マガジンのカバー画像

日本の森、モリのニッポン紀行

802
「延喜式」に掲載されている式内社をタイヤの太いFATBIKEという自転車で訪ねています🚲 2020年1月より140文字で巡拝記を書き始めました。 ・2020年12月6日〜(no… もっと読む
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

御歳神社@大和國高市郡。

平野に浮かぶ馬立伊勢部田中神社の森。若いお父さんと小さな男の子の先客がいた。「こんにちは」ボールを追ってこちらに走ってきた男の子が元気に挨拶してくれた。由緒によると元宮が飛鳥川の洪水で押し流されて現在地へ。日が落ちた境内から鳥居越しに眺める畝傍山が美しい。

写真は奈良県橿原市。

波多神社@大和國高市郡。

山頂の電波塔施設の陰、緊張しながら獣害除けの電線を越え境内へ。県道から分かれた林道を自転車を押して上った。時折木々の隙間から飛鳥の地が垣間見られる。都から忘れられたような遠い場所だが、神社を下ると亀山天皇の皇子、良助親王の陵。決して都とは無縁の地ではない。

写真は奈良県明日香村。

大歳神社二座@大和國高市郡。

境内参拝後、隣接する剣池へ。日本書紀応神記の記事にもその名が登場。同じく紀中に記される孝元天皇池嶋上陵はこんもりとした森として池の奥に浮かぶ。大和の旅では期せずして記紀や万葉集の舞台を訪ねることがある。ハードルは高いが味わい深い旅のために読まなければ。

写真は奈良県橿原市。

氣都和旣神社@大和國高市郡。

「もうこんの森」と呼ぶのは飛鳥特有の歴史的な理由から。蘇我入鹿を倒した藤原鎌足はその首に追われ多武峰方面の坂道を逃げた。「もう来ないだろう」昼なお暗いその森に着き安堵したことからそう呼ばれるようになった。確かに都からは遠く鎌足が納得したのも分かる距離。

写真は奈良県明日香村。

呉津孫神社@大和國高市郡。

天文図で有名なキトラ古墳からひと山越えた栗原の集落。境内に入るや恐竜の足のようなごついムクノキの巨木に感激。紀の雄略記に呉国人を桧隈野の呉原に住ませたという記事がある。現在の地名、栗原は呉原の転訛だそうだけど、肝心の呉は中国の呉説と高句麗の句麗説があり。

写真は奈良県明日香村。

東大谷日女命神社@大和國高市郡。

飛鳥資料館を通り過ぎて右側に現れた森を神社と直感。木々の隙間から社が見え隠れするも入口が見つからずに立ち往生。森の横手に敷き詰められたソーラーパネルの後方、道なき草むらを段上の畑に抜けるとようやく鳥居。十二月を過ぎても色づきは少なく青々とした境内。

写真は奈良県桜井市。

飛鳥川上坐宇須多伎比賣命神社@大和國高市郡。

急な石段をしばらく上がり一ノ鳥居。境内を見上げると流造の建物が鎮座する。本殿と早合点したが拝殿。建物後方、板塀の外側には巨木がそびえる山の頂き。神社がある小山自体がご神体なのは三輪山と同じ。大和には本殿なき古形態の神社が多く驚きの連続。

写真は奈良県明日香村。

加夜奈留美命神社@大和國高市郡。

旧社地といわれる山上の天神社跡。地元の方に尋ねるも場所分からず断念し論社の葛神社へ。付近には石舞台古墳を中心に大小古墳が多く、神社近くの都塚古墳では家型玄室が見られる。真っ暗で冷んやりした室内に生々しい“古代”を感じた。神社は古墳見下ろす高台に鎮座。

写真は奈良県明日香村。

加夜奈留美命神社@大和國高市郡。

飛鳥川を吉野郡境の山並み近くまで遡る。栢森の集落奥、境内を囲む様々な樹種の木々。各々が主張して枝葉を伸ばすためか境内は狭く感じられる。社名通りに受け止めれば祭神は女神、加夜が古代朝鮮の伽耶だったらば異国の女神になる。同じく式内社の瀧本神社は末社に。

写真は奈良県明日香村。

鷺栖神社@大和國高市郡。

寄るつもりだった藤原京跡を通過、その先の森へ向かう。標柱が立つ堤防から二本の鳥居を含め境内全体が見渡せる。鬱蒼としているのは一部で、枝打ちされたスギ木立がスッキリした印象を与えている。午前中に降り始めた雨はいまだ止まず。神さまに祈雨した記憶はないのだけど。

写真は奈良県橿原市。

巨勢山坐石椋孫神社@大和國高市郡。

境内へ至る石段を上がるたびブチッとドングリを踏む音。社名からここは巨勢山か、小丘に鎮まる森である。拝殿向かって右、木が刈り取られた場所から外を眺めると白い団地群。左側の眼下には木立の先に並ぶ民家の屋根。神はひとに近づいたのか、ひとに追われたのか。

写真は奈良県橿原市。

牟佐坐神社@大和國高市郡。

猿石で有名な吉備姫王墓。股間を露出する石人は渡来系工人作という説を聞いた記憶がある。王墓から岡寺駅裏の境内へはあっという間。拝殿前でレースの前垂れでにらみをきかす狛犬に笑いが込み上げた。孝元天皇軽境原宮址の碑が立つも当地を治めたのは牟佐村主青という渡来人。

写真は奈良県橿原市。

稲代坐神社@大和國高市郡。

曽我川を渡りこんもりとした森に足を踏み入れた途端、木々に止まっていた鳥たちが一斉に飛び立った。落葉樹が少なくねぐらに最適な青々とした森。コンクリート塀内に鎮座する春日造の社に手を合わす。無断駐車や木々の伐採を禁ずる看板が見られるが、事例が多いのだろうか。

写真は奈良県橿原市。

甘樫坐神社四座@大和國高市郡。

数年前、男根形の石造物であるマラ石を見に行った。なぜと思ったけど須弥山石や石人像、吉備姫王墓の猿石など謎な石造物が多い飛鳥。甘樫丘西側鎮座の境内。拝殿北側の立石は注連縄が張られた高さ3mの板状の石。表面に何かを表現した紋様がないだけに不思議さも倍増。

写真は奈良県明日香村。