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【短編小説】ワンコーヒー


「ワン!」

「コーヒーですねかしこまりました」

「ワン!」

「一杯ですねかしこまりました」

「ワン!」

「二杯ですか?」

「ワン!」

「かしこまりました」

「ワン!」

「三杯ですね」

「ワン!」

何度訴えても届かない。

コーヒー一杯頼みたいだけなのに。

何かを言うたびに一杯注文が追加されていく。


しかしワンコは知る由もなかった。ここが蕎麦屋が潰れた跡地にできたワンココーヒー屋であることに。

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