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牛乳由来のプロテインを選ぶ際に知っておくべき「種類の違い」

大豆由来の「ソイプロテイン」を除けば、オーソドックスな大抵のプロテインは「牛乳」が原材料となっています。

一方、原材料は同じ「牛乳」でも、「濃縮される蛋白質の種類」によって、あるいは「蛋白質を濃縮する製法の種類」によって、たくさんの種類に分かれています。初心者の場合、「どれを選べば良いのか」「何を基準にして選べば良いのか」という事が分からない人もいると思います。

そこで今回の記事では、「牛乳が原材料のプロテイン」から商品を選ぶ際に知っておくべき、「違い」についてまとめています。

尚、この記事では「牛乳が原材料のプロテイン」を主に扱います。牛乳以外については『プロテインを選ぶ際に知っておくべき「原材料による違い」』にまとめているので、そちらをご覧下さい。


★カゼインプロテインとホエイプロテイン

最初にも書いたように「原材料が牛乳のプロテイン(以下ミルクプロテイン)」には様々な種類があります。

まずミルクプロテインは「蛋白質の種類」によって、大きく2つの種類に分ける事ができます。それが「カゼインプロテイン」と「ホエイプロテイン」です。

以下ではそれぞれの特徴から解説していきます。

●カゼインプロテインの特徴

まずはカゼインプロテインの特徴についてです。

カゼインプロテインのメリット:牛乳由来のカゼインが原材料となっている。特に牛乳由来のカルシウムやラクトフェリンなど、様々な有効成分が残されており、それを摂取できる点がメリットとなる。

カゼインプロテインのデメリット:吸収が遅い。また乳糖が豊富なため、消化不良を起こす事がある(乳糖不耐症)。更に製法によっては脂肪も多少残る。その他、牛乳アレルギーが起こる事がある(乳糖不耐症とは別)。

このようにカゼインプロテインは「牛乳由来の有効成分を多く摂取できる」ので、その点はメリットになり得ます。

ただしカゼインプロテインは「吸収が遅い」という大きなデメリットがあります。「吸収が遅い」という事は「飲むタイミングを選ばない」という事でもあるので、目的によってはメリットになり得ますが、運動後の利用にはあまり適していません。

また牛乳由来の成分が多いという事は「乳糖が豊富」という事です。人によって消化不良を起こしやすく、下痢をする事があります。


●ホエイプロテインの特徴

続いてホエイプロテインの特徴についてです。

ホエイプロテインのメリット:牛乳由来のホエイ(乳清)が原材料。全体的には安価で吸収が良く、運動後の栄養摂取に適す。またカゼインプロテインほどではないが、製法によっては牛乳由来の有効成分も摂取できる。更に全体として乳糖不耐症も起こりにくく、蛋白質の比率も高い。一方、製法によっては牛乳由来の成分など不純物を可能な限り取り除き、より蛋白質に特化しているプロテインもある。

ホエイプロテインのデメリット:成分は製法によって大きく変わる。安価な製法の場合、カゼインプロテインほどではないが乳糖も少し残存する。そのため全体としては消化不良は起こりにくいが、起こる可能性はゼロではない。また牛乳由来の成分を取り除く製法では全体として高価になる。

ホエイプロテインの場合、このように「蛋白質を濃縮する方法によって、含まれている成分が大きく異なる」という点が特徴的です。すなわち「得られるメリット・デメリットも、その方法によって大きく異なる」事になります。

以下では製法それぞれの特徴についてまとめています。



・WPC(ホエイプロテイン・コンセントレート)

「WPC」はホエイを濾過して濃縮する「一般的な方法」で、カゼインプロテインほどではありませんが、「牛乳由来の成分をある程度残す事ができる」と言われています。

特に店頭で見かける安価なホエイプロテインは、大抵この製法で作られており、ホエイプロテインの中では「値段が最も安く」なっています。そのため初心者にはオススメのプロテインだと思います。

ただしカゼインプロテインほどではありませんが、WPCプロテインは「乳糖などの不純物も少し残ってしまう」ので、乳糖不耐症の人ではお腹が緩くなる事があります。もちろんホエイプロテインは「全体としては乳糖不耐症が起こりにくい」のですが、起こる可能性はゼロではないという事です。

またそうして不純物が残る事では「相対的に蛋白質の含有量や吸収率が下がる」事になります。よって蛋白質を摂取するためには、1回にそれなりの量を利用しなければならなくなりますが、そうすると乳糖の問題が大きくなってしまいます。


・WPI(ホエイプロテイン・アイソレート)

「WPI」はイオン交換を利用してホエイを分離する方法で、前述の「WPC」よりも効率良く蛋白質を抽出・濃縮する事ができると言われています。

そのためWPCよりも「牛乳由来の成分は取り除かれる」事になりますが、「蛋白質の含有量及び吸収率が、より高く」なっています。中には「90%以上」という非常に高い純度になる事もあります。それによって「乳糖の量も、より少なくなる」ため、消化不良も、より起こりにくくなっています。

一方、そのように牛乳由来の様々な成分は残りにくくなります(後からビタミンなどを添加している場合はある)。そのためWPIのホエイプロテインは「なるべく蛋白質だけを摂取したい人のためのプロテイン」という事が言えると思います。

尚、WPIはWPCよりもコストがかかるため、全体として値段も高くなります。ただし同じWPIでも、製法の精度によって値段は大きく変わります。品質の低いWPIの場合、WPC並に値段が安いものもありますが、高品質のWPIだと倍以上の値段がする事があります。


・CFM(クロスフロー・マイクロフィルトレーション)

この「CFM」は前述した「WPI」の中でも、特殊なフィルターを用いてホエイを濾過・分離する製法です。これを用いると、「一般的なWPIと同等の蛋白質の濃度」を維持しながらも、「牛乳由来の有効成分も残す事ができる」と言われています。

ただしカゼインプロテインやWPCプロテインほどではありませんが、「少なからず乳糖も残る」ので、それが原因で消化不良を起こす事があります。WPIのプロテインは全体として消化不良が起こりにくいのですが、起こる可能性はゼロではないという事です。

また高品質のWPIプロテインの場合、一般的なCFMプロテインよりも蛋白質の含有量及び吸収率が高いです。そのため高品質であれば、通常のWPIプロテインを選択した方が良い場合があります。

この他、CFMとWPCの値段を比べてみると、やはりCFMよりもWPCの方が値段は安いです。「手軽に利用できる」という点ではWPCの方が圧倒的に上なので、「CFMが一番優れている」とは必ずしも言えません。


・WPH(ホエイプロテイン・ハイドロライズド)

「WPH」は蛋白質を加水分解する事でペプチド化(蛋白質とアミノ酸の間の状態)しています。

蛋白質の含有量に関してはWPIの方が高い事が多い(前述のように製法による)のですが、WPHの方がより「人間の体が吸収しやすい形」になっており、吸収スピード及び吸収率をより高めていると言われています。そのため運動後はもちろん、運動前~運動中にも利用できるようです。

ただしWPHで作られたプロテインは、前述した製法の中で最もコストがかかるため、「値段はかなり高く」なります。それに加え、WPHのプロテインはそもそもその存在自体が珍しく、日本製は私が知る限り存在しないですし、海外でも限られたメーカーしか販売していません。「利用したい時に利用できない」という点は大きなデメリットになり得ます。

その他、消化・吸収があまりに速いために、人によっては「浸透圧性の下痢をする可能性」があります。これはBCAAやEAAで下痢をするのと同じ理由です。これらの理由により「WPHを利用したプロテインが最も良い」とは必ずしも言えません。


★結局どのプロテインを飲めば良いのか?

以上の違いを踏まえ、どのプロテインを選べば良いかについて考えてみると・・・

・乳糖不耐症がなく、安価なプロテインが良いなら「WPC」を選ぶ

・乳糖不耐症がなく、値段を気にしないなら「WPI」を選ぶ

・値段を気にせず、運動前にも利用したいなら「WPH」を選ぶ

・乳糖不耐症があり、値段を気にしないなら「高品質なWPI」、または「牛乳以外が原材料のプロテイン」を選ぶ

・乳糖不耐症または牛乳アレルギーがあり、安価が良いなら「ソイプロテイン」を選ぶ

という感じになります。選ぶ際に問題となるのは、やはり「乳糖」「アレルギー」「値段」です。

ホエイプロテインの中で最も安価で手軽なのは「WPC」です。しかし乳糖不耐症がある場合、このWPCプロテインは選べません。値段を気にしないのであれば、「高品質のWPI」を選ぶ事をオススメします。

もちろん高品質なWPIでも、乳糖不耐症が起こる可能性はゼロではありません。もしそれでも乳糖不耐症が起こるなら、無理をせずに「ソイプロテイン」を選ぶと良いでしょう。

尚、ソイプロテインは「吸収が遅い」というデメリットがあります。もしソイプロテインを利用する場合、例えば運動を行う1時間以上前に飲んでおき、運動中にはカーボドリンクを利用し、BCAAなど吸収の速いアミノ酸を摂取、運動後はグルタミンを摂取する・・・というようにするとマシになるかもしれません。まぁそれはそれでコストはかかりますが。



以上です。お役に立てれば幸いです。よろしければ「スキ」や「フォロー」をお願いします。次回は『個人的なプロテインの選び方とオススメのプロテイン』について紹介していきます。

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