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料理をめぐる世界の隅っこに、ぽつっと椅子を置いてみる。
気づけば、料理界隈をうろうろしている。
いろんな食材の組み合わせを妄想するのがいつの間にやら好きになり、それを実験のように作っては発信することを盲目的に続けてきたのだけれど、ふと目を上げると見える景色に圧倒されることが増えてきて。
時短・簡単・コスパ、
バズ・センス・映え…
それらの要素をまとったきらびやかなレシピが、大量に、そしてものすごいスピードで目の前をびゅんびゅんと過ぎていくのに息を
手巻き生春巻きにいたるやっかいな衝動
"食いしん坊"を確固たる第一属性として生きているせいか、自分でも「やっかいだな」と感じる食の衝動を抱えている。
それは、「何が食べたい」という食べものそのものへの衝動ではなく、"食べ方"へのそれ。
「焼肉が食べたい」ではなく「何かをくるんで咀嚼したい」、「リゾットが食べたい」ではなく「スプーンでお米を食べたい」など。
こだわっているのはあくまで"食べ方"なので、前者だとタコスだったり、後者だと
雨の日、ひきこもりのリゾット
雨を「天気が悪い」と表現するのは一方的だ、と、どこかで見てからたしかにそうだなと思うようになったものの、やはり足元が濡れたり、傘を扱ったりしなければならないのはわずらわしい。
そんな雨降りの日も、外出の用がないとなるとなぜか得したような浮足立つような気持ちになる。
雨垂れの音や鈍い陽の色に包まれて、読み逃していた本を読んだり、楽しみに録画していた映画を観たり。調子に乗ってワイン出してきたりして
花の名前、黒酢の煮込み
「この花は?」
「ヒメキンギョソウ、だったかな」
「いい香りだねぇ」
「あそこにテイカカズラが咲いているんだわ」
出掛け先の駐車場から目的地までの道、愛犬との散歩道。
聞く父と答える母がゆっくりと歩く光景は度々で、子どもの足で追いかけていた後ろ姿をいまだに時々思い出す。
幼い私にはそのやり取りが、日常のなんてことない端っこからこの世界を解き明かしていくような、魅力的な秘密のメソッドのように見え
クスクスの(ときめきの)ススメ
「作り方の想像がつかない食べものを作ってみる」ブームが、突如訪れたことがある。
大量のコーンスターチにマシュマロ生地を落としてはニマニマし、卵ボーロを丸める前にダイラタンシー現象(*1)ぽくなった生地で遊んではニマニマし、マカロンを焼いている時にちゃんとピエ(*2)が出てはニマニマしていた。
ぱっと思いついた3つを作って早々にブームは去ったのだけれど、それまで知らなかったことや未経験の体験をす
駄目だった日の煮込み
お気に入りの茶碗を割ってしまったことから始まった日。
改札前で、定期券の期限切れに気づく。
仕事のミスにすんでのところで気づいたものの、リカバリーに本来の倍の時間を使う。
買ったばかりのパンプスのヒールを、側溝の網にはめてしまって傷つける。
思わず深いため息をついてしまうこんな時には、一度ぎゅっと目をつぶってから、ひとつひとつ丁寧に、を心掛け、時が経つのをひたすら待つことにしている。
右足を