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みんな間違える!未経験からのデザイナー転職方法

異業種からデザイナーを目指す人が増えています。そこで思うのは多くの人が就職の仕方を間違っている事です。
特に社会経験のある人は、一般企業と同じような感覚で就職活動をしてしまいます。そして、実力に関係なく100社に応募して書類がほぼ通らないという事態が起こります。
結果として就職できないから、未経験からフリーを目指すという人もいるようです。。

筆者は、毎月10人ぐらいのデザイナー志望の就職相談に乗っています。相談を受け始めて2年ぐらいですが、毎月数名の方から「就職できたどー」という連絡を頂いています。
また、デザイン制作会社、広告代理店、メーカーのインハウス、デザイン会社の経営などいくつかの立場で採用を担当してきました。そこで、これまで経験を元に「会社のタイプ選び」「応募の仕方」「会社の探し方」の3つのポイントで紹介したいと思います。

※筆者が分かるのは主に都市部の会社の状況です。地方ではまた事情が異なると思います。


直近の「就職できたどー」のTwitterでのコメント
※執筆は2022年11月

会社のタイプ選び:間違えると美大生でも就職できない。

まず、かなり多いのが会社のタイプ選びの間違いです。これを間違えると、上位美大の卒業生も就職に失敗します(実際にそれで就職を諦めていた相談者もいました)。
まず、それそれのタイプの特徴と、就職のポイントを押さえましょう。

WEBデザイン会社

若い頃からプロを目指して、その中でも選りすぐられた人が集まる所。そして、10人前後の少数精鋭の軍団が多いです。
BtoC中心、BtoB中心、マーケティング得意、コンサルティング系、上流から入って高いレベルのクリエイティブを作るクリエイティブブティックなど、多様な業態があります。
また、クオリティの評価が高い会社ほど、過酷な現場がまだ多いようです。

就職のポイント→未経験の場合もポートフォリオが整っていれば選考対象になれいます。ただ、どこも30歳以降に入るのは難しいです。


インハウスデザイナー

インハウスというのは、一般企業の中のデザイナーです。大きくは、SaaS系と事業会社に別れます。SaaS系は、クラウドのWEBサービスやアプリを手掛ける企業です。デザイン専業に採用基準は近いです。
対して、事業会社は飲食やアパレル、製造メーカーなど様々な一般企業です。自社のサイトや印刷物などのデザイン手掛けます。WEBだけでなく、グラフィックや映像編集など業務範囲が広めのところが多いです。ただ、デザイン専業の会社と比べてデザイナー少なく、デザインの勉強は独学になりがちです。

就職のポイント→事業会社のデザイナーは未経験でも比較的入りやすいです。年齢の要件も厳しくはないので30〜40歳でも就職は可能です。
また、社会経験を活かしやすいという面で、異業種からデザイナーになりやすい分野です。
※インハウスデザイナーというのは業界用語です。求人検索で使ってもほとんどヒットしないで注意ください。


グラフィックデザイン会社

マス広告ブランディングなどがメイン。普通の人がデザイン会社としてイメージするところです。ただ、業界がとても小さくなっています。上位美大の卒業生でも、なかなか入れない分野です。

就職のポイント→このタイプの会社はとても狭き門。現在は、異業種から入るのは相当難しいと思います。
ただ、他のデザイン会社を経験して、キャリアステップを踏めば到達できる場合もあります。


広告代理店

最近オリンピックなどでも話題の業界です。マス広告の制作なども多い業界の花形ですが、イメージよりもSPツールなどの地味な制作も多いです。
デザイナーも多数所属しています。ただ、手を動かしてデザインするよりもディレクターがメインになります。企画や管理業務がメインになる分野です。

就職のポイント→大手は中途採用は少ないです。中堅ぐらいからは中途採用はありますが、未経験の採用は極端に少ないと思います。


印刷会社

パンフレットやチラシなどの印刷物と併せて、デザインを手掛ける会社も多い分野です。大手印刷会社だと、プランニングから手掛けるところもあったりします。
ここもデザイナーが比較的多い業種です。

就職のポイント→データもらって印刷するだけのところから、広告代理店ばりに企画得意な所とかなり差が激しい分野です。どんな仕事をしているか、しっかり聞きましょう。



会社のタイプ選びの総論

これまでの相談で多かったのは、年齢や経歴から考えると狭すぎる門から入ろうとする人です。例えば、以下のような会社のタイプを考慮しない応募です。

・未経験だと老舗のグラフィックデザイン会社に入るのは無理。
・30歳以上で、デザイン専業の会社だと書類が通らない。


また、入りたい会社は普通人気があります。なので、デザイナーの就職では入りやすい所から始めて、徐々にキャリアステップを踏んでいくのがお勧めです。

応募の仕方:入り口を間違えるとすごい遠回り

一般的な企業の感覚やタイミングで応募すると、なかなか書類が通らない業界です。業界の癖を把握して応募すると、グッと転職活動がしやすくなります。

エージェントは未経験では使えない

一般職だと利用が常識の転職エージェント。これまでの経験から断言できますが、未経験者には不向きです。
デザイン系の会社は小さなところが多く、一人の採用で100万円以上の費用がかかるエージェントはあまり使いません。
また、クリエイティブ業界ではエージェントにデザイナーなどの現場経験者が少ないのが特徴です。キャリア指導などが出来る、シニアクラスの経験者になると皆無だと思います。
エージェントは業界や個別企業の事情には詳しいので、分かりやすい実績のある人には有用だと思います。


未経験求人だけに応募する

未経験求人は、元々少ない枠に応募者が殺到します。なので、なかなか書類が通らないことが多いです。これまでのアドバイスから、経験者求人にも応募することを薦めています。
一般企業の感覚だと、経験者のみって書いてるのに失礼じゃないかと思うそうです。
実はそうでもありません。募集側の事情ですが、経験者求人にしないと本当に何もやってない人が応募してきます。なので、経験者採用という壁を作ります。ただ、ポートフォリオが整っていれば未経験でも検討します。

※もちろん本当に経験者のみの場合の方が多いです。相応の実力ある人しか効かない方法なので留意ください。


デザイン会社は通年採用

一般企業だと、応募してないのに問い合わせると失礼という感覚があるようです。

ただ、デザイン会社は通年採用の会社も多いです。良い人がいれば、別に募集してなくても採用を検討します。なので、過去に応募歴のある会社や、ホームページで採用告知してない所に応募するのは何も問題ないです。


SESに応募すると携帯ショップに飛ばされる

「デザイン未経験者の応募歓迎、半年ぐらいの社内研修」という募集が結構あります。これは、SESなので応募してはいけないです。
SESは、経験を積んだ技術者を企業に派遣する業態です。ニーズがあるときだけに高度な技術リソースを使えるので、大企業を中心に活用されています。
ただ、デザインの分野では良い話は全く聞きません。デザイナーで採用されたのに、携帯ショップやコールセンターなど、まるで関係ない分野に派遣されるという報告が多数寄せられています。
デザインの仕事は自分で勉強して、出来るようになれば有るかもと言われるそうです。。

SESに関する被害報告

応募の仕方の結論

エージェントの利用や未経験のみへの応募など、一般企業の感覚だと普通のことが仇になることが多いです。あとSESには応募してはいけないです。

会社の探し方:間違えると見つからない?実は会社はたくさんある。

会社の探し方は、以前書いた「【成功者から聞いた】未経験デザイナーの仕事の探し方」で紹介してるのでそちらを参考ください。
デザイン会社は小さな組織が多く、普通の企業とは探し方が異なります。
求人媒体などを経由しないで、自分で探した会社に直接応募なども有効だったりします。
【注意】インハウスデザイナーは業界用語なので、求人検索ではあまり使えません。

転職成功者から聞いた、会社の探し方

最初から理想の会社を目指さない。

デザイナー目指す人ですごく多いのが、最初から理想の会社にこだわることです。
化粧品に関わるデザインをしたい!ブランディングやってるイケてる会社に入りたい!
ただ、当然ながら理想の会社は人気で狭き門だったりします。これに拘ることで、デザイナーになる機会を逸する人もいます。
なので、自分の実力と将来の目標から「キャリアステップ」を踏むのがおすすめです。やりたい仕事のため、何ステップで目標に辿り着けるが戦略を考えましょう。
これって、未経験者だけじゃなくデザインの分野では王道なんです。

総論:どうすれば就職の仕方を間違えないか?

常識にとらわれないのが、デザイナーの転職では大事だと思います。
一例ですが、履歴書や経歴書を自作することを薦めています。ただ、こういう方法は失礼じゃないかと躊躇する人が多いようです。
でも、コンビニフォーマットで自分の実力って表現できますか?
デザインは実力本位の業界です。実力を示すために、やたらダメなことはないんです。

それと、デザインと関係ない制作物でもどんどんポートフォリオに乗せるのは有効だったりします。しかし、デザインと関係ないの載せて良いのか迷う人も多いですね。ただ、作ることのモチベーションが高い人を評価する分野です。
イラストや木彫、立体造形や手品のネタなど、作ることへの意欲のを示すのは効果があります。

デザイナーはルールを作る仕事です。こういう、一般職との違いを意識して就職活動するのがオススメです。
相談受けた方で、実際に40代からデザイナーになってる人もいます。これまでの経験なども含めた「戦い方」を考えれば、努力次第で十分目標は叶うと思いますよ。


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