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「ママ、わたしの顔ってかわいい?」

一昨日、お風呂上がりの脱衣所。
洗濯乾燥機から出したばかりのホクホクの洗濯物を入れたカゴにお尻を入れて足を出し、頬杖をついたコリスがこっちを見つめている。
おかしな姿勢だが神妙な面持ちのコリス、彼女は真剣だ。
日頃からカワイイカワイイと親心を言葉にして浴びせてきたはずなのに、
カワイイが足りていなかったのだろうか。自己肯定感ってやつに関係してんのか。
どうしたんだろう、なぜそんなこと聞くんだろう。なんかあったのかな。
どう答えようか、一瞬でいろんな想いが湧きあがった。

「かわいいよ。」
強めに言った。かわいいに決まってる、と言わんばかりに。わが子はかわいいに決まってるじゃないーと、その類のかわいいは通用しない空気を感じた。

コリスの反応を見る。何も返ってこない。

「どうして?気になった?」
コリスからの言葉を待てずに付け加える。

「うん。給食の時にマスクを外すでしょ。その時にね、この人こんな顔なんだって思われてないか気になるの。」

「へー。そんなこと考えてるんだ。」
びっくりした。驚いた。そんなことを気にしているんだと。
「そんなこと」っていっても、確かに私も新しくできた知人のマスク下の顔に意外性を感じたことはある。コリスだって人目が気になる年頃かもしれない。
なぜ、私にその話をしてきたのだろうか、何か言ってほしい言葉があるのだろうか。いますごく大事な時間だな。

「どうしてそう思うんだろうね?
こんな顔なんだーって思われるかもって考えたってことは、
コリスも他の人がマスク外した時に、こんな顔なんだーって思う?」

「うん。思う。」

「そうなんだね。ママもそう思うことあるよ。○○ちゃんのママとマスク外して話た時に、あ、こんな顔だったんだ!って思ったもん。そう思うのはいいんじゃない?今みんなマスクしてるから、あ、こんな顔だったんだ、ってお互いさまで思ってるよ、きっと。」

「うん。わたしの顔ってかわいい?」

しっくりこない面持ちのコリス。そうか、論点はそこじゃない。
コリスの顔がかわいいのかどうかの話の方だった。

「かわいいよ。コリスはどう思う?」

「かわいい・・・かな」

「自分でかわいいって思うならいいやん」

「うん、でも他の人にもかわいいって思って欲しいなあと思って」

なるほどそういうことか。

「他の人って例えば?」
好きな子でもできたのか?気づかなくてごめーん鈍感な母でごめん。そんな想いが浮上する。

「○○ちゃんとか、○○ちゃんとか、、」
お友達の名前が上がった。そうなのか、お友達にかわいいって思って欲しいのか。
そんな気持ちなのか。

「コリスは○○ちゃんかわいいって思うの?」

「うん、かわいい。かわいいってみんな言ってる。わたしはあまりそんな風に言われたことないから。」

なるほど。ここまできてようやく今回の話しの背景がわかってきた気がする。

「コリスにとってかわいい人ってどんな人?」

「うーん。笑ってたりニコニコしてたりかな。」
顔の口角を指で上げて見せてくれた。

「かわいいやん。コリスはかわいいよ。」

風呂上がりの蒸しむしの脱衣所で真剣に話し合い、そろそろ飽きたのか「パパー」と立ち上がり走っていったコリス。

脱衣所に一人残った母ちゃん。
これでよかったのだろうかこの話し、なんか後味スッキリしないけど。
しり切れとんぼな感じであっちに行ってしまったコリスさん。
子育てって正解ないっていうもんな。難しいなあ。奥深いなあ。

今回のコリスからの問い、
他の人ならどんな話をするんだろう?
世の母さんや父さんの話を聞いてみたいと思った。

一つよかったことは、コリスがわたしに話をしてくれたこと。
これからもちょっと感じたことや悩んだことを脱衣所で打ち明けてくれるといいな。抜群の解は期待できないけど、この人には話しておこうと思ってもらえる
母ちゃんでいたいなあ。


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