんどないのですが、共同出願にしないといけませんかね…」なんて言われれば、当社の単独出願にできるかもと気づくことができますが、発明者が自発的にこういった情報を出してくれるケースは少ないです。むしろ、知財担当者のほうから聞き出す

          共同研究から生じた発明は共同出願しなければならない!?|出願人の確認

          拒絶理由通知の応答期間は延長できます

          拒絶理由通知に対する応答は、指定された期限(いわゆる庁期限)までに対応しなければなりません。 しかし、庁期限に間に合わない場合には、応答期間の延長が認められます。できるだけ期限内に対応したいところではありますが、急病や案件が重なってしまったりと、万が一という場合もあるので、知っておいて損はないと思いますので、延長対応についてまとめておきます。 なお、出願人が国内居住者の場合と在外者の場合では、手続きや対応がやや異なるようですが、ここでは国内居住者の場合だけを取り扱います。

          拒絶理由通知の応答期間は延長できます

          【Memo】契約用語集

          契約書に用いられる用語(法律用語)では、似た意味ながら使い分けられているものがあります。 よくわからなくなるので、ここにまとめておきます。 <適宜、追加していきます。> その他/その他のその他 「A、Bその他C」というときには、A・B・Cの3つは並列関係にある(A・BとCは対等な関係)。  例:「りんご、みかんその他ブドウ」 その他の 「A、Bその他のX」というときには、A・BがXに包含される関係にある(XはA・Bの上位概念)。Xの例示がA・Bということ。  例:「りんご

          【Memo】契約用語集

          契約書レビューの留意点|基本編

          「私の専門は知財です」という方でも、法務・知財兼任という形で、契約書のレビューを任されるケースがあるかと思います。あるいは、法務担当と知財担当が分離されている場合でも、知財に関する契約を任されるケースもあると思います。私自身は、後者のパターンで、(一部の)契約書レビューを担当するようになりました。 少しでも「知財担当なのに、契約書のレビューを依頼された!!(ドキドキ)」と思っている方の一助になればと思い、私が契約書をレビューする際に気を付けていることなどをまとめておきます。

          契約書レビューの留意点|基本編

          契約書レビューの留意点|特許共同出願契約

          他者と共同出願する場合には、共同出願契約を締結します。ここでは、特許出願の共同出願契約書をレビューする際の注意点をまとめておきます(商標の場合は、共同出願とすることは多くないのではと思います)。 契約書の文言は、工業所有権情報・研修館(INPIT)のWebサイト「知っておきたい知的財産契約の基礎知識について」内で提示されている「(7)特許共同出願契約書」をベースにしています(これまでの経験を交えて、一部に改変を加えています)。 なお、各条項のコメント・解説は、あくまで一担当者

          契約書レビューの留意点|特許共同出願契約

          特許権の抵触判断 ②均等侵害(均等論)

          他者特許との抵触判断の場面において、均等侵害を検討する必要が生じることがあります。均等論に関する考え方をまとめておきます。 なお、侵害判断に関する基本編については、こちらをご参照ください。 均等侵害の概要均等侵害とは 特許発明の技術的範囲を、特許請求の範囲との文言的意味での同一ではなく、法的観点から同一とみることができる範囲まで拡張する概念。 趣旨 特許発明の実施に該当するためには、対象製品が特許発明の構成要件すべてを充足する必要があるところ、対象製品等と特許発明の

          特許権の抵触判断 ②均等侵害(均等論)

          特許権の抵触判断 ①基本編

          クリアランス調査(侵害予防調査)やSDI(Selective Dissemination of Information)などで抽出された他者特許について、抵触の判断をしなければならない場面があります。その場合の基本的な検討事項や考え方をまとめておきます。 以下の説明では、簡便のために、対象特許の特許権者を「原告」、被疑侵害者となる自社を「被告」としています。 特許権侵害とは正当な権原なき第三者が、業として他人の特許発明を実施すること(特許法68条) 原告が特許権者であるこ

          特許権の抵触判断 ①基本編

          商標の類否判断 ②商品・役務の類否

          自社で提供しようとする商品名・サービス名などについて、他者商標のチェックを依頼される場合があります。 商標の類否は、①商標(標章)の類否と、②商品・役務の類否の2つを判断する必要があります。本記事では、前記事に続いて、②商品・役務の類否に関する基本的な考え方をまとめておきます。 なお、①商標の類否については、こちらをご参照ください。 基本的な考え方商品・役務の類否判断は、2つの商品・役務に同一・類似の商標が使用された場合に、出所混同のおそれ(同一営業主の製造・販売に係る商

          商標の類否判断 ②商品・役務の類否

          商標の類否判断 ①商標の類否

          自社で提供しようとする商品名・サービス名などについて、他者商標のチェックを依頼される場合があります。 商標の類否は、①商標(標章)の類否と、②商品・役務の類否の2つを判断する必要があります。まずは、①商標の類否に関する基本的な考え方をまとめておきます。 基本的な考え方商標の類否判断は、2つの商標が同一・類似の商品に使用された場合に、出所混同が生じるか否かによって判断する。具体的には、商標の外観・観念・称呼等によって取引者・需要者に与える印象・記憶・連想等を総合して全体的に考

          商標の類否判断 ①商標の類否

          派遣社員が発明者に含まれる場合の手続きと留意点|派遣社員の発明

          派遣社員が発明に関与した場合には、正社員と同様に扱ってよいのでしょうか? 派遣社員による発明の取り扱いについて、まとめておきます。 職務発明該当性まずは、派遣社員による発明を、当社の職務発明として扱ってよいか否かが気になるところです。 この点については、派遣社員がなした発明であっても、当該発明が当社の業務としてなされた場合には、当社の正社員が発明した場合と同様に、職務発明に該当すると考えて差支えなさそうです。 権利承継について予約承継の可否 会社の就業規則等において、職

          派遣社員が発明者に含まれる場合の手続きと留意点|派遣社員の発明

          共同研究の成果を自社単独で特許出願する際の留意点|単独発明の確認

          他者(企業・大学等)と共同研究を実施する際には、共同研究契約などの契約において、発明等が生じた場合の取扱いが定められるのが一般的です。例えば、以下のような規定が設けられるのではないでしょうか。 ここで、共同研究を実施する中で、相手方の貢献なく発明が生じた場合には、この規定(具体的には第2項)に基づいて、自社の単独発明として単独出願することが考えられます。今回は、このように自社の単独発明として手続きを進める場合の留意点について、まとめておきます。 なお、以下ではすべて「共同研

          共同研究の成果を自社単独で特許出願する際の留意点|単独発明の確認

          令和5年不正競争防止法等の一部を改正する法律/法改正説明会

          本日、東京会場で開催された「令和5年 不正競争防止法等の一部を改正する法律 法改正説明会」に参加してきました。備忘録として、説明内容を簡単にまとめておきます。詳しい説明資料は、こちらでダウンロードできます。 (1)デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化コンセント制度の導入【商4条等】 ※2024/4/1施行 先行する登録商標の商標権者の同意(コンセント)があり、かつ、消費者(需要者)に混同が生じるおそれがない場合には、類似する商標であって

          令和5年不正競争防止法等の一部を改正する法律/法改正説明会