見出し画像

2022.3.13 ウクライナ戦争と日本の安全保障

今回のウクライナ戦争で非常に重視しているのは、“アメリカがウクライナに来なかった”ということです。

ウクライナは1994年にブダペスト覚書で、核兵器を全てロシアに返還するまでは1200発もの核兵器を保有し、いざという時にはアメリカが守ってくれるという確約をもらって今日までやってきました。

しかし、実際ロシアがウクライナの首都にまで侵攻してきた今回、アメリカは来ませんでした。

実は、これは台湾有事においても、アメリカが来なかったという前例を作ってしまったのです。

少し邪見ですが、私はこの前例をアメリカはワザと作ったのではないかと思っています。

つまり、大国ロシアがウクライナを攻めたが、ウクライナはNATOでも同盟国でもないので、アメリカには助ける道理がありません。
となると、台湾はどうでしょう。

中国がいきなり攻めてきた時に、アメリカは台湾を同盟国だと明確に認定しているわけではないので、いざという時に助けないかもしれません。

そうなると、今回のウクライナと同じ事情で、アメリカは来ない可能性があるという1つの証明になったのではないかと思います。

もし、これでロシアのウクライナ侵攻が上手くいけば、それを見た中国が台湾を攻めるというアクションを取ることもあり得ます。

そして、実際に台湾を攻めてもアメリカは来ない…。

それが、今のグローバリストたちが長年求めていた、アメリカから中国への覇権の移行という大イベントを演出するターニングポイントとして、ウクライナ侵攻と台湾侵攻が歴史に刻まれるのではないかと思います。

その時、日本はどうすべきか?

今の自衛隊は、他国が攻めてきた時に3、4日で米軍が来てくれるという大前提を基に戦略を立てています。

しかし、“その前提がそもそも間違っていたらどうするのか?”ということは、日本国内ではほとんど議論されてきませんでした。

これでアメリカが来なかったということになると、日本政府がいくら台湾有事は日本の存立に関わる事態だと言ったところで、実際に核保有国である中国の人民日報では、
「もし、台湾問題に日本が関与したら、日本が降参するまで何発でも核ミサイルを落としてやる」
と言っています。

その時に日本は何ができるのか?
ほとんど何もできません。

そうなれば、ヨーロッパでの戦争がアジアへ波及して、ロシアとアメリカの戦争がオホーツク海で始まるかもしれませんし、そうした中、日本の北方ではロシアと対立し、そこへ北朝鮮がミサイルを打ってくるとか、南方では中国に尖閣が取られてしまうような事態になり、日本がもしかしたらウクライナ戦争の余波によって、近い将来、解体に向かう可能性すらあるのではないかといった危機感を案じています。

今回のウクライナ戦争では、かつてないほどの情報戦と心理戦、そして世論戦の規模が大きくなっており、日本の報道のほとんどが、ひたすらゼレンスキー大統領を含むウクライナ側の全てを英雄視しています。

もちろん、日本は西側の情報ピラミッドからしか情報を得ることができないので、そこにはアメリカの思惑がたっぷり含まれており、ロシアを“悪者”に仕立て上げるシナリオに不都合な情報は一切入ってきません。

しかし、それではプーチンがなぜウクライナを攻撃したのか?
誰が、何のためにこのウクライナ危機を作り上げたのか?
この騒動は、どこへ向かうのか?

など、ウクライナ危機の本質は全く見えてきませんし、そんな状況では緊迫したこの世界の中、日本が何をしたらいいのか、あるいは何をしてはいけないのかが全く分からないまま…。

いざという時に、アメリカ が守ってくれる“はず”という淡い期待だけを胸に抱えて、ただアメリカの言うがままに動かされるしかありません。

ウクライナからは8000kmも離れた場所に住んでいる我々日本人ですが、決して他人事ではありません。

この危機を正しく知ることで、今まさに直面していること、また将来の日本に降りかかるかもしれない本当の危機というものに対して正しい判断を下せるようになる、少なくとも的外れな判断はしなくて済むようになると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?