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「意思と言葉が、Bill Oneを強くする」 顧客に価値を伝え、組織力を高めるプロダクトメッセージ

「プロダクトローンチから1年でARR1億円を達成すれば成功」といわれるSaaS業界の中で、ローンチ1年でARR3億円、2年半でARR20億円を達成したBill One。
その成長を支えたプロダクトマーケティングマネジャー(以下、PMM)の柘植に、Bill Oneの成長や強さの秘密を聞きました。

柘植 朋美
Sansan株式会社
Bill One 事業部 チーフプロダクトマーケティングマネジャー
新卒で大手人材会社に入社し、海外事業企画に従事。その後、大手ERP会計ベンダーにてコンサルタント業を経て、2016年にSansanへ入社。エンタープライズ(大企業)領域でのカスタマーサクセスマネジャーを3年経験後、新規事業の開発を担当。現在はBill OneのPMMとして活躍中。


Bill Oneに関わることになったきっかけ

ー柘植さんのこれまでのキャリア、Bill Oneに関わることになったきっかけを教えてください。

前職では、大企業向けのERPパッケージ製品の企業で6年務めており、基幹システムの導入コンサルティングなどに従事していました。
Sansanには2016年に入社し、営業DXサービス「Sansan」で主にエンタープライズ企業のカスタマーサクセスを担当後、新機能の立ち上げなどにも携わりました。

Sansanに入社して4年が経ったころ、代表の寺田から呼ばれ「Bill Oneでエンタープライズ領域の立ち上げをしてほしい」と言ってもらったことがきっかけで、Bill Oneに関わるようになりました。

今ではBill One全体のPMMとして、成長戦略の立案やメッセージ設計など、Bill Oneの価値向上に寄与する部分に幅広く携わっています。

言葉へのこだわりが組織力の高さに

ーマーケットシェアNo.1を獲得しているBill Oneですが、そこに至る道のりの中で印象に残っている出来事を教えてください。

Bill Oneに携わってからの約3年間は市場の変化も激しく、たくさんの出来事が起こっているのですが(笑)、なかでも2022年9月に行った「タグラインの変更」は印象に残っています。

タグラインという言葉に馴染みのない方もいると思いますが、タグラインは企業や商品がお客様に提供する価値を、想いとともに分かりやすく表した短いフレーズのことを指します。当社では、このタグラインをとても大切にしています。

2021年から提供開始したBill Oneですが、当初のタグラインは「あらゆる請求書をオンラインで受け取る」でした。当時はまだ請求書受領サービス市場が確立されておらず、郵送で届く紙の請求書、メールで届く電子請求書など、あらゆる請求書をオンラインで一括で受け取れることが価値だったからです。

しかし、テレワークの普及や、電子帳簿保存法・インボイス制度など法制度への対応が必要となったこともあり、あらゆる請求書をオンラインで受け取れることをうたう類似のサービスも出てくるようになりました。そこで、Bill Oneのプロダクトとしての進化も含めた新しい価値をメッセージにしたのが今のタグライン「請求書受領から、月次決算を加速する」です。

Bill Oneは、単に請求書をオンライン受領できるだけでなく、お客様の月次決算を加速させるんだ、という想いも込めています。実際に、Bill Oneはもともと当社の元経理担当が起案したサービスでもあり、経理担当者の課題解決・理想実現に寄り添ったサービスです。それをお客様へのメッセージでもあるタグラインにまとめるために、何度も議論を重ねました。「請求書受領から、月次決算を加速する」という今のタグラインが決まった時は、納得感がありましたし、価値が言語化されてうれしい気持ちになりました。

一方で、タグラインを作って終わりでは意味がありません。この月次決算を加速するという新しい価値は、お客様への提案の際はもちろん、セミナーや取材、プレスリリースなどあらゆる場面で発信しています。
もちろん、対外的なメッセージをぶれないようにして、お客様への提供価値明確に伝えたいという意図もありますが、こだわる言葉を決めると、社内の目線もぶれにくい。一例としてタグラインを挙げましたが、使う言葉にはかなりこだわっていますね。

どの会社もそうだと思いますが、一つのプロダクトに関わる人は開発や営業担当だけではなく、マーケティングや広報など多岐にわたると思っています。
言葉やそこに込められた意思や意図を明確にすればするほど、関係者が多くなっても判断がぶれにくいんです。

Bill Oneはこれまでになかったクラウド請求書受領という市場をつくり、ありがたいことにシェアNo.1になるまで成長しています。その要因の一つとして社内外から組織力の高さを評価いただいていますが、こういった一つひとつの言葉へ意思を込めることが、組織力の高さにつながっているのではないかと思っています。

PMMとして大切にしている“バランス感”

ーBill Oneの強さの要因の一つに、言葉へのこだわりがあったんですね。
次は柘植さんの役割について教えてください。Bill One PMMとしてどんなことを意識していますか。

PMMは、プロダクトの成長のうち、マーケティングやセールス、カスタマーサクセス等ビジネスに関わる部分の計画立案と実行を行うポジションと定義されることが多く、実際にBill OneのPMMとしても、プライシングの設計など事業企画のようなこともしますし、プロダクトの成長戦略の立案やメッセージ設計を行うこともあれば、セミナーに登壇して自らメッセージを伝えることもあり、幅広く活動をしています。

Bill Oneは、高い成長への期待に応える責務がある一方で、法律や機密性の高い情報、企業のお金に関わるプロダクトの特性から勢いだけで突っ走ってもいけない、事業としてこのバランスを保つように意識しています。

Bill Oneに所属しているメンバーは勢いのある人たちばかりなので、何もしなくても攻めているのですが(笑)、だからこそ私は特に守りの部分を意識していますね。

例えば、短期的に売上が上がる可能性があるとしても、それはお客様の月次決算の加速に本当に寄与できるのか、継続的に価値を提供できるのかという観点であえてやらない選択をとることもあります。

前職が会計システムのコンサルだったこともあり、企業のお金に関わるプロダクトが機能不全になることの怖さは理解しています。だからこそ、要望をただ満たすというよりも、継続的な価値を届けられるかを大切にしています。

価値提供という点では、社内教育にも力を入れています。
例えば、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法制度に関する知識は誰よりも早くキャッチアップし、社内向けの勉強会や理解度をチェックできるテストを展開したりしています。
私たちが向き合うお客様は経理のプロフェッショナルたち。その方たちと同等、もしくはそれ以上の知識がないと価値のあるプロダクト開発や提案はできないと思っています。

Bill Oneをより多くの人に届けていくために、メッセージやプロダクトを磨き続けることはもちろん大事ですが、実際にお客様に向き合う社内メンバーに対して法律など周辺環境の理解を促すこともまた大事なことだと捉えています。こうした積み重ねによってBill Oneという組織を強くしていけたらと思っています。

娘が大人になっても使われ続けるサービスへ


ー最後に、今後取り組んでいきたいことについて教えてください。

私は、Bill Oneというサービスに自信を持っています。より多くの企業に届けていきたいですし、日本のDXを推進していきたいと思っています。

そのために、プロダクトをアップデートし続けていくことはもちろんですが、新たな取り組みとして、パートナー連携を強化していきたいなと思っています。

先日、株式会社リコーとの共同発表会を行い、中堅・中小企業向けに共同企画した「Bill One for RICOH」を提供していくことを発表しました。

Bill Oneはこれまでエンタープライズ企業を中心に多く利用いただいており、100名以下の中小企業は無償で利用できるスモールビジネスプランを設けています。リコー社との取り組みは、この間に位置する規模の企業を意識した取り組みです。

今後はBill Oneにないネットワークを持つ企業との連携を強化していくことで、Bill Oneをより広げていきたいと思っています。

ーより中長期的な目標はありますか。

私は8歳の娘がいるのですが、Bill OneのCMを見ると「ママたちのプロダクトだ!」と喜んでくれるんです。そういった娘の存在が励みにもなりました。
娘が大人になり働くようになる、15年後・20年後もBill Oneが存在し続け、日本だけでなくグローバルでも当たり前に使われている世界になっていれば、母としてすごく嬉しいですね。

そうなれるように、もっともっと頑張っていきたいなと思います。


【もっと「Bill One」を知りたい方へ】
経理担当者だった柴野が起案したBill One。その正式リリースまでの道のりは長く険しいものでした。こちらもnoteにまとめていますので、ぜひご覧ください。


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