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2022.6.21 優越感?劣等感?中国から見た日本とは

突然ですが、『論語』と聞いて皆さんは、どんなイメージがありますか?

学校でも学ぶので、“道徳性の高い立派な学問”という印象があるかもしれません。

しかし、日本人は、この論語のイメージによって、“本当の中国人の姿”を誤解しやすい傾向があります。

論語などの中国古典には書かれていない『中国人の価値観』とは何なのか?

これを知る糸口として、今回は、“中国人が日本人をどう見ているか?”について書き綴っていこうと思います。


中国人は日本をどう見ているか?

私が日本に居ながらにして一番驚くことは、日本人の『中国人観』です。

恐らく親中、媚中と呼ぶに相応しい人が、
「中国人は非常に心が広い寛大な民族で、懐も深く大らかで、道徳心が高く、信用を大事にする」
というような言葉を耳にします。

このような中国人観を聞く度に驚くと共に、
「果たして、この人は中国人のことをどこまで知っているのだろうか」
と疑問に感じざるを得ません。

というのも、日本と同じく脅威と感じている、中国人の実態をつぶさに見ざるを得なかった台湾からすれば、日本人の中国人観は全てにおいて正反対に映っています。

そこで、中国人を知るためには、
「中国人が日本をどう見ているのか」
を知ることが、一つの大きな手がかりになります。

その対日観を比べてみれば、中国人と台湾人の違いもよく分かるはずです。

『中国人から見た日本人観』は、主に次の3つの要素から成り立っています。

(1)日本に対して優越感を抱いている
中国は国の名前の通り、自分たちが世界の中心と考えている国で、
「自分たちこそ4000年の歴史を持ち、中華文化という最も優れた文化を持っている国だ」
と考えています。

ですので、中国人はよく、
「日本文化は所詮、中華文化の亜流にすぎない」
と言います。

日本の漢字にしても、中国から伝わってきたものだということで、日本に対しては文化的、民族的な優越感を常に抱いています。

このような考え方は国の方針にも反映され、国際舞台のあらゆる場面において、日本には中国以上の発言権を与えないよう常に企図しています。

特に、日本が国連の安全保障理事会のメンバーに加入することは、中国の優位性を脅かすものであり、絶対に容認できないという考えです。

自分たちこそが世界の中心であると考える中国は、日本に対しても絶対的優位に立たなければならないと考え、それこそが対日観の原点になっているのです。

(2)日本に対して劣等感を抱いている
自分たちこそ世界の中心と考えている中国が、なぜ日本に対して劣等感を抱いているのか?

これは、中国は4000年来、周辺諸国を東夷、西戎、南蛮、北狄と分け、征服と朝貢の対象と考え、あらゆる近隣諸国に兵を出して侵略を繰り返してきました。

例を挙げればキリがないですが、近年のチベット侵略もそうです。

しかし、その長い侵略の歴史の中で、一度たりとも征服できなかったのが、“東夷にすぎない”日本でした。

しかも日本との戦争で勝利したことがなく、1894年の日清戦争で負け、大東亜戦争でもほぼ連戦連敗。

ところが中国は、第二次世界大戦の戦勝国として、国連の安全保障理事会の一員となり、確かに日本より優位に立ったように見えました。

しかし、日本は、大東亜戦争では負けたものの、いち早く経済を復興させて先進国入りし、一時は世界第2位の経済大国となりました。

中国は、日本に対して、
「常に優位に立たなければならない」
と考えているにもかかわらず、日本は常に先を行く。

そこで、劣等感を抱かざるを得なくなってしまったのです。

中国にとっての日本は、まさに“目の上のたんこぶ”なのでしょう。

(3)日本に対して被害者意識が強い
いわゆる事実無根の『南京大虐殺』のような世紀のウソを捏造してまで、中国人は日本に対して被害者意識を増大させています。

これは、戦時賠償金を放棄した中国が、何とか別の形で日本から賠償金相当のお金をを引き出すためという現実的な要請もありましたが、基本的には近現代の歴史に負うところが大きいです。
劣等感と同じで、戦争で負け続けた歴史意識の産物です。

その歴史意識と、
「日本が隣国でなかったら、中国はもっと発展していたはずだ」
という責任転嫁の心理が、被害者意識として現れているのです。

有体ありていに言えば、悪いのは加害者である日本であって、被害者の中国は悪くない。
加害者が被害者に金を出すのは当たり前だ、という考えを持っています。

このように中国人は、日本に対して優越感と劣等感、そして被害者意識という矛盾する3つの意識を併せ持っているのです。

靖国問題で分かる台湾と中国の違い

中国人と違って台湾人は50年間、日本人と一緒に暮らしてきた民族であり、またその子孫でもあります。

ですから、中国人より日本人の本当の姿を知っています。

では、台湾人と中国人の対日観の違いはどこにあるのか?

それは、日本の優れた文化や文明を素直に認められるかどうか?
ということです。

台湾人の対日観は、中国人のような屈折したものではなく、有り難いことに日本が台湾の先生であることを素直に認めていることに基づきます。

そして、日本人の美学や日本文化を謙虚に学ぼうとしているところに特色があります。

その象徴的な人物が李登輝元総統です。

李登輝氏は、日本の『び』や『び』といった文化や美学、日本に残されているサムライ精神、武士道精神を非常に高く評価していました。

恐らく公儀の隠密であったであろう松尾芭蕉の『奥の細道』を辿ってみたいという思いも、実際に歩いて日本文化を実感したいからで、このような思いは台湾人に共通しています。

台湾人は高く日本を評価し、尊敬できる民族として日本を位置づけ、
「日本文化は学ぶべきもの」
と強く意識しているのです。

さらに、台湾人と中国人の違いは、日本人の死生観や心の問題に理解があるかどうかにも顕著に現れています。

その良い例が、靖国神社に対する考え方です。

中国は、日本の靖国神社は軍国主義の象徴だと言って非難しています。

しかし台湾人は、かつて李登輝元総統も靖国神社に参拝したいと表明していましたし、戦時中、日本で戦闘機の生産に携わった台湾少年工出身者など、多くの台湾人が来日の度に参拝しています。

台湾人と中国人の対日観の決定的な違いは、まさに靖国神社への対応となって現れているのです。

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