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【短編脚本】約束のピザ


登場人物

みき、ちさ、ひろ

大学生、幼馴染3人


場面

昼間、ちさの部屋



(畳の部屋)

(部屋の中でみき、ちさは座っており、ひろは横たわっている)

(風鈴の鳴る音)


みき「あーーーーーーーピザ食べたーい」

ちさ「デリバリー頼む?」

みき「そういうんじゃなくて窯焼きのさっくさくのがいいんだよ」

ちさ「でもうちに窯なんてないよ?」

みき「じゃあ頼む?」

ちさ「窯焼きのデリバリーなんてあるかな」

みき「ない」

ちさ「だよね」

みき「じゃあどうすんの」

ちさ「えっ、どうしよっか」

みき「…作っちゃう?」

ちさ「いいね」

みき「じゃあ私バジル担当」

ちさ「なにそれ」

みき「担当を決めるんだよ」

ちさ「担当?」

みき「うん。トマト担当とか、バジル担当とか。そんでそれをみんなで持ち寄って、一つのピザにして一緒に食べるの」

ちさ「いいね、楽しそう」

みき「でしょ?…ねえひろー」

(ひろ、起きない)

みき「ひーろ」

ひろ「……」

ちさ「起きてー」

ひろ「…なに…」

みき「人ん家で快眠すんな」

ひろ「…畳気持ちいい…」

みき「小学校の時もこうじゃなかった?」

ちさ「だっけ?」

みき「体育館倉庫で寝てて鬼山に怒られたやつ」

ちさ「あったね」

ひろ「怒られてないし…」

みき「寝ぼけてんね」

ひろ「寝てない…」

みき「寝てたじゃん」

ひろ「寝てない」

みき「寝てた」

ひろ「寝てない」

ちさ「人んちで喧嘩しないの」

みき「してないよ」

ちさ「してたよ」

みき「してない」

ちさ「してた」

みき「してない」

ちさ「してた」

ひろ「ふたりとも俺を取り合わないで…」

み・ち「取り合ってねーよ」

ひろ「仲良しだあ」

みき「そりゃね」

ちさ「幼稚園からの付き合いだもんね」

みき「おそろいのヘアゴムつけてたもんねー」

ちさ「ねー」

ひろ「仲いいなあ」

みき「ひろもじゃん」

ひろ「でも俺お揃いのヘアゴムつけてない」

みき「つけようとしたら嫌がったじゃん」

ひろ「そうだっけ」

ちさ「うん、嫌がってた」

ひろ「さすがに記憶にないわ」

みき「すぐ忘れるもんね」

ひろ「でなんの話?」

ちさ「ピザ食べたくない?って話」

ひろ「ちさの奢り?あざーす」

ちさ「違うわ」

みき「みんなで担当決めて材料持ち寄って、ピザ作ろって話」

ひろ「なにそれ青春っぽい」

みき「大学生だし?ピザパでもしとく?」

ひろ「いいね。じゃあ俺モッツァレラ担当」

ちさ「なんで」

ひろ「美味しそうだから」

みき「あ、でも担当者はそれを作らないとだめだよ」

ちさ「え、そうなの?」

みき「うん、今決めた」

ひろ「じゃあ俺バジル」

みき「だめですーひろはモッツァレラ担当なのでいちから美味しいの研究してきてくださいー」

ひろ「えー」

ちさ「じゃあ私トマト担当?」

みき「うん、よろしく」

ひろ「生地は誰が用意すんの」

みき「それはまあそん時スーパーで小麦粉でも買ってきてまあ」

ひろ「ゆるいなあ」

ちさ「いいんじゃない?楽しみだなあ」

ひろ「モッツァレラかあ、むずそだなあ」

ちさ「ググればいけるって」

ひろ「じゃあちさが変わってよ」

ちさ「やだよ私トマト育ててみたいもん」

ひろ「みき」

みき「バジル育てていい女になる予定なので遠慮します」

ひろ「バジル育ててもいい女になれないぞ」

みき「なれる」

ちさ「なれないと思う」

みき「ちさ!」

ひろ「2対1で俺らの勝ちです、対戦ありがとうございました」

みき「ちくしょー」

ちさ「あ、でもそしたら今日は食べれないよ?」

みき「えーやだー今日も頼むー」

ひろ「俺も今日食べたい」

みき「今日も食べるし来週も食べるんだよ」

ちさ「トマトって一週間で実らないんじゃないかな」

みき「え、じゃあいつなの」

ちさ「確か2ヶ月くらいかかるはず」

みき「えー待ちきれないよー」

ひろ「今日も食べればいいじゃん」

みき「天才」

ひろ「知ってる」

(みき、ひろの脇腹をつっつく)

(二人、じゃれ合う)

ちさ「あ、うちピザ窯ないけどどうする?」

みき「手作りする?」

ひろ「流石に厳しいだろ」

みき「ダメかあ」

ひろ「オーブンでいいんじゃない?」

みき「オーブン焼き風窯焼きピザ?」

ちさ「窯焼き風オーブン焼きピザじゃない?」

ひろ「どっちでもないだろ」

みき「なんでもいっか」

ちさ「なんでもいいね」

ひろ「なんでもいいんかい」

みき「じゃあトマトの実がなったらまたこの家集合で!」

(風鈴の鳴る音)

(3人が今日のピザを決める会話)

(風鈴の鳴る音)

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