産業医のトリセツ

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最近の記事

基本的な産業医との付き合い方〜言葉の難しさ〜

事例 人事の朝倉は最近、産業医の佐々木の話しにややスッキリしない日々を過ごしていた。それは最近行われた従業員の復職面談に出席した時に感じていた違和感が原因であった。 ―ある日の復職面談― 佐々木「はじめまして、産業医の佐々木と申します。今日は復職面談よろしくお願いします」 従業員A(復職者)「はい、よろしくお願いします」 佐々木「主治医の診断書は拝見しました。今の体調なのですが、睡眠はどうですか?たとえば早朝覚醒(そうちょうかくせい)とか中途覚醒(ちゅうとかくせい)

    • 過重労働対策における産業医との付き合い方その3

      事例ナインエス株式会社は今日も忙しい。営業部の努力により大きな額の案件も度々獲得受注できるようになってきたため、クライアントと向き合う営業部門や、システムを設計する技術部の稼働はいまや設立以来最も繁忙となっている。 それに伴って、産業医である佐々木の毎月の執務の中では人事部員の朝倉からの依頼で行う長時間労働者の面接(以下、過重労働面談)に割く時間の割合はかなり多くなっていた。 朝倉「佐々木先生、毎度毎度のことですが、今回も長時間勤務者が数名出ており、面談と体調の確認をお願い

      • メンタルヘルス関連での産業医との付き合い方 復職面談の「面談編」

        はじめに さて前回の記事”復職の産業医面談に向けて人事担当者はどんな準備をすればよいのか?”では、面談の事前準備について説明しました。 簡単におさらいです。 ①会社としての復職の目安・要求水準 ➁復職後の働き方やルール 上記2点を会社として整理しておき、産業医に伝えるのが重要でしたね。 さて、これらの準備ができたら実際にどのように面談を進めていくのか? 今回はオススメな方法をお伝えします。 面談の流れ STEP① 管理職(上司)・人事・産業医・本人が4者同席し面

        • 「就業制限が必要」と産業医に言われたら?

          事例 ある日の産業医来社日。人事の朝倉は、健診結果の判定の内容について、産業医の佐々木から説明を受けている。 佐々木「前回訪問した時に健診結果の判定を行いました。大部分の方は目立った異常はなく、このままの勤務を続けてよいと考えています。企画の○○さんと総務の△△さんは、どちらも血圧が高いので、働き過ぎに注意が必要です。残業はこの方はどのくらいされていますか?」 朝倉「働き過ぎに注意ですか…確かに〇〇さんは残業が多いので減らさないとと思いますが、△△さんは家庭の事情で毎日定

        基本的な産業医との付き合い方〜言葉の難しさ〜

          基本的な産業医との付き合い方ー健康施策の次の一手を産業医と考えよう!

          事例朝倉「(最近、佐々木先生との産業医業務、それなりに会社の人たちにも認識もらえて、健康診断、ストレスチェック、過重労働面談、安全衛生委員会、職場巡視とかもつつがなく進んでいる。ただ、なんか最近物足りないんでよな・・・)」 佐々木「こんにちは。今日もよろしくお願いします。」 朝倉「佐々木先生。先月ぶりです。今日もよろしくお願いします」 佐々木「申し訳ありません。午前中他所での産業医業務が早く終わってしまい、ちょっと普段より早くついてしまいました。」 朝倉「良いですよ。

          基本的な産業医との付き合い方ー健康施策の次の一手を産業医と考えよう!

          過重労働対策における産業医との付き合い方その2

          事例人事部員の朝倉から依頼を受け、産業医の佐々木は長時間労働を行ったBさんと面談を行っていた. 佐々木「100時間以上も残業しているんですか・・・そうですか。それは大変ですね」 Bさん「そうなんです、最近は眠れていないし、もう限界です。産業医から残業制限をかけていただくことはできないでしょうか」 佐々木「(たしか、健康の問題が発生している場合には産業医は就業制限をかけれるんだったな)分かりました。私から企業側に言っておきますね」 《Bさんとの面談を終了する》 朝倉「

          過重労働対策における産業医との付き合い方その2

          産業医に安全衛生委員会に出席してもらうとき人事はどうすればいいの?

          事例 産業医の執務日。人事の朝倉は安全衛生委員会が開催される日であることを思い出した。 朝倉「(面談もないし、とりあえず参加してもらうか)今日はちょうど安全衛生委員会が予定されていますので、佐々木先生に是非とも出席していただこうと思います。」 佐々木「承知しました。(そういえば、今まで委員会に参加することなかったなぁ。)」 会議室にて・・・ 朝倉「それでは、みなさんお揃いですね。安全衛生委員会をはじめます。今日は丁度、佐々木先生の執務日だったので出席してもらいました

          産業医に安全衛生委員会に出席してもらうとき人事はどうすればいいの?

          健康診断が受診できない社員への対応を考える

          事例人事の朝倉は上司である寺田から言われた言葉に悶々としています。 寺田「どうやら定期健康診断って、全員の社員が受けなければいけないらしいな。休んでいる社員にも受けてもらわないといけないのだろう、ちゃんと連絡して、全員が受診してるか確認してくれよな。今年は定期健康診断受診率100%だぞ!」 これまで、ナインエス株式会社では定期健康診断は従業員に任せ、全員の受診を確認してこなかった。しかし、寺田が先日、労務管理に関するセミナーで、「定期健康診断は全員受診が必須」と聞き、早速、

          健康診断が受診できない社員への対応を考える

          嘱託産業医の探し方

          事例人事の朝倉も他の長時間労働者に漏れず、残業が続いたある日の夜9時。オフィスで勤怠管理業務を行っていたところ、スマホの画面に以前一緒に働いたことがある田中からの着信があった 朝倉「お、田中、久しぶりだな! どうしたこんな夜遅くに電話なんて珍しいじゃないか」 田中「朝倉こそ元気でやってるか? 実はな、産業医のことで相談があって電話したんだ。朝倉の会社、最近産業医をお願いするようにしたって風の噂で聞いたよ。うちの会社も実は来月には従業員50人を超えそうで産業医を探さなきゃい

          嘱託産業医の探し方

          過重労働対策における産業医との付き合い方

          事例人事部員の朝倉は、前月の勤怠を締めるため、社員が入力した勤怠データを確認していた。 朝倉「おっと、開発設計部、100時間以上も残業してる人が5人もいるじゃん。あれ、営業部も3人いるな。うわ、PJ推進部なんか7人だ!これって、確か、産業医に面談してもらわないといけないんじゃなかったっけ?よし、次回、佐々木先生が来る日に面談できるように調整しておこう」 -------------訪問当日 朝倉「先生、こんにちは。今日はですね、先月の労働時間で100時間以上残業していた社

          過重労働対策における産業医との付き合い方

          復職の産業医面談に向けて人事担当者はどんな準備をすればよいのか?

          事例ある日、人事部員の朝倉のもとに、適応障害で休職していた社員から診断書が提出されました。 朝倉(ちょうど、なんかの記事で復職時には産業医面談とか読んだな。明日さっそく面談してもらおう。) 訪問当日 朝倉「先生、こんにちは。今日はさっそく復職面談をしてください。時間は20分程度でよいでしょうか?(紹介会社からは面談はその位ときいていたし・・・)」 佐々木「あ、そうなんですね、わかりました。(え、いきなり・・・とりあえず、元気かどうか話を聞けばいいのかな)」 朝倉「じ

          復職の産業医面談に向けて人事担当者はどんな準備をすればよいのか?

          健康診断の結果を産業医に見てもらうとき、どんな用意をすればいいですか?

          事例 ナインエス株式会社は新しく産業医を選任し、もうすぐ2回目の訪問日。人事部員の朝倉は、産業医の佐々木に何をしてもらえばよいのか、インターネットを検索しながら考えていた。 朝倉:「産業医の業務、と・・・。なになに、『事業者は、健康診断の結果について医師から意見を聴かなければならない』、か…。うーん、健康診断は各自に任せているし、社員から提出された結果も特に何もせずファイリングしてあるだけだしなぁ・・・。まぁいいや、ファイルを渡せば産業医の先生ならなんとかしてくれるでしょ。

          健康診断の結果を産業医に見てもらうとき、どんな用意をすればいいですか?

          産業医の先生は何をしてくれるんですか?

          事例ナインエス株式会社は120人の社員が所属する設立10年の、IT企業である。ここ1-2年で社員が大幅に増加し、従業員は会社の拡大に合わせるように毎日ばりばり働いている。先日、労働基準監督署の立ち入り調査で、『産業医を選任するように』という指導をうけたため、人事部員の朝倉が、産業医を探すことから契約、来社時の対応まで全てを一人で行うこととなった。今日は、産業医の佐々木が初めて来社する日である。 佐々木:「はじめまして。医師の佐々木です。よろしくお願いします。」 朝倉:「ナ

          産業医の先生は何をしてくれるんですか?

          人事担当者向け「産業医のトリセツ」プロジェクト。始めます

          人事担当者のみなさま、はじめまして。私たちは、Twitterで活動している産業医です。普段からTwitter上で情報交換していく中で、人事担当者のみなさまに産業医のことを知っていただきたいという思いで、このプロジェクトチームを結成しました。これから、人事担当者がお困りになっているであろう「産業医との上手な付き合い方」についてひとつひとつ説明していきたいと思います。ぜひ読んでいただき、産業医とより良い連携をしていただければありがたいです。 なぜこのプロジェクトを始めるのかみな

          人事担当者向け「産業医のトリセツ」プロジェクト。始めます