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音楽と一緒に歩こう。

13時からの1時間が私の昼休み。
昼休みになると、まずスープジャーをそそくさと取り出す。
中身は野菜と肉入りのスープにオートミールと雑穀をぶち込んだドロッとした食べ物だ。
スープともお粥とも言いがたい、中途半端な食べ物である。

形容し難い食べ物ではあるが、味は別に悪くない。
私は16時間ぶりに胃に食べ物を入れ、一息つく。
歯を磨き、SNSをチェックすると、ウォーキングの準備をする。

ウォーキングの準備とは?
特に着替えたり、靴を履き替えたりするわけではない。
イヤホンをカバンから取り出し、スマートフォンに挿すだけ。
ただ、それだけ。

ウォーキングを始めてから、かれこれ1年くらいなるが、音楽を聴きながら歩き始めたのはつい最近だ。

最近は本当に便利だな、と思う。
アプリを入れて、お金さえ払えばサブスクで色んな音楽が聴ける。

そういえば、初めて音楽を持ち歩いたのはいつだろう。
カセットプレーヤーが私の初めてのポータブル音楽プレーヤーのような気がする。
レンタルのCDを録音したりしてたっけ。
MDプレーヤーを買ってもらった時は、感動した覚えがある。
カセットじゃなくて、MDとかめっちゃオシャレやん。

そんで、次はiPodかな?MP3やったっけ?
そのあとなぜか、CDプレーヤーに戻ったような。
でっかいヘッドホンつけて歩いてたっけ。

そして現在はスマートフォン。
CDだと好きな音楽しか聞かないけど、サブスクだと色んな曲が聞けるのがいい。
新しい発見があるし、面白い。
今はでっかいヘッドホンはやめて、普通にイヤホンをつけている。
ワイヤレスイヤホンを買ってはみたけど、充電するのをいつも忘れるので、結局ケーブル付きのイヤホンに定着した。
けど、特にウォーキングの時に音楽を聴いたりはしていなかった。
イヤホンをカバンから出したり、しまったりするのが面倒くさかったからだ。

けれども、ある日を境に音楽を聴き始めるようになる。
それは、今年の母の日の翌日からだ。

我が家の男どもは、誰も母の日には気づかない。
もしかしたら気づいているのかもしれないが、特に母の日に私を労わろうという空気は感じない。
どこもかしこも世間は母の日で溢れているというのに。

仕方ないので私は、いつも通りの日曜日を過ごした。
次男の誕生日が近かったので、メニューは次男のリクエストのピザとポテト。
ケーキは誕生ケーキ。
母の日感はこれっぽっちもない。
最後に痺れを切らした私は、今日は母の日でもありますからね!!とアピールして、「いつもありがとう」と強制的に言わせたのであった。

我が家でお祝いなどの音頭を取る役目は私だ。
そのため、私が祝われる番になると誰も音頭を取ることがない。
仕方がないので、ほとんどコールアンドレスポンス方式で、感謝や祝いの言葉をいただくようにしている。
「今日は母の日ー!!」「ありがとう!!」
「今日はおかんの誕生日!!」「おめでとう!!」
といった風だ。
全てはこちらからのリクエストに応答してもらう形である。

私はこんなにも皆を祝っているというのにと思うと、自分が不憫で仕方ない。
同じような不満を抱えているお母さんは多いのではないかと思う。
お祝い事に対する価値観が違うと言えばそれでおしまいだが、温度差というものは非情だ。

しかし、私はみんなのお祝いはするんだもん。
自分の祝い事は自分で祝うんだもん。ぐすん。

いつもと同じように母の日を自分で消化した次の日、仕事が終わって家に帰るとなんと長男からプレゼントが!!
開けてみるとイヤホンが!!
「お母さんは、ワイヤレス使わないんでしょ」って、しれっと渡された。
めっちゃクール!!かっこいい!!

やっさしー!!
めっちゃ嬉しい!!
はは、かんどう!!
泣かんやったけど。

とにかく、すごく嬉しかった。
感謝しろという圧に負けたのかもしれないが、何かしようと考えてくれて、お小遣いと時間を私のために割いてくれたのがとても嬉しい。

それから、私はウォーキングの時は必ず長男からのプレゼントつけるようになった。
ちょっとでも長く使いたいから、ウォーキングも捗る捗る。
これ、私の息子からのプレゼント!!って思いながら耳に挿す。

自然と姿勢も良くなって、幸せな気分で歩く昼休み。

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