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住む場所とやりたい仕事はどちらも選ぶんだ

移住したいと思うとき、一番考えるのは仕事のことかも

北海道に山村留学に行くと決めたとき
仕事より住みたい場所を優先した。

わたしも新しい仕事が決まり、われわれは夫婦ともテレワークで働いている。


田舎で働く

十勝の田舎の村で、テレワークで働いている。
夫は東京の会社、わたしは新潟の会社。
子供たちを送り出し、畑のチェックをし、朝の散歩をした後、それぞれにパソコンに向かう。

中札内村に行くか検討したとき、一番に確認したのがインターネット環境だった。ちょうど昨年から光回線がこの集落にも通ったところで、快適ということを聞いてホッとしたのを覚えている。

コロナ禍で否応なくリモートワークをした経験から、全く出社しないフルリモートワークに抵抗はなかった。
住む場所は選びたい。でもキャリアも続けたい。夫婦揃って、フルリモートワークのできる会社を探してそれぞれ転職した。

家で働くということ

20年働いた会社を辞めるにあたり、約2ヶ月の有給消化をもらう。
4月越してきてしばらくは、庭仕事や片付けなどは有給期間中のわたしが行った。
夫は一足早く転職していたから、引越し早々カタカタとテレワーク。

近所の人と話すことがあると、
ところで旦那さんは何をしているの
と、よく聞かれた。

山村留学では、お母さんと子供だけで住むというパターンが多い。
お父さんまで来るというのが珍しく
仕事はどうしているんだ、というのはみんな興味あるのだろう。

家で仕事しているんです、といっても反応が鈍い。
家でする仕事っていったいどんな仕事なのか。

アンケートの[職業]の選択肢のひとつ目に、「農業」がくる村。パソコン1つで働くなんて、何をやる仕事なのか、イメージわかないのかもしれない。

いまやわたしも家で仕事をしているので、夫婦共に平日日中外に出ることがなくなった。
あの夫婦、なにやっているんだろうと、もしやみんな謎に思っているのかもしれない。

それでも仕事をする

田舎に短期移住するとなったとき
もともと働いていた会社にフルリモートワークで続けられないか打診したけれど、だめだった。通えるところに住んでないとダメ。

それならと辞めることにしたのだが、
山村留学に行くので仕事辞めます、と退職をお知らせした時に
みなが、いいね!とともに
北海道生活満喫してね!
という。

辞めて満喫する、という気がなかったので
あ、そういうのもありなんだ
というかむしろそう思う人が多いんだ、とびっくりした。

のんびりするのもいいのかな。

一瞬気持ちが揺らぐ。
しかし、引越して有休消化期間に入った途端、夫がパタリと家事をしなくなった。だって仕事してないでしょう、と、皿洗いすらせず寝る夫を見て、やはりフルタイムだな、と思いを正す。
わが家の平穏は、イーブンな共働きで成り立っていたことを実感。
どんなに日中北海道生活を満喫できたとて、毎日皿洗いが当然とされる生活は、わたしには無理だ。

そもそも満喫ってなんなんだろう。
田舎で子供との時間をゆっくり過ごしたり、庭仕事をしたり。
そんなふうに、山村留学して田舎でのんびりするのは簡単だけど、山村留学しつつ転職してフルタイムキャリアを続けることのほうが難しい。それなら難しい方をやったほうが価値がある。キャリアを続けて、わたしらしさと夫婦のバランスを保つことにする。


紆余曲折あって採用された会社はベンチャーで、激務だった。業界も違うし、スピードも違うし、とにかく毎日サバイバルのようにタスクを解いてゆく。
フルリモートで働いていようと、それがどうとも思わない。
海外に初めて行って身振り手振りで目的地まで行くというあの感じで、とにかくみな必死で仕事を進めているから、メール、電話、チャット、zoom、あらゆるものを駆使してコンタクトする。
対面ゆえの雑談から生まれるアイデアが大事、とかなんとか言うが、雑談をする暇さえないベンチャーには無縁の話だ。
怒涛のような仕事量をこなすめちゃくちゃ柔軟性のある人々の中に入ると、もはや十勝在住の壁はない。時差さえなければ、インドでもアフリカでもどこからだって仕事できるだろう。

自然広がる十勝で、家にこもってしごとをしているのが勿体ないと思うこともある。
それでもキャリアを続け、住みたいところに住み、やりたい仕事をやる。
仕事を終えてふと夕方に外に出ると待っている畑。
夕焼け。
そんな生活は十分に素敵だ。

仕事時間は格段に増えたし、給料は下がった。
けれど、
都会に戻って働くか
このままリモートワークを続けるか
それすらも自由になる生き方を手に入れたことは大きい。

住みたい場所がある人ならば、
住みたい場所と、やりたい仕事、それを切り分けてそれぞれ選んでみるといい。
すると、前に広がる道はいつだって無数で、人生はいくつになっても自分で決められるんだ、ということがわかる。

そんなふうに自分で人生を選んで生きる姿を子ども達に見せられたらと思っている。

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