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ログは残るがメモを取れ

読書をする時にメモを取るようになりました。基本的には紙の本を読んでいるので、ページの余白にボールペンでそのまま書き込んでいます。

なぜメモを取り始めたのかと言うと、昔は気になった部分に付箋を貼って読み進めていたのですが、数年前に読んだ本で付箋が貼ってあるところを読み返してみても「当時の俺はなぜここに付箋を貼ったんだろうか」となってしまい、気になった理由が明確にわからなくなることに気づいたからです。だったらその時に思ったことを書き込んでしまおう、というわけです。

とはいえ、それは何も記録に残したいことだけが理由ではありません。

メモを書き込むことによって、日頃のインプット手段であった読書が、インプットとアウトプット双方を実践する極めてクリエイティブな場になると気づいたからです。数年後の自分が読み返した時にもリーダブルなメモを余白に書き込まなければいけないので、必然的に読み手(未来の自分)を意識した内容をよく考えながら書いていくことになります。

記録を残す方法としては、今では紙よりもデジタルの方に分があるように思います。電子書籍やメモ帳アプリなど、デジタル空間の場合は端末やブラウザ、もしくはクラウド上に全てのログが残りますが、紙の本の場合は、失くしてしまったり古本屋に売ったり、友人に借りパクされたりする可能性の方もあり、長年それらを保管し続けるのは案外難しいものだと思います。記録を長く残したいだけなら、デジタルの方が良いはずです。

つまり、紙の本の余白にメモを書き込む行為は、読書体験そのものをより良い瞬間にするために行っているわけです。

未来の自分に有益になるため、過去を失わないよう記録していますが、これらの時間軸のなかで最も重視しているのは、実は現在です。紙の本に書かれた内容を読んで感銘を受け、その気持ちを自分なりの考えに整理して未来の自分に向けてメモを書き残す。この充実した読書体験のためにメモを取ります。

スマートなデバイスが浸透した現代において、分厚い本を開いてボールペンでメモを取っている姿は若干ながら場違いな感じが滲んでしまいますが、それも良質な読書時間のためです。しばらくはこの習慣を続けてみることとします。

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