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組織で働くためのビートルズ|摩擦が生んだ陽気な一曲

近年、会社に雇われることを嫌い、経済的自立と早期退職を目指すFIREという言葉が非常に流行しました。また、クラウドソーシング等を利用してフリーランスとして生計を立てる人も年々増えている傾向にあります。

2021年には、東京の品川駅の長いコンコースに「今日の仕事は、楽しみですか」と表示された数十台のディスプレイがSNSに投稿・拡散され、「仕事が辛いと思っている人を傷つけている」として炎上する騒ぎがありました。

身近な知人の相談に乗ることがあっても、大抵が仕事の話で上司や同僚の悪口が多く話されます。居酒屋で聞こえてくる会話の大半も会社の愚痴です。

日本人の大半は会社で働くことを幸せだとは思っていないようです。

独立や早期離職など、それができればよいのですが、そうはいかない人は会社員として組織で働くことに適応するしかありません。

この閉塞的な状況を何とか前向きな気持ちで適応することはできないのでしょうか。


ビートルズ「Ob-La-Di, Ob-La-Da」の背景

ビートルズのホワイトアルバムに「Ob-La-Di, Ob-La-Da」という曲があります。

この曲はビートルズがライブ活動をしなくなり、アルバム制作に集中していた後期の時期にポール・マッカートニーによって作られた曲です。

ポップなメロディーに様々な楽器やコーラスが重なり、聞いていてハッピーな気持ちになれる後期ビートルズのなかでも人気が高い曲です。

しかし、ビートルズのメンバーの意見を知ると、陽気なこの曲の聞こえ方が少し変わってきます。

ポールからの度重なる録り直しの要求もあり、ジョン・レノンはこの曲を嫌い「グランマ・ミュージック」と呼んで、古臭いポップソングだと批判しています。

また、ジョージ・ハリスンも同アルバムの「Savoy Truffle」という曲の歌詞で暗にこの曲を批判しています。

彼らも組織で活動しながら各々の意見をぶつけあい、ストレスを感じつつ楽曲制作に取り組んでいたのです。

この曲にメンバーが不満を抱いていたという事実を知ったうえで「Ob-La-Di, Ob-La-Da」を聞くと、嫌っている曲をここまで陽気な雰囲気で表現ができることに感嘆してしまいます。

こういった成果は組織だからこそ成し遂げられる偉業でしょう。

組織だからこそ成し遂げられること

僕も会社員として長年勤めているので、組織で働くことが嫌になってしまうことは未だによく起こります。

しかし、そういう時は自分の感情ではなく、自分が属している会社の成果に意識を向けるようにしています。

「Ob-La-Di, Ob-La-Da」を生み出したビートルズの様に、個人の不満も結果的に成果へ繋げることができるとわかれば、一時の感情による不満も受け入れられるようになります。

そして、組織に属することによって、自分一人だけでは成しえない成果を上げていることもわかれば、不満を感じながらも組織で働くことの意義を見出すことができます。

ビートルズを敬愛していたことで有名なスティーブ・ジョブズが過去にこんな発言をしています。

わたしのビジネスの手本はビートルズだ。彼らは四人で支えあい…欠点を抑えた。互いにバランスを取り合い、四人がまとまることで、ひとりひとりの活動を合わせたものより大きな力を発揮した。ビジネスもそうありたいものだ。ビジネスの偉業はひとりではけっして成しえない。チームだから達成できるのだ。

『訴訟王エジソンの標的』p.521

私たちはひとりではできることが限られてしまいます。だからこそ会社という組織で事業を行っています。

組織で働くことに対してネガティブな感情を持つかもしれませんが、そんな時は「Ob-La-Di, Ob-La-Da」を聞くことをおすすめします。きっと明るい気持ちになれるはずです。

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