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自分の思う親孝行ができなくても親は初めから幸せ

昔、「自分が理想とするような親孝行ができてないな…」って思っていた。


そして最近のこの社会状況からして、なかなか直接会えないなどで、「思うように親に何かができないな」って思う人ってわたし以外にも多いんだろうなぁ…と思う。


わたし自身、父は、母はずっと「あの人たちは幸せだったのかな?」って疑問に思うことが多かった。


だから、「何かわたしが親孝行なり、形に残ることをもっとしてあげたいな」と思っていた。

いや、今も思っている。


現に、数年前に初めて家族旅行に行った。


とても幸せそうな両親の笑顔を見て、わたしも、ホッとしたし、「あぁ企画してよかったな」と心底感じた。


もちろんできることはしたほうがいいだろうし、喜ぶだろう。


だけど、それをしてもしなくても間違いなくわたしの親は…そしてあなたの親も

「両親は、自分が産まれてからずっと幸せだ」


といえる。


少なくとも、あなたが

「親孝行したいな」

と自然に親に対して思えるなら、そしてそんな優しいあなたならば、その親もきっと素晴らしい親なんだろう。

その親もあなたに対してあなたの存在に救われていると思うからだ。



「あなたが思っているよりも、親はずっと幸せなんだよ。あなたが心配しなくても、あの両親達はずっと図太く元気に生きていくから!色々と罪悪感を今は抱えてるみたいだけど、それよりも、自分の人生や好きなことを楽しむといいよ。」


数年前、あるセラピストさんのイベントのカードセッションにて、そう言われた。


え、本当に幸せなの…?

って衝撃だったのと、その言葉を聞いているうちに、何故かポロポロと涙を流れたのを覚えている。


「その涙はたくさん今は流すといいよ。大丈夫」

そう言って背中を優しくさすってくれたセラピストさんの言葉は忘れない。

その声色から、「あぁこのセラピストさんも、きっと色々あったんだろな」って感じながら優しさをかみしめた。


こうして、自然と心を救うような言葉を人に伝えられる人は、過去に色々と悲しんだり、辛い経験をしている人が多い。


だから、目の前の人に活かせる。

辛い経験は、優しさとして循環させることができるのだ。



その頃から、家族関係のことについての本を読み漁り、勉強した。


心の勉強や目に見えない仕組みや法則だ。


親への接し方や考え方を学んだ。


そして、


「親は最初から、自分が思っているよりもずっと幸せだ」

を前提にして生きてみた。

恐る恐る。


するとなんだか安心して、わたしが親に対してかける言葉も、態度も自然と変わっていったからか、親も少しずつ変わっていくことが多かった。

相手は変えることはできないけど、良くも悪くも自分が変わると相手も変わることがあるとよく言うけど、本当なんだとこのとき気付かされた。


あるとき母親から、


「お母さん、あなたが娘で本当に幸せ。恵まれてるわ。本当に良かった」


と言葉で伝えることが多くなった。


そんな言葉が出てくるのか…って衝撃だったのと、「あぁ、母は幸せなんだな」とようやく気付いた。


親って一番近いけど、実は一番見えにくいものなのかもしれない。

だって、よく親子関係で悩む人を目にすることが多い。


血が繋がっているから分かるのではない。

むしろ、近すぎて分からないことが多いのだ。

でも近い存在だからこそ、分かって欲しい。
本当は愛したいからこそ、すれ違い許せないことや憎しみも生まれる。

でも、ここ数年で親のことがより分かってきた気がする。

それは、自分の子どもが産まれてからだ。


自分が「親」という立場になって、ようやく腑に落ちた感じだ。

同時に、「わたしは親のことを意外と分かってなかったんだなぁ…」とも気付いた。

親になると、皆少なからずそう思う瞬間があるものだと思う。

そして、その尽きることのない無償の愛に気付かされ、これまでの言動全ての意味も見えてきて、心から感謝することになるのだ。

けど、そうするのは子どもはかけがえない大切な存在だから。


「わたしが産まれただけで、十分両親は幸せなんだ」

と今度は自然に感じた。

考えずに、そう感じたのだ。

 
なぜなら、息子が産まれたあの日からわたしはずっと幸せだから。 


大変なことも含めて。

その過程も全部。


子どもと一緒にワンワン泣いたり、ガハガハと意味不明な言動で一緒に笑ったり。


何気ない平和な日々が、あっという間にバタバタ忙しく、だけど鮮やかな極彩色に変わった。


元気で、目をキラキラしている我が子を見ているだけ、ずーっと心はポカポカしている。


我が子がわたしに何をしてもしなくても、将来元気に大きくなってくれたらいいと思っている。

…いや、たまに気にかけてくれたらいいなと思うけど(笑)

だけど、時が経つごとに子どもからすると分かりにくくなることもあるのかもしれない。

ちょっとした、思い違いや疑問。

「お母さん、幸せなのかな?」

「なんでそんなこと言うんだろう?理解できない!」

とか。

または、

何かしてあげたいな。
何か返したいな。


だけど今はできないな…。

と切なくなったりするのかもしれない。

わたしが…あなたが親に対してそう思うように。

親も人間だし、不器用だったり、感情的になったり、調子が悪いこともある。

間違えることもある。


わたしもいつか、子どもに心配をかけることもあるのかもしれない。

…いや、もう思わせていることもあるのかも。

だからこそ、わたしは子どもに


「お母さん、あなたが産まれてから幸せだよ」


と寝かしつけのときには伝える。


覚えてないかもしれないけれど、伝えられるときに。


嫌がられる年になるまで、言えるうちはずっと言葉で、分かりやすく伝え続けるだろう。



親孝行とは?


今できることをやるので十分だと思う。


もしあなたがあまり親に連絡をしない人だったら。


ちょっと、連絡してみるとか、

親から連絡が来たら、話をしっかり聞くとか。

自分が元気で楽しそうにすること。

難しいことはしなくていい。


まずは自分の人生に責任持ち、楽しむと覚悟をすること。

自分が満たされること。

波紋のように、それがいつしか自分も周りも満たしていって最大の親孝行になるのだと思う。



自分が思うような親孝行ができない?

そうだよね。その気持ちは痛いほど分かる。


だけど、大丈夫。

今すぐに思うことはできなくても、

今できることをすればいい。

だって、「あなたの親はあなたが産まれた瞬間から、ずっと幸せ」なんだから。


そう言って、今度はわたしがあなたの背中をそっと言葉でさする番だ。

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