シノダサオリ

心身健やかでいられるよう毎日試行錯誤しています。その中で、上手くいっておすすめなことや…

シノダサオリ

心身健やかでいられるよう毎日試行錯誤しています。その中で、上手くいっておすすめなことや、まだポジティブな着地ができていない段階のことなども書きつづっています。普段は別名で書道の仕事をしたり、主婦してます。水に触れているのが好きです。

最近の記事

「音楽の羽衣に触れさせてもらえた瞬間」〜カルテットコンサートに行く〜

弦楽四重奏のコンサートに行ってきました。 ドイツのベテランかつ正統派弦楽四重奏団「ヘンシェル・クァルテット」 今年になって弦楽四重奏のコンサートに行くようになったのですが、毎回驚くのが、弱く細くなっていく音がこんなに聞こえるなんて!&こんなに表現するんだってところ。 繊細なガラス細工とか刺繍のされてる羽衣とかを触らせてもらっている感覚です。 「え?いいんですか?壊れちゃいませんか…えー、すごい!怖いけど美しい!存在しているのが奇跡!それを今感じられるなんて!」みたいに感じま

    • 【2024年9月】執筆報告と今月の目標

      小説やエッセイの公募をしています。執筆のペースとクオリティを上げるために、ここに進捗報告をあげることにしました。 2024年8月の目標と結果はこちらです。 <目標> ・月60,000字執筆 ・第130回「文學界新人賞」第一稿 準備 ・第24回 女による女のためのR-18文学賞 第一稿 準備 ・エッセイ5件応募 <結果> ・月6,000字執筆 ・第130回「文學界新人賞」第一稿 準備できず ・第24回 女による女のためのR-18文学賞 第一稿 準備できず ・浜松市森林のまち

      • Noteで自分のホームをつくっていく

        ここ1週間、Noteで色々な執筆活動をしている方の記事を読んだ。 主に小説執筆や同人活動、エッセイや読書紹介をしている方々のもの。 みなさん、それぞれのフィールドで、それぞれの目標に向かって、それぞれのペースで活動されている。 オリンピックを熱中してみていたり、 パンサー向井さんがラジオで言っていた言葉が響いたのもあり。(音源、拝借しました) https://www.tiktok.com/@kotobaha_tuyoi/video/7371062093908430081

        • 【2024年8月】執筆報告と今月の目標

          昨年の9月からエッセイ・小説の執筆、そして公募展やコンクールの応募をしています。これまで 短編小説3本 ショートショート小説3本 エッセイ22本 の計28本を応募。 結果は、短編小説が一次選考突破(二次落ち) エッセイで入選1件と…まだまだ結果が出ておりません。 執筆のペースとクオリティを上げたい。 そのために、ここに進捗報告をあげることにしました。 2024年8月の目標はこちらです。 ・月60,000字執筆 ・第130回「文學界新人賞」第一稿 準備 ・第24回 女

        「音楽の羽衣に触れさせてもらえた瞬間」〜カルテットコンサートに行く〜

          創作「或る夫人の未来計画」

          「もう私にも自由な人生が欲しいのよね」 平日の昼下がり。カップのサイズがSML表記になっているチェーンのコーヒーショップで、私は仕事をしていた。外回りの途中に、遅めのランチを取りながらパソコンを開きメールの返信をしている。 隣には自分の親と同じ世代とおぼしき60代のマダム三人組が座っていた。 狭い店内。人一人通るのが難しいくらいの隙間しかない隣のテーブルで、そんな抒情的というか、諦念をにじませた言葉が聞こえる。 「うちの人、もう早くあの世に言ってくれないかしら」 聞く気もない

          創作「或る夫人の未来計画」

          創作「夜のはしを捕まえに」

          夜に書いたラブレターは、次の日に見たら恥ずかしくてとても渡せるものじゃないとか言う。ということは、恥ずかしさに身悶えるくらい剥き出しの魂と感情が乗った文章が目の前にあるってことじゃないか。その文章を渡す渡さないは別にして。 それってすっごく羨ましい。誰か私にラブレターを書かせてくれよ、と強くキーボードを叩く。叩いたその指をそのままにしておいたから、無意味な「お」が画面上に大量生産されていく。私は指を変え、「お」の連なりを無感情にデリートしていく。 エッセイが一文字も書けない

          創作「夜のはしを捕まえに」

          創作「太陽が溶かしてくれたら」

          「え?祐実、水着持ってきてないの?」 友達のかれんの甲高い声が、グループ全体に響き渡ると同時に、みんなが私の方を見た。 「私、忘れてきちゃって」 集まった視線から逃げたくて、私はとっさに嘘をつく。 大学のゼミ仲間で海に来ている。大学生、夏の海。そりゃ水着は必須なのはわかっている。 そんなに白けることだろうか。まぁでも白けるだろうな。 体を見せられない事情があるかと思われただろうか。まぁそんなナイーブな感想じゃなくて、単につまんねー奴と思っているかもしれない。シートが風で飛ば

          創作「太陽が溶かしてくれたら」

          創作「重なる光」

          はたじい、がここ一週間姿を見せない。 はたじいというのは私たち生徒が勝手につけたあだなで、はたじいは高校の前の横断歩道に毎朝立っている。緑のジャージを着た腰の曲がったおじいさん。私たちに毎朝、声をかける。いってらっしゃいとか、今日は寒いなとか。 「小学校の時に旗もって横断歩道にいてくれたおじいさん、いたよね」 そんな記憶を私たちはなんとなく思い出していたのだろう。旗はもっていないけれど、旗をもっていそうなおじいさん。そんな理由で、はたじいは命名され、まことしやかに校内に伝わっ

          創作「重なる光」

          創作「20年経った果て」

          学校を卒業してから、母校の体育館に合法的に入る方法があるんだってことを知る。 その機会は自分では選べず、一つの封筒が来ることでもたらされる。 送られた紙を持って国民の役目を果たす時。選挙だ。 私は、その紙をもって母校に向かった。小学校を卒業して、20年。その20年には、大学で東京に行って、そのまま就職をして、心を壊して地元に戻ってくるまでの期間も入ってくる。そうして20年ぶりに、地元に住民票をおいてすぐのことだった。 政治信念はないけれど、社会の役に立っているとは到底思えな

          創作「20年経った果て」

          創作「静けさを独り占め」

          早朝5時。まだ外は暗い。思い切ってコートを羽織り、寒い世界に飛び込む。この朝には真新しさがあって、まだ多くの人が使い古していない感じ。 買ったばかりのノートに、初めの一文字を書くような気分だ。 私は、思わず自転車を立ち漕ぎする。吐いた息が白く目に見える。 いつもよりスピードを上げているからか、早朝の高揚感からか、これからやることの緊張感なのかはわからない。とにかく心臓の高鳴りが止まらない。 目的地は、丘の上にある。10分ほど自転車を漕いでようやくついた。街全体を見下ろせる丘。

          創作「静けさを独り占め」

          創作「宙を舞う砂」

          「俺さ、昨日、リアル砂かけババア見たんだ」 翔太が言い出したその一言が、すべての始まりだった。 ネットで拾った動画なのか、それとも夢でも見たのか。翔太って怪談とか好きなん?砂かけって何かの例え?なんの気なしに会話をつなげていたけれど、 「昨日の夕方でタコ公園で見た。本当に砂ふっていた」とあまりにも日常の場所が出てきたことに、俺たちの興味は増していき、やがて教室中の空気を掌握した。 翔太が言うには、部活の帰りに自転車に乗っていたら、タコ公園の砂場に一人でいたと。まだ陽は暮くれ

          創作「宙を舞う砂」

          創作「期待の先を漂う」

          田所さんが帰ってきた時、事務所にはもう私しかいなかった。従業員が20人しかいない小さな会社だが、数年かけて上層部が推奨したノー残業の空気が浸透して、19時すぎの事務所には他の社員は誰もいなかった。 月に一度の忙しさに追われていた私でさえ、今日はもう帰ろうとしていたタイミングだった。 「おつかれー、杉本さん、まだいたんだ」 「おつかれさまです!」 私の声を聞くよりも先に、早く帰りなよーと言いながら、彼は自身の机に向かった。 私はもう仕舞いかけた仕事道具を持て余しながら、彼を見て

          創作「期待の先を漂う」

          創作「初めてのおつかい」

          私は今、妙に緊張をしている。 それはこれから始まる物語への渇望によるものなんだけど、理由はそれだけではない。 左手にはメモ帳。そして右手には滑らかに動くボールペンを手にしている。 準備は整った。さあ、ひとつやってみよう。 私が深呼吸をして、座席のクッションに深く沈み込むと同時に会場のあかりがすべて消えた。 私は映画の感想をうまく人に伝えるのが苦手だ。見ている間にしっかりと感情は揺れ動いている。登場人物が体のどこかを痛めれば、同じように私の体も痛く感じるし、いいことがおこると

          創作「初めてのおつかい」

          完成主義と手を繋ぐため、私はNoteを書く

          6歳の時に書道を習い始めた。 大学を卒業し、社会人になり会社勤めをしながらも、書道を続け師範の資格をとった。そして知人に頼まれて文字を書いたり、展示をしているうちに書道を仕事にすることができた。 今は会社勤めをやめて、家で仕事をしながら主婦をやっている。 ……というのが、私の「よく言う」プロフィールです。 ここに、「小説書いてます」を加えたい。 自分の思いを形にしてそれが誰かに伝わったら嬉しい。 自分の言葉が誰かの心を突き動かすきっかけになったら嬉しい。 そんな活動がした

          完成主義と手を繋ぐため、私はNoteを書く

          創作「朝はまだか」

          「今日って祝日だったんだ。春分の日」 夜勤で一緒の山下さんが、カレンダーを見ながらそうつぶやいた。 警備センターは俺と山下さんの二人きりだ。その呟きは小さかったが、独り言ではないと察した。 「春分の日ってなんか、影薄いっすよね」 眠さのピークを迎えていた俺は、それこそ薄いだけの感想を相槌変わりに返した。 「なぁ、浅田。夜から朝になる瞬間って、お前わかるか?」 俺の答えに満足しなかったのか、話の続きがあるのか、山下さんは俺に聞く。 「なんすかそれ。ポエムっすか」 俺はおどけて

          創作「朝はまだか」

          創作「おだやかを手にいれる」

          ふと思い立って、健二は自室にあるリモコンに目をやった。 いつも電源と、温度調整の上げ下げしか使わないリモコンに、なかなかの数のボタンが付いていることに気づく。不意に、このボタンを押したら何かかわるのか気になってリモコンの蓋を開けていじってみることにした。 強風。つけた瞬間、ゴーっと音を立ててクーラーが動く。気合を入れ直したかのようだ。またボタンを押す。 しずか。強風がやみ、電源のついたまま動きを止める。きっと今は適温なのだろう。 誰もいない、誰も入れたことのない部屋に意志を持

          創作「おだやかを手にいれる」