見出し画像

鹿島槍天狗尾根遭難の報告書から学び取ったこと(要約)

学習院大学山岳部 昭和34年卒 右川清夫

 1955年12月30日の鹿島槍天狗尾根での遭難に関する報告書から得られた重要な教訓は、 以下の点が挙げられます。

 まず、 鹿島槍ヶ岳天狗尾根は積雪期に登られ、 特に冬季には雪崩や厳しい気象条件が懸念される地域であることが強調されています。 報告書は、 地形や気象の変動が遭難にどのように影響するかを具体的に説明しており、 特に風の強さや最終キャンプ地の選定の重要性が強調されています。

 報告書はまた、 遭難前の気象状況に焦点を当て、 1955年12月24日に雪のない状態から急激な天候変化があり、 強風と降雪が28日に始まったことが指摘しています。 これにより、 幕営地を移動せざるを得なくなり、 遭難者らは激しい降雪に見舞われました。 気象の急激な変化や気象データの活用の難しさが、 遭難の背後にある要因とされています。

 遭難当日の気象と行動についても詳細に検証されており、 新雪表層雪崩の可能性や天狗の鼻の急斜面での影響が浮かび上がっています。
 特に、 30日の気象状況の急激な変化が、 風雪で雪崩の誘発を助長した可能性が指摘されています。

 報告書は、 遭難者たちの行動や気象条件の変化が複雑に絡み合い、 新雪表層雪崩が発生し一行が遭難した可能性が高いと結論づけています。

 捜索活動に関しては、 3月下旬から8月までの段階的な進行が詳細に報告されています。 遺体の発見には多くの困難が伴いましたが、 地元関係者や捜索隊員の協力により、 最終的には全遺体が見つかりました。 特に、 デポの露出の発見が重要な転機となり、捜索が進展しました。

 遭難原因究明座談会では、 ガイド星野氏や生存者である小谷氏らが地形や気象条件、 雪崩の状況に関する詳細な情報を提供し、 遭難の理解に寄与しました。 報告書の結語では、 登山者が遭難から学び、 将来の安全対策や遭難時の対応に向けた努力が必要であることが強調されています。

 最後に、 黒田正夫氏の雪崩体験記から得られる教訓として、 雪崩の予知と予防が難しく、 経験や勘を養いながら地形や気象条件を正確に理解することが重要であると強調されています。 登山者は雪崩事故から学び、同様の状況を回避するための対策を講じるべきです。

#学習院大学 #学習院大学山岳部 #学習院山岳部 #学習院山桜会 #山桜会 #大学山岳部 #高校山岳部 #登山 #アウトドアでたのしむ #アウトドア #山であそぶ #山岳部 #山 #鹿島槍ヶ岳 #鹿島槍ヶ岳天狗尾根 #遭難 #事故 #追悼

この記事が参加している募集

#山であそぶ

1,831件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?