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おでん居酒屋に誘われる
「居酒屋におでんを食べに行こう」
その日の夜はおでんだった。それを食べながらのひと言。
「すすきのにある本当においしいおでん居酒屋、おれ知ってるんだ」
若いころによく通っていたらしい。そういえば彼はすすきのに住んでいたんだった。
いや、心の裏側見えすぎなんだけど。
たしかに煮込みは浅かったと思うよ。でもメインはおでんじゃないし。
付け合わせみたいな気持ちだったし。
仕事している途中で思いつい
「失望しました」と言われた男
年に1回あるか無いかの東京出張に駆り出された夫は、クライアントとの打ち合わせで「正直、失望しました」と言われたらしい。
相手がどんな気持ちでその言葉を使ったのかはわからないが――多分本当に心からがっかりしたからなのだろうけど、普通あんまり人にぶつけるような言葉ではない――、夫の気持ちにはがっつりと刺さったみたいだ。
そもそも夫はマネージャーという職にあり、クライアント業務を事業所内で円滑に回し
この春、中学生になった息子は
この春、息子が中学にあがった。
上の娘とは七つ齢が離れている。娘と夫に血のつながりはない。
だからこそ私と娘との関係は常に密だった。息子との関係が希薄だったわけではない。
でも、息子の右手に母親がいて左手に父親がいるとしても、娘にしてみれば左手に母親はいるけれど右手は宙ぶらりんの状態。
足りないものがあると思わせないように、時々両手を握ってやる必要があった。息子には肩車をしてくれる夫がいる。
一文字も書かずに二ヵ月が過ぎたその後
夫婦のことを書いてみよう。
14年目の結婚記念日に、そんな決意をしてから、一文字も書かずに二ヵ月が経過した。
記録しておこうといいながら、日々があまりに忙しくて――家事と育児とネトフリと食べ歩きと、卒業と入学とドライブとフォートナイトと、授業参観とPTAと読書と猫まみれで――、気づけばもうゴールデンウィークも直前。時間の使い方を本気で考えた方がいいかもしれない。
だからほとんど駆け足でこれまでを
離婚しようと思っていたのに、結婚14年目
いつだったか忘れてしまったけれど、コロナ禍のいつか、たしかに離婚の話し合いをした。
五十歳を見据えて、もうこの人とやっていくのは無理だと思った。辛くて苦しくて、この先の人生をそんな風に過ごすのは耐えられない。関係を再構築するために仕事を辞めて家に入る選択をしたのは、結局のところ誤りだった。この人は変わらない。四十代も半ばに差し掛かり、もう変わりようがないのだ。
結婚してから二度、大きな話し合い