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「同志少女よ、敵を撃て」 〜逢坂冬馬〜
ずっと前から読みたかった、逢坂冬馬氏の「同志少女よ、敵を撃て」を読了しました。第11回アガサ・クリスティ受賞作品です。選考委員全員が全員満点をつけたのは、アガサ・クリスティ賞史上初めてだそう。
第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。独ソ戦、女性だけの狙撃小隊がたどる生と死。
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために……。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?
480ページあまりの長編を一気に読み終えてしばらく、ぼーっとしていました。あまりにも強烈で現実の世界に思考がついていけず。
感想はうまく書けません。
10代の、ドイツとの架け橋になるべく外交官を目指していた少女が、狙撃兵となって敵を撃つことしか考えられなくなっていく過程は、かわいそう、や酷い、だから戦争は…等のありきたりな言葉で表せるような事ではなく。
2021年に出版された本で、ロシア・ウクライナの戦争が始まった(ロシアが侵攻した)のが2022年の2月24日。今気づきましたが丁度、丸2年経ちます。
私は世界情勢には疎いのですが、その年オープンカレッジでBBC等の関連記事を随分読んでいました。おかげで、ウクライナの地形やあまり日本では報道される事のなかった出来事、ロシア人やウクライナ人の心情について多少なりとも知っていたのが幸いしました。勉強は大事ですね。講座を受けていなかったら、おそらく読み取れなかったところもかなり多かったように思います。
無知を晒すようで恥ずかしい限りですが、どうしてロシアがあれほどまでにウクライナのアゾフ連隊をネオナチとみなして憎んでいるのか、2022年に講座を時点では今ひとつ分かっていませんでしたが、この本を読んで腑に落ちました。
セラフィマが戦争から学び取ったことは、800メートル向こうの敵を撃つ技術でも、戦場であらわになる究極の心理でも、拷問の耐え方でも、敵との駆け引きでもない。
命の意味だった。失った命は元に戻ることはなく、代わりになる命もまた存在しない。学んだことがあるならば、ただこの率直な事実、それだけを学んだ。
もしそれ以外を得たと言いたがる者がいるならば、その者を信頼できないとも思えた。
この最終章のシンプルな数行が、全てだと思いました。
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