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武埜 山水
2023年4月7日 13:06
私は自身を語る時、「彼」という人称を用いたくなる事が度々ある。かつて書きかけて、果てに打ち捨てた小説の冒頭にはこう書かれていた。 彼は(それは俺であるのだが)何故、そうなのだろうか。これは私の積年の問いでもあった。熟考の果てに私は、かつての私を他人と研究の対象にしている事を発見したのだ。自己は結局のところ、自己でしかないという意味において、最も複雑かつ不思議な他者は過ぎ去った時の狭間に