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一番好きなものをあげるか

1年生の娘が、音読で「かいがら」というお話を読んでいる。

話をさんご的に大雑把に要約すると……
『くまのこが、拾ってきた貝がらを、うさぎのこに見せて「どれが好き?」と聞く。
ところがうさぎのこが選んだのはくまのこが一番好きな、しましまの貝がらだった!くまのこは、うさぎのこが一番好きと言った貝がらをあげようと思っていたのだが、自分の一番好きなのと被ってしまい、その日はそっとしまって持って帰る。次の日、くまのこはうさぎのこに、一番好きなしましまの貝がらをあげる。
うさぎのこが「それは、くまくんが一番好きな貝がらではないのか」と問うが、「大好きなともだちにはいいものをあげようと決めた」というのだ。その後うさぎのことくまのこはお互いにそれぞれの貝がらを耳に当てにっこりしあう。』

という、ハートフルな話なのだ。
挿絵も可愛らしくて優しい。

きっとくまのこの、あげるかあげないかの葛藤と、友達への優しさを子どもたちに、伝えたかったんだろうなという教科書の意図が伝わってくる。

娘なら、どうするだろう。
ふと聞きたくなって聞いたら、「それ今日の学校でも聞かれた」と。
やっぱりな。話し合っちゃうよね。

で、どうすると思う?と聞くと、意外な答えが帰ってきた。
「一番好きなかいがらは、家にしまっておいてうさぎのこには見せないないよね」

予想外の答え!そもそも、葛藤するならあげたくないものをうさぎに見せるな、ということか!

たしかにー。娘らしいな(笑)。

大人は、この文章よんだら、葛藤ありきで考えてるけど、子どもの世界からしたら、そうだよね。ほんとはあげたくないんだもんね。

「ちなみに学校では、どんな話が出たの?」と聞くと、「じゃんけんする」と出たという。

発想が可愛すぎる。

どれが好き?と聞いておいて、これ、と指さしたらじゃんけんに持ち込まれるとか、どういう事?って、うさぎさんもびっくりよね。
くまのこも、勝てたら良いけど、負けて納得できるのかしら……(笑)。
勝てたらいいねって、いうことになったたってどういうことやねん。
想像するとニヤけてくる。

それは置いておいて、ちょっとホッとした。
子どもたちが、自分の一番好きなものでも、大好きな友達だからってあげるのがいい、とは一律に思っていないことが分かり、授業の先生もそうやってまとめたわけではないと聞いたからだ。

その時のくまのこは確かに優しいんだけれど、どんなものでもあげるのだけが優しさではない、と私自身思っているからだ。

相手が求めているからといって(そもそもうさぎのこは、貝がら欲しいとも言ってない)、なんでもあげるのが優しい訳ではない。

よく、赤ちゃんの時に児童館とかで、「お友達が使いたいって待ってるから貸してあげなさい」と、言ってしまうお母さんがいる。私も気持ちめっちゃわかる。相手のために、貸してあげる、分け与える、あげる、そんな奉仕の精神こそ尊くて、小さいときから、どうぞのできる優しい子になってほしい。または、周りから優しい子に見られたい。

でも、果たして、自分の大事なものを、簡単に人に渡してしまう人は、本当に優しいのか。

しましまの貝がらを見つけ出した時のくまのこの気持ちは?
今、その瞬間その玩具で遊んでいる子の気持ちは?

次の日にうさぎのこに貝がらをあげたくまのこも、優しいけど。
そもそもしましまの貝がらは大事な箱にしまって、他の貝がらをあげたって、マルなのだ。
しましまの貝がらを貸してあげるのでもいいし、しばらくしてからあげてもいい。
うさぎのこに、正直にこっちでもいい?と聞いても良い。
二人が納得するならじゃんけんしてもいい(笑)

相手の気持と同じくらい、自分の気持を大事にしていい。
そして、それが相手、うさぎのこにも伝わった時に、ほんとにいい関係になれるんだろうなと思うのだ。

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