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Grade 9: UN Concert Day

何度も言うけど私は昔からずっと「何も知らない子」を演じるのが得意だった。
本当は「いつもと違う何か」、「普通とは違う何か」を繊細に感じ取っていても100%自分の直感が正しいとわかるまでは「何も知らない」フリを常にしていた。

前回の投稿の「E君に見られてる気がする」のを先輩たちの話を聞いて気のせいにすることにしたのもそう。
ミドルスクールの時にCちゃんを巡ってトラブルが勃発してるのも純粋すぎて何も知らないフリをしたのもそう。

だけど本音は、E君が私に対して好意を寄せていることは一言を交わしたことがなくても私を見る視線で察していた。



時はUNコンサート当日。
母校は小さすぎて大きなイベントを開催するキャパシティがないので、現地の短大のホールを貸し切って行ってた。
学校に集合して現地に送迎してもらうか、現地集合するかの二択だった。
丸一日このイベントで潰れるので授業もなくてみんなそれが嬉しくてワイワイした雰囲気だったはず。
私は自宅から現地までが近かったので、自分の足で現地に向かった。

会場(短大)最寄の駅
Google Imagesより

この年は確か全通しのリハーサルを午前中に行ったので、ランチ休憩もコンサート前の晩ごはんもたぶん友達と一緒でめちゃくちゃ楽しかったし、普段見ることのできない民族衣装姿のクラスメイトや先輩たちを見れてワクワクしてた。はず。

同級生の日本人男子と女子で休憩時間におやつを買いに駅近の小売店に寄った。
多分もやしとかHageも居たような気がする。
私は、周りともシェアできるようにといちご味のポッキーを買ったのを覚えてる。

控室として案内されてた講義室では、パフォーマンスの出番順に並んで座ってた。
Japaneseチームは大トリだったから講義室の一番後ろの3列くらいを占拠してて、みんなリハーサルだったか本番に向けて法被や鉢巻を身につけてステージに出る準備をしたり、ひたすらふざけ合ったりして時間を潰してた。

講義室に戻ってきて、さーてポッキーたーべよっと!
と思って楽しみにしてたポッキーの箱を開けると、チョコがモロモロになっていて…賞味期限が切れてたのか、美味しいとは言えない味のポッキーになってしまってた。
悔しいのでこれはぜひ他の人にも味わってもらいたくて、同級生の男子に分け与えることにした。
一口食べたマッチョは「うえ。Sarry、これはダメだよ」
もやしは「これは絶対ダメっしょ、殺人的なお味がするね」(すごいいいそうな表現にしてみた。)

一本ずつあげるのが怠くなって、先輩たちにも声をかけた。

Kさんー!ポッキーあげる!
「え!Sarryちゃんとポッキーゲームできるの?!😙」
へへーいいから食べてー
「・・・」
変な味するでしょ??😊😊😊😊
「まさかSarryちゃんに騙される日が来るとはー!!」
ひひひっ😝

そんな様子を2学年上のYさんやBrowくんが苦笑いで見てたのを覚えてる。

ハイスクール全校生徒が同じ部屋にいるし、皆思い思いに過ごしているから周りの雑音が凄くて、名前を呼ばれてても聞こえづらかったのを覚えている。
私たちは半ば叫んで互いに話をしてたんじゃないかなぁ。

私の前には、Mario君とE君が座ってて、Mario君が唐突に「Sarryちゃん〜😏」と言って写真を撮ったか、撮るふりをしてE君のデジカメを構えてきて。戸惑いながらも近くに座ってた友達とポーズをとったような気もする。
E君は、もうやめてくださいよ〜〜みたいな感じで、Mario君からデジカメを奪い返そうとして二人がもみくちゃになってたのが面白かった。

人の好意を察するのが得意な私は(それがLikeでもLoveでも)、Mario君にもE君にも断られることはないだろうと確信を持って、残りのポッキーを箱ごと全て渡した。
「E君、Mario君、これあげるね」って。
Kさんたちほど絡みは全くない二人なので、それでも遠慮がちに。
もしかしたら「です、ます」言葉を使ってたかもしれない。

E君はおもいっきし照れながらも快く受け取ってくれて、E君たちの周りにいた人たちとポッキーを分け合ってたんだと思う。
後日だったか、その日のうちにE君から「なんかあのポッキー変な味したぞーw」と言われたのをなぜだか覚えてる。
それに対して私は、「知ってるよーだからあげたんだよっ😊」と無邪気に返したのもセットで。

当時のE君の笑顔や照れ笑いの顔は俳優の妻夫木聡くんのそれにすごく似てると思ってて。
この数ヶ月後に妻夫木くん主演の「オレンジデイズ」を観てそう思うようになるのだけど。
周りの誰からも同意を得られた試しがないから私が美化しすぎてるだけなのかな。

笑った時のくしゃっとした目元とか
顔のパーツが似てると初見で思った。
妻夫木君は今でも大好きな俳優

兎にも角にも私はE君のはじける笑顔が好きだったし、彼の周りにはいつもたくさんの人がいて、人気者なんだな、人を幸せにするんだなあと憧れでもあった。
そんな人から少なくとも嫌われてはないんだろうなと思えるのはどこか誇らしかった。


余談だけどUNでの出番直前、Japanグループの私たちは舞台袖で待機してた。
カーテンの隙間から、舞台上で寸劇をしてるEuropeグループの面白い演技をすげー!同級生の彼等、めちゃくちゃ上手じゃん!!なんていいながら観てた。

そしたら、私の真後ろでぴょこぴょこ飛び跳ねる人がいた。
E君だった。
E君はエイサーチームにいたので、黒の半袖Tシャツ、くるぶしまでまくったおそらくハイスクールの制服ズボンに赤い鉢巻を巻いてた。
私は制服のポロシャツの上に半被でかろうじて長袖だった。

UNコンサートでのJapanチームパフォーマンス終了直後の一幕
暗転後、全グループ集まってK君の提案で客席にむかってお辞儀。
すごい日本人らしくていいなあ.…と今思う。
私は前列の右から5番目、ど真ん中にN君。E君は一番後ろの右端

寒そうに、丸まりながらぴょこぴょこ飛び跳ねる姿を見て思わず私は「寒いね」って声をかけた。
そうしたら予想してなかったのか、「えっ??」「あ、う、うん☺️」
めちゃくちゃどぎまぎされながら大きく頷かれた。
その反応が面白くて、愛おしくて、あったかい気持ちになった。

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