見出し画像

「好きな仕事」より「自由で、仲間がいる職場」が最高:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(4/6)【間違いだらけの読書備忘録(17)】

こんにちは、さらばです。

現在、以下の本について備忘録を書いています。

  • 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』

1~3はこちら。

仕事を選ぶときに重視すべき7要素

前回までは幸福度に"関係のない"仕事選びの要素について書きましたが、今度は”関連する"要素を書きます。本書では、7つが挙げられています。

「自由」

ひとつ目は自由です。これほど仕事において幸福度を左右する要素はないとのこと。不自由な職場はタバコより身体に悪いそうです。
労働時間がどこまで好きに選べるかとか、仕事のペースがどこまで社員の裁量に委ねられるのか、ということが該当します。

わたしはこれ、昔からめっちゃ重視してるんですよね。
常々「やりたいことしかできない人間」だと言い切ってますが、仕事を少しでも「やりたいこと」にするためには、主体的にやれるかどうかが非常に大事です。
だからいろいろな上司の下で働いてきましたが、放牧する系の上司だと評価が高く、マイクロマネジメントしたがる系の上司だと評価が滅茶苦茶下がるという……両極端でした。

「達成」

これはつまり「小さな達成がモチベーションを大きく左右する」という話です。実のところ給料が少々上がるなんてことよりも、「ものごとが前に進んでいるという感覚」「フィードバックがすぐ得られる環境」のほうが、個々人の幸福度を上げやすいとのこと。

これはわたしにとって凄く勇気付けられる話というか、常々考えていたことです。チームの中で必要なのは、「進んでる感覚」なんじゃないかと思っていて、それをなんとか定期的に得られる環境をつくりたいなと。
もちろんチームメンバーは「お客様」ではないので、幸福度を上げることはゴールじゃないのですが、幸福度が上がってモチベーションを維持しやすければ、パフォーマンスも上がるよね? という論理を想定しています。
給料を上げるのに比べたら、チーム内をよりよい環境にすることのほうが難易度が低いよなー、と。

「焦点」

これは言葉だけだと解りづらいですが、ステップ1で否定された「性格テスト」のうち、唯一と言っていいほど効果のある「制御焦点」という性格テストについて書かれています。
これは仕事をするひとの価値観を「攻撃型」「防御型」に分けるテストで、本書には実際の質問文も書かれています。

これがなにに関係するかというと、この特性に合った職業のほうが「向いている」ので、幸福度を上げやすいという話のようです。
具体的に言うと、前者は進歩や成長を実感しやすい仕事……例えばコンサルタント、アーティスト、テクノロジー系、ソーシャルメディア系、コピーライターなど。後者は安心感と安定感を実感しやすい仕事……例えば事務員、技術者、経理係、データアナリスト、弁護士などが該当します。

試しにやってみたら、わたしは「攻撃型:41点」「防御型:23点」で、大分攻撃寄りだということが解りました。まあ予想どおりで、直感で選んでも防御型の仕事には就かないだろうなあと思います。

「明確」

これは「職場にどのくらい明確さがあるか?」という話で、具体的な内容は結構多岐にわたります。
賃金の不公平感がないか、タスクの手順やスケジュールの明確さがあるか、会社のビジョンが不明じゃないか、自分の作業の意義が明確か……といったことです。
あと上司がダブルスタンダードで、言うことがころころ変わるというのも「明確じゃない」例でしょう(もちろん変わったことの根拠が明快に示されるなら話は別です)。

これも個人的に凄く解ります。わたし自身、仕事の意義を納得していないと「やりたいことしかできない」になれず、パフォーマンスが上がりません。
だから自分がチームをまとめる際には特に気を付けていることなのですが、一方で残念ながらそうではないケースもたくさん見てきました。

「多様」

これまた納得の話で、ざっくり言うと「人間はすぐ慣れるから、多様な環境のほうが幸福度が上がる」ということです。
例えば宝くじで1億円当たってすら、1年くらい経つと幸福度は元に戻るそうです。そういう性質を踏まえると、日常的に変化を感じられる環境というのが、幸福度につながります。
例として「業務の内容がバラエティに富んでいる」とか「自分のスキルや能力を幅広く生かせる」とか「仕事の一部だけでなく、始まりから終わりまで総合的に関われるか」などが挙がっています。

これも「やりたいことしかできない」私には重要事項なので、昔から強く意識しています。退屈が死ぬほど嫌い。
この項を読んで思ったのが、「やっぱ創作って最高だな」です。仕事の話とはちょっと離れますが、小説を書くという行為は正に「始まりから終わりまで」を全部ひとりでやり切るということになりますから、多様さという意味ではこの世で最も退屈しない行為なんじゃない? と改めて思いました。
だからわたし、18年も続けてるんだなと。

「仲間」

これも言われてみれば当然ですが、「会社は仲良しクラブじゃない」的なことを言うひともいますので、あまり声を大にして言うのははばかられる職場もあるかもしれません。
職場に3人以上の友だちがいるひとは、人生の満足度が96%も上がるそうです。また、職場に最高の友人がいる場合、モチベーションが7倍になるとのこと。
逆に言うと、人間関係の悪化が健康に及ぼす影響は計り知れないということで、まあ、離職の原因の多くが人間関係であることを考えても納得です。

なお、わたしは過去異動を経験する際、職務内容より行き先にいる上司やメンバーを見て希望を決めたことがあります。
ただ、真っ正直にそれを口にすると咎められる雰囲気だったので、それらしい建前を口にしましたけど。
あのときの選択はやっぱ正しかったんだなあ、と本項を読んで改めて感じた次第。

「貢献」

これも普通の話と言えばそうですが、「他人への貢献が解りやすい仕事」は満足度が高くなるそうです。
「ひとのためになる仕事がしたい」と言うと綺麗事扱いされることもあるでしょうけど、科学的に見ても幸福度を上げるので、文字どおり「自分のため」になるんだそうです。実際、ボランティア活動はうつ病の発症率を下げるとか。

この要素は唯一(?)わたしにとって経験上の実感がありませんでした。
理屈としては全く違和感ないのですが、恐らく身も蓋もない言い方をすると、わたしは非常に自分本位な人間なのでしょう。
自分がチームとかお客さんの役に立ったことで、幸福度が上がったことってあったかなあ? どちらかというと「それを決めるのは相手だから、自分はやるべきことをやるだけ」というスタンスな気がします。
あ、もちろん役に立ったほうがいいと思ってやってますよ。ただ、役に立てなかったら仕方ない、仕切り直そうとすぐに思うだけで。


以上の7つが、仕事における幸福度を上げる要素、イコール仕事を選ぶ上で重視したほうがいい要素だそうです。
つまり「自己裁量権があって」「仕事が進んでる感があって」「自分の特性(攻撃型か防御型か)に合っている仕事で」「会社や職場での仕事の意義や自分のポジションが明確で」「退屈しない多様さがあって」「信頼できる仲間がいて」「成果に貢献できている実感がある」と、幸せだということです。

ステップ1で挙がっていた「好きなことが仕事で」「給料が多くて」「業界が有望で」「仕事が楽で」「性格テストの結果が良かった仕事で」「直感で選んだ仕事で」「適正試験の結果が良かった仕事ができている」というのと比べて、どうでしょう?

わたしはこの時点で、全面的に著者の書かれていることに同意しました。
というか、実のところわたしがこれまで職業選択において重視してきたことはほとんどステップ2に書かれていた要素で、ステップ1の要素はほとんど全て重視してこなかったことに気付きました。

ただし自覚的にそうしてきたわけじゃないので、「これでよかったんだ」と気付かせてもらった気分です。


ちなみに次のステップ3は「悪を取り除く」というタイトルで、幸福度を下げる8つの要因について語られます。

というわけで続きは次回へ。

お読みいただきありがとうございます。
さらばでした!

この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,302件

#読書感想文

188,357件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?