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クスクスの(ときめきの)ススメ

「作り方の想像がつかない食べものを作ってみる」ブームが、突如訪れたことがある。

大量のコーンスターチにマシュマロ生地を落としてはニマニマし、卵ボーロを丸める前にダイラタンシー現象(*1)ぽくなった生地で遊んではニマニマし、マカロンを焼いている時にちゃんとピエ(*2)が出てはニマニマしていた。

ぱっと思いついた3つを作って早々にブームは去ったのだけれど、それまで知らなかったことや未経験の体験をするのってわくわくするし、そんなときめきを「自分で作れる」ということは、当たり前なんだけど忘れがちで、でも忘れちゃいけない大事なことだと思ったのを、かの日々の唐突なブームとともに思い出す。

「クスクスを料理する」というのは、そんな初体験のときめきを感じるのにうってつけじゃないかなと思っていて。

自分でクスクスを料理したり常備している人は少ないだろうと思いつつも、私が結構な頻度でクスクスを使うのは、なんといっても手軽だから。
なにしろ、「ひたひたより多めの湯を注いで塩ひとつまみ、その辺の皿で蓋をして待つ」だけなんて、え、カップ麺レベルじゃない?
硬めに仕上がっちゃったら、湯を足してまた蓋をすればいいだけだし。

本来は蒸し器で蒸すのだけれど、簡易的なこのやり方を知ってからとても気楽に食卓に取り入れている。

それ以上手間をかけないなら、レトルトカレーやパスタソースと合わせてしまったっていいしね。

もし余力があって、料理にするならこんな感じ。

▶あさりとトマトのスープクスクス

あさりの白ワイン蒸しをする時にトマトも一緒に入れて、あさりが開いたら戻しておいたクスクスと合わせる。
あさりとトマトの出汁スープをたっぷり含んだクスクスが、もうね、たまらんのですよ…

▶焼き野菜の温タブレ

フライパンにオイルをひいて、野菜を並べて塩ふって。両面焼いたらリンゴ酢を回しかけ、酸味を飛ばして甘みをまとわせる。
戻しておいたクスクスに、焼き野菜、刻んだ赤玉ねぎとパセリを混ぜる。
出来立てのあたたかいのもおいしいけど、冷やしても。
タブレ(クスクスのサラダ)は、クスクス少なめが好み。

進学もクラス替えもない大人になってしまいましたのでね。
時々、自らピカピカの1年生になるのも良いものです。


(*1 ぎゅっと握ると固くなり、力を弱めると流体化する現象)
(*2 マカロン生地焼成時、下部にできるふくらみ)

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