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まるで『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』?! 9.11の知られざる舞台裏

世界を震撼させたアメリカ同時多発テロの実行犯であり、映画『スーツケース 』の荷物の持ち主でもあった、モハメド・アタ(Atta Mohammed)。

そして、彼がテロを成功させるために行ってきた準備の数々と、まるで映画のような出来事。

そこから見えてきたのは、防ぐことのできなかった事件の残酷な現実と、
時に大きな権力と戦いながら生きる、名もなき人々の姿でした。

今回は、映画『スーツケース 』に関連する実際の出来事とともに、映画の魅力をご紹介します!

〈作品時間〉19:52
〈監督〉Abi Damaris Corbin
〈あらすじ〉2001年9月11日に発生した同時多発テロの知られざる真実の物語。混乱するアメリカで事件の真実を明かす鍵を握っていたのは、ボストン空港で働く1人の従業員だった...!


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モハメド・アタとは


モハメド・アタは、国際テロ組織「アルカイダ」の元メンバーの1人で、米同時多発テロの実行犯グループのリーダーであるとされています。

事件当時、彼の操縦していた飛行機は、映画『スーツケース 』の中で主人公が働いていたローガン国際空港からロサンゼルス国際空港に向かう途中で、世界貿易タワーに追突しました。

まさに、タワーに追突した1機目の飛行機が、この彼の乗っている飛行機だったのです。

アタはテロ計画を実行するにあたり、入念な準備を行っていたそうですが、彼の犯行を予兆する出来事はいくつかありました。



実際に盗まれていた制服

実は事件前、イタリアでアメリカン航空のパイロットの制服や、航空会社の施設へアクセスできるカードなどが盗まれるという事件が起こっていました。

そして、この制服に身を纏ったアタを9.11前に目撃したとの情報も相次いでいます。

つまり、アタは制服を着ることで、アメリカン航空のパイロットになりすましていたと考えられます。

また、主人公が訴えていたように、実際にこのスーツケースからはパイロットの制服が見つかっているのも事実です。

確かにパイロットの制服を着ていれば、まず疑う人はほとんどいませんよね。

このパイロットの制服は、アタにとって、様々なところへ乗り込むための非常に便利な手段になっていたと言えます。


易々と飛行免許を取得したアタ

また、アタは飛行機をハイジャックする前、実際の機体でシュミレーションを繰り返していたといいます。

事件の数ヶ月前、アメリカに渡った彼はフロリダ州南部の航空学校で飛行訓練を行い、なんと、なかなか受からないと言われている試験を見事1回でパスして、自家用操縦免許を取得したそうです。

その後は、何度もアメリカン航空に乗り込んだり、様々な航空会社の飛行機のジャンプシートに乗り込み、機体や操縦に関する情報を得ていたと思われます。

ちなみにジャンプシートとは、コックピットまたは客室の端についている補助席のようなものです。

映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』でもレオナルド・ディカプリオが乗っていた、まさにあの席のことですね。

ここに乗れるのは、トレーニング中のパイロットや航空会社のスタッフなど非常に限られているそうですが、アタは制服を着ていたため、乗り込むことができたようです。

また、ジャンプシートに乗るパイロットは、ほとんど喋らないか、飛行以外のことについて話し合うのが普通だそうですが、アタとたまたま出くわしたとされる元パイロットの話によると、彼は航空機の装置やコントロールパネルについてひたすら質問し続けていたといいます。

このように、少し怪しい素振りを見せながらも、見事にパイロットになりすましていたアタは、まるで本当に映画の中の登場人物みたいですね、、


聞き入れられなかった証言

『スーツケース 』の主人公と同じように、アタに関する情報を必死に伝えようとした人たちは、他にもいます。

アタと一緒に飛行機に乗っていたと思われる先ほどの元パイロットは、当時アタに対して抱いた違和感を日誌に書き記し、後にFBIに報告しました。

しかし、FBIからは、「おそらくその人物はテロ事件に関係ないだろう。その話を裏付ける証拠はない。」と言われたそうです。

また、9.11前に飛行機に乗り込もうとしていたアタと接触したという副操縦士や、その手がかりとなる情報を発見したという女性従業員も、当時の状況を具体的に証言していました。

ところが、9.11の調査委員会は彼女たちの説明を完全に無視し、アタがジャンプシートに乗り込んでいたことに関する十分な証拠は得られていないそうです。

多くの人がアタを見ていたのに、食い違う様々な証言と曖昧な情報によって真相がうやむやになっていることからも、この事件の恐ろしさをより感じることができますね。

解雇された従業員

ちなみに、映画『スーツケース 』は、南カリフォルニア大学の学生によって制作されたものだそうです。

映画の中では必死に、事実を訴え続けていた従業員でしたが、そんな彼の物語が表に出ることは、ほとんどありませんでした。

そればかりか、彼は航空会社から解雇されてしまいました。

確かに、お客さんの荷物を勝手にのぞいてお金を盗み取ることはいけませんが、厳しい待遇の中で肉体労働をしている彼らがいるからこそ、毎日大勢の人々が飛行機に乗って移動できているのも事実ですね。


この映画は、あの恐ろしい9.11テロ事件を描くとともに、「FBIや上司などの権力と戦いながら生きようとする1人の従業員」という、もう一つの物語にも焦点を当てているところが、まさに素晴らしいと言えるのではないでしょうか。

『スーツケース』はSAMANSAで公開中です!!ぜひご覧ください!

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