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川柳句集『馬場にオムライス』11月20日東京 #文学フリマ の中身を紹介

東京文学フリマ35にて、ササキリユウイチの川柳句集『馬場にオムライス』を頒布します。価格2000円。その後、通販の予定あり。
ハードカバー製本。236ページ。17の章からなる、川柳375句。巻末にあとがきに代えた「後書きのための三十七のアフォリズム」、川柳作家の川合大祐さんによる解説「伝道の書に捧げる薔薇―『馬場にオムライス』解説」が付きます。また挟み込みの栞文に、劇作家の山本伊等さん、書評家の渡辺祐真(スケザネ)さん。
(本記事は10月29日執筆)

この句集のプレゼント企画の句会を11月3日締め切りでやっているので下記Google formよりどうぞ。

本誌の句、文章の一部を紹介

目次

いくつか本誌の中身を公開します。上は目次。
さて、まずは、巻頭作品「馬場にオムライス」より、1句

腐った喉でささやく馬場にオムライス

「網膜の虜」より、2句

元妻に畳のぶんだけ電話する
おい壁を拭け猛烈に拭け

「塩もみ」より、2句

ゴールテープの冗長な絵にソフィストを
arc cosin別の仕方で

「パピプペポ」より、2句

なみだ拭ってレクサプロ
陰嚢にグミはさみこむネルンスト

「いちめんのコンセント」「錆」「焦げてあぢさゐ」より、1句ずつ

いちめんのコンセントかなきさらぎは
お母さん巌をどうもありがとう
青筋を食う腹が減ったら

最後に「あなたがN歳までにやるべきこと」より、2句

記憶喪失vol.5004.jesus
マダガスカルの治安を乱すな

17の連作からなる本句集。東京文学フリマ(11月20日)に来られない方も、通販等でお買い求めください。それほど刷っていない上に、増刷の予定はありません。

あとがきに代えて「後書きのための三十七のアフォリズム」を書きました。川柳へ、アフォリズム形式で言及しています。ここでは、アフォリズム10、23、37を公開しましょう。

10 弁解の余地があるとき、われわれは弁解を恐れる。弁解の余地がないとき、われわれは弁解を恐れない。川柳に弁解の余地はない。作句による語の生産は特別な理由もなく中断させられるからである。故に、定型は脅迫ではない。

23 しばしば川柳が破局的な表現として納得されるのは、別の仕方でがあなたの気力を奪うからだ。

37 川柳はあなたを骨抜きにする。

川合大祐「伝道の書に捧げる薔薇―『馬場にオムライス』解説」は、1万字にわたる、本句集『馬場にオムライス』に真っ向から向き合った大作です。私はこの解説を読んで、川合さんが私の旧いともだちなのではないかと、人生のレベルで詳らかにされてしまったような気がしました。
一部を引用して、ほんの少しだけお見せします。

ササキリは徹底して汚穢を描くことに拘泥している。それはあるオブセッション、とさえ呼べる。しかしそこに汚さはない。 イノセンス、とさえわたしは書いた。

川合大祐「伝道の書に捧げる薔薇―『馬場にオムライス』解説」より

だからくりかえす、ササキリ句の汚穢に憎悪は存在しない。そしてそのために消すべき愛は、あやういアクロバットの上に立っている。
なんのためのアクロバットか?それはおそらく、愛と憎悪を同時に含み、また同時に含まないものをえがくためではなかったか。

川合大祐「伝道の書に捧げる薔薇―『馬場にオムライス』解説」より

…これくらいにしておきましょう。何卒、『馬場にオムライス』をよろしくお願いします。

(最後に自己紹介を)

柳論を書いたりしています。

川柳句会を主催して、毎月作品と(長大な)評を公開してます。(現代川柳の最新のムーブメントに原理的にはなります?)


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