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ぶっ飛んでて面白い「2時間サスペンスの世界」を語り尽くしてみた

家族との思い出の中で「楽しかった!」と言えるものは少ないのだけれど、その中で確実に、しかも今も「楽しい!」と言えるものがあります。

それが、2時間サスペンスを観ることです。


母との思い出が「2時間サスペンス」

母が好きなのです。

今は新作も、地上波での放送もめっきり減ってしまったけれど、私が中学生くらいのころは火曜日の夜、土曜日の夜などによく2時間サスペンスが放送されていたと思います。

妹はその時間に自室で漫画を読んだりゲームをしたりしていたけど、私は母と2時間サスペンスを観ることが多くありました。

「この人、絶対に怪しいよねえ」「あの俳優さんの演技って面白い」なんて言いながら、べたべたでどろどろした展開を観ていたものです。

ストーリーは違えど、似たような流れで展開される物語たち。

誰かが亡くなり、犯人を見つけるために奔走する主人公。

お決まりの役者さん、お決まりのセリフ、お決まりのエンディング。

私にはそれがとても居心地よく感じ、安心できたのかもしれません。

今でもしょっちゅう、2時間サスペンスを観ます。

なんだったら今も観ているくらい。

地上波での放送こそなくなってしまったものの、BSではほとんど毎日、2時間サスペンスの再放送が観られます。

いつだったか観たものばかりなのに、私にはそれがとても心地よく、癒されさえするのです。


なんでもありな2時間サスペンスの「面白ポイント」

2時間サスペンスは、面白いです。

とにかく、なんでもあり!だから。

「似たような流れで展開される物語」という軸はあるのですが、よくよく見てみるとツッコミたいところだらけなので、ここからは私が「2時間サスペンスって、これだから面白い」と感じるポイントをピックアップしていきたいと思います。


① 主人公の「職業」がぶっ飛んでいる

まず、主人公。

警察、監察官(警察の警察…みたいなものと認識しています)、お巡りさん、探偵…、この辺りならサスペンスの主人公として納得ですが、そうとは限らないのが2時間サスペンスの面白いところ。

弁護士、検事、ヤメ検(弁護士をやめて検事になった人のこと)…、こういった職業も、まだ主人公としてはアリでしょうか。(ちなみに医師免許を持つ検事、医師免許を持つ刑事、という設定もあります。)

監察医(死体の死因を調べる人)、刑務所内のお医者さん、鑑識さん、科捜研の人…こういった職業も2時間サスペンスの主人公の設定としてありますし、警察にかかわりのある仕事なので、主人公として頷けるかなあと思います。

お医者さん、看護師さん、救急救命士などの病院関係者、という設定も、人の死、つまり2時間サスペンスで軸になる「事件」に関わりやすいので、よくある設定です。

ではここから、ちょっとずつ「ん?」と感じるものを出していきましょう。

・元医者の風来坊

「鳩村周五郎シリーズ」の主人公は、神の手を持つ名医であるにも関わらず、ある事情から医療の世界から追放された医者、という設定。腐れ縁の刑事さんと共に、事件を解決していきます。
(余談ですが、ドラマの冒頭で必ず大きな事故が起き、複数の被害者が出て、その応急処置を神がかったスピードで行う、という鉄板の流れがあります。重傷者は近くの病院に運び、これまた神がかったスピードで手術を行う。ここまでが、このドラマの冒頭の鉄板です。)

・葬儀社の社長

私が好きな「赤い霊柩車」というシリーズでは、京都にある小さな主人公は葬儀社の社長さんです。事件を介して知り合った刑事さんと仲が良く、「名探偵」と呼ばれています。

・小説家

小説執筆のための取材先で事件に遭遇したり、執筆したミステリー小説がドラマ化する、となった時、同行したロケ先で事件に遭遇したりします。そして解決もします。2時間サスペンスといえば作家の山村美紗さんが有名なのですが、ドラマの主人公のモデルがその山村美紗さんと山村紅葉さん、というシリーズもあって、それも好きです。

・人類学者

骨のスペシャリストで、白骨化した骨の鑑定をする、という設定です。主演の女優は大塚寧々さん。「人は嘘をつくけど、骨は嘘をつかない」というセリフが必ず出てきます。骨や証拠などの「物」は嘘をつかないという言葉に「そうだよなあ…」と深くうなずいてしまう私が居ます。

・ルポライター

浅見光彦シリーズや、狩矢父娘(おやこ)シリーズでは、主人公は歴史雑誌やタウン誌のルポライターです。どちらのシリーズも好きですが、浅見光彦シリーズの主人公はルポライターであるものの、兄は刑事局長(国会で答弁したりする人)ということで、警察界隈で「名探偵」として有名、という設定です。狩矢父娘シリーズでは、主人公のお父さんが刑事さん。新しい方のシリーズだと必ず密室トリックが出てくるのですが、トリックがぶっ飛んでいて面白いです。

・タクシードライバー

私が好きなのは「タクシードライバーの推理日誌」。めちゃくちゃ好きです。「最初に乗ってきた美人のお客さんが犯人」という鉄板ルールがあるので、開始5分くらいで犯人が分かります。
ちなみに主人公は元刑事。捜査中に事件に関わっていた女性との偽りの関係を週刊誌に書かれ、刑事をやめ、離婚をし、今はタクシードライバーをしている、という設定です。必ず主人公の娘が犯人の勤め先でバイトをしています。必ず後輩刑事が勝手に家に入り込んで、主人公を起こし、朝食のめざしを奪っていきます。

・町の何でも屋さん

元犯罪者の方が社会復帰できるように、という思いで主人公のお父さんが立ち上げた町の何でも屋さんの社長が主人公です。会社には元スリや元金庫破りの達人、良かれと思って弁護士と嘘をついて働いていた人、元ヤクザ、というそうそうたるメンバーが勤めています。事件解決のためにスリや盗聴、金庫破りもしちゃいます。「犯罪じゃん!」と思いますが、こういう「なんでもあり!」が2時間サスペンスの面白いところ。

・その他にも「ぶっ飛び職業」がたくさん

その他にも、昼間は検事・夜は芸妓、写真家、不倫調査員、置屋の女将さん(舞妓さんたちが暮らす家の「おかあさん」)、万引きGメン、観光バスの添乗員さん、会計士、大学教授、旅館の女将さん、温泉旅館の立て直しをするコンサルタント、銀座のクラブのママ、古物商のおじいちゃんの孫、エステティシャン、スポーツジムのインストラクター、司法研修所の教官、駅の忘れ物係、ペンションのオーナーなどなど…。

とにかく主人公の職業が豊富で、「絶対事件に関係しないでしょ!」という職業がいっぱいあって面白いのです。


② 展開がぶっ飛んでいる

①でタクシードライバーが主人公のシリーズについて、さらっと、「『最初に乗ってきた美人のお客さんが犯人』という鉄板ルールがあるので、開始5分くらいで犯人が分かります。」ということを書きました。

私は2時間サスペンスとワカコ酒、孤独のグルメ以外のドラマは観ないので、他のドラマがどういう感じなのか分からないのですが、「開始5分で犯人が分かる」というのは、かなりぶっ飛んだ展開だと思っています。(その後1時間55分は続くのに…)

でも、2時間サスペンスってこういうこと、よくあるんです。

「そんなのありえないでしょ!?」と思うようなことがしょっちゅう起こるので、ここからは「2時間サスペンスのお決まり展開」の中から、「ん?」と感じるものをピックアップしていきましょう。

・探偵左文字シリーズの場合

必ず特殊メイクで事件関係者に変装するシーンがあります。
正直、「どう見ても怪しい…」という違和感のある特殊メイクです。
主人公は水谷豊さんなので、女性にも変装するけど声は水谷豊さんなので「絶対バレるでしょ!!」と思うのですが、バレません。絶対に。

・おとり捜査官・北見志保シリーズの場合

松下由樹さん主演の、大好きなシリーズ。
「私、おとりになります」が決め台詞。
おとり捜査をし、無事犯人逮捕!…と思いきや、逮捕した人は真犯人ではありません(別の犯罪は犯している)。
犯人逮捕で油断している隙に主人公は100%に真犯人に誘拐され、100%命の危機にさらされます。
ギリギリになって相棒が助けにしてくれる、という鉄板の流れ。

・狩矢父娘シリーズの場合

お父さんがずっと主人公であるルポライターの娘に「お前はいつになったら結婚するんだ!」と言っています。ずっと言ってます。
先ほどもチラッと触れましたが、昔のシリーズではそうではなかったのですが、最近のシリーズでは密室トリックが鉄板。
「家の中に鍵があるから密室…と思いきや、密室にはいる時、主人公たちが投げた穴の開いたブロックの中に家の鍵が入っていて密室成立」とか、「家の中に鍵があるから密室…と思いきや、猫用の小さな扉があって、そこから鍵を中に投げ入れたから密室成立」とか…「ええっ!?それでいいの?!」みたいなトリックが多いです。つい笑っちゃう。

・浅見光彦シリーズの場合

必ず助手ポジションでヒロインが出てきます(絶対フラれます)。
取材先で事件に巻き込まれ、主人公が最初に必ず疑われます。そして身元確認のために主人公の兄に電話すると、刑事局長でもある兄が電話に出るわけなので、警察の皆様、乱暴な態度を180度一変させます。「お兄様が刑事局長ならば、はじめからそう言ってくださればいいのに~」と必ず言われます。
そこからは主人公主体で捜査が進み、真犯人を突き止めるところまでいきますが、時々、真犯人が自殺してしまいます。
「私たち、これから警察に行きます」と言って真犯人が去る姿を主人公は見送るのですが、「翌朝、2人は水死体となって発見された」みたいなナレーションが入ることもしばしば。でも主人公は後悔する様子もなく「そうか…」みたいな感じで納得顔。
しかもそのあと自宅に帰ると「あなた、取材先で出会ったあのキレイな女性とはどうなったの?」と、日常会話をニコニコ交わして終わります。

・赤い霊柩車シリーズの場合

主人公の婚約者が東京から、主人公の住む京都へ遊びに来るタイミングで、必ず葬儀の依頼が入り、それが事件に発展していきます。
主人公が葬儀の準備を進めていると死体に違和感を覚えたり、警察から「死体に不審な点がある」と連絡があったりして、なかなか葬儀が進みません。
葬儀社には守銭奴のおじいちゃんがいて、「社長がしっかりしてくれいと!」といつもプリプリしています。いつもお饅頭とかを食べている事務員さんも居ます。この2人はギャグ要員です。
主人公は婚約者と一緒に事件を解決していきます。久しぶりに会えてもいつも事件の捜査をしている、不思議なカップルです。


③ 結末がぶっ飛んでる

どの2時間サスペンスにも共通して言えることなのですが、だいたいは笑顔で終わります。

人が1人なり2人なり3人なり死んでいるのに、最後は笑顔で、コメディのように軽やかに終わるんです。

主人公に恋人がいれば「私のことどう思ってるの~?」なんてラブラブして終わったりもするし、事件でいい人に出会ったのなら「今度お食事でも…」と誘ってフラれたりもします。

もちろんシリアスに終わるものも、事件の感想を言い合ってしみじみ終わるものもありますが、私が好きなのは「おしまい!ちゃんちゃん♪」と軽やかなリズムが聞こえてきそうな終わり方。

「今日も良い2サス(2時間サスペンスの略)だったな~」と思える終わり方で、ほっこりしてしまいます。(ちなみに京都が舞台のものだと、さらにテンション上がります。京都大好き。)


2時間サスペンスは「人生を楽しむための大切なアイテム」

新作を作っている時も、ブログを書いている時も、仕入れをしている時も…BGM代わりに2時間サスペンスを観ています。

それが「当たり前の落ち着く景色」であり、私の「やる気スイッチ」だからです。

幸い、BSでは朝の10時から夕方の4時くらいまでずっと2時間サスペンスの放送があって、好きなシリーズが放送されていることも多いので、作業のお供に困らない生活ができています。

私が特に好きなシリーズは「十津川警部シリーズ」「赤い霊柩車シリーズ」「タクシードライバーの推理日誌」など。

俳優さんだと渡瀬恒彦さん、片平なぎささん、高島礼子さん、遊井亮子さん、雛形あきこさん、国生さゆりさん、高畑淳子さんなどなど、沢山いらっしゃって書ききれません。

ちなみに「今日の2サスチェック」が朝のルーティンでもあります。

テレビ欄を見て「今日はこの流れで観ていこう」と決めてから作業を始めるくらい、2時間サスペンスが日常にあるのです。(今日は名取裕子さん主演の「葬儀屋松子の事件簿」、片岡鶴太郎さん主演の「終着駅シリーズ」が楽しみです。)

「今日も1日、楽しめそう」

そういう気持ちにさせてくれるのが、私にとっての2時間サスペンス。

母から受け取った、人生を楽しむための大切なアイテムです。


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