わたしを「趣味：戦略」に駆り立てた1冊：『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(1/6)【間違いだらけの読書備忘録(3)】
こんにちは、さらばです。
なんとここ2週間以上、自己紹介に類する記事しか書かなかったせいで、この「間違いだらけの読書備忘録」というテーマの記事はほとんど1ヶ月ぶりです。
しかもこれまで書いたのは「読書をする理由」「備忘録を書こうと思った理由」「書くスタンス」なので、実際に読書備忘録を書くのは今回が初めてです。
あ、もし前段にご興味のある方がいらっしゃいましたらこちらからどうぞ。
さて、1冊目として取り上げさせていただくのはこちらです。
楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』
師匠の教えを復習したい
これまでも何度か書いていますが、わたしには「経営と戦略」の師匠がいます。が、経営者でも戦略家でもないわたしは極めてできが悪く、なんとか教えを身に付けたいと四苦八苦しています。
そんな中、弟子仲間に教えてもらったのがこの本です。教え（の一部）を反復学習し、より細部を深く理解して実践につなげるには最適であると。
なるほど！ ということで早速購入しました。
それが1年以上前のことです。
……や、本当にくそみたいな話で恐縮ですけど、1年以上もの間本棚の片隅でインテリア化してました。いや、かなり分厚く風格のある背表紙ですからインテリアとしても非常に大きな効力を発揮していただいていることは間違いなく、そういう意味ではすでに楠木先生ありがとうございますという感じなのですが（やかましい）、500ページという見た目に気後れし、他のことに時間を使い続けて気付けば年月が経っていたというのが正直なところです。
読み終えて猛省しました。
これは今後の人生で何度も読み返すことになる1冊だと確信しましたし、もっと早く読むべきだったと。それこそ1年前ではなく、発刊された2010年に読めていたら……や、それだと多分読んでも価値に気付けず、やっぱりインテリアになっていた可能性が高いですが、そう思うくらいずしんと腹に来ました。
そもそもマイナーな本ではないのです。Amazonでこの本を検索すると、「30万部突破のロングセラー！」とあります。
わたしは出版に詳しいわけではありませんが、ビジネス書、それも競争戦略の本で30万部というのがかなり稀有だというのは解ります（しかも3,000円）。
著者は経営学者の楠木建さんです。
この本を読むだけでもよく解るのですが、楠木さんの本はかなりの長さと引き換えに豊富な文脈が担保されています。文章自体は非常に平易で読みやすく、語り口もフランクでユーモアがあり、わたしはすっかりファンになってしまいました。
なので、この本をきっかけにWebの記事を読み漁り、他の著書もいくつか読みました。どれもこれも豊富な文脈がゆえに、読み手であるこちらが「考える」にはうってつけの材料をご提供いただいているという感想です。
他の著書については別の機会で語るとして、まずは本書でわたしがどのような学びを得て、どのようなことを考えたのかを備忘録としてつらつら書いていこうと思います。
優れた競争戦略とは面白いストーリーである
今改めてこれを書くために本書の"まえがき"をもう一度軽くさらったのですが、どれほどこの部分に楠木さんの仰りたいことが凝縮されているかに気付いて驚きました。でも、本文を読まないと「解った気になる」ことはできても「解った」とは言えないのでしょう。
いや、正確には読んだあとでも「解った気になる」に過ぎないですね。いかに書物が著者の思考を文脈ごと保存できるものだとしても、読んだだけでそのひとの持つ知見を丸ごと理解できると思うのはおこがましいというものでしょう。
だからこそ味わい深い本は何度読んでも気付きがあるのでしょうし、ただ結論だけを読んで「解った気になる」行為がどれほど浅はかか。
どうしてまずこんな話をするかというと、本書で楠木さんが主張されたいことだけを凝縮すれば、恐らくかなり薄い本にできると思うからです。
わたしなりにそれを言葉にすると、ほとんどタイトルのままなのですが、本書の主張は
「優れた競争戦略とは面白いストーリーである」
ということに尽きます。
本書の神髄は、豊富な文脈を持った第1章から第7章までの各章が必然性を持った順序で並んでいることでしょう。「順序が大事」という、物語では当たり前のことをビジネス書でありながら取り入れているのは意図的でしょう。
ストーリーについて語る本がストーリーを意識して書かれているというのが、まずこの本のすばらしいところだと思います。
と、いうところまで書いて、まだ全然本の内容に入っていないことに気付きましたが……続きは次回へ。
お読みいただきありがとうございます。
さらばでした！
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