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ニュースの限界

実家にいたとき、母親と一緒にテレビを見ていて、流れているニュースに対し母はこう言う。
「だからダメなんだよー。こうしてくれたらいいのに。」
こういう発言に違和感をずっと感じてきた。
たしかに感情としては理解できるし、不満を持つこと自体は自然な感情だと思う。ただ、一つのニュースで報道されている一面的な部分だけを見て、不満を言う、ということになんだか違和感を感じるのだ。

不満を感じるような理不尽なことでも受け入れよう、ということを言いたいのではなくて、むしろ不満があるなら言うべきだと思う。自分の生活や仕事に直結する場合もあるので、それなら尚更思うところがあるだろう。

生活や仕事に関わるニュースは不可欠な存在だ。が、そこに対してただ文句言うだけの存在はどうかと考えると、嫌だなと思う。しかし、じゃあどうすれば?と聞かれたら分からない。そんな状態が続いていた。

私のこの違和感の正体は、「何も知らないのに論じること」だ。

自分の仕事ではない、専門外のものに対する知識ってそう多くないと思う。私はIT系の仕事なので、医療の話や政治の話も仕事上では無縁だ。そのほぼ知識がない状態で、医療や政治のニュースを1つ、ポンと渡されたところで、その記事に書いてある内容でしか論じることはほとんどできないであろう。

そもそもテレビや新聞などといった媒体に載せられているものである以上、多くの場合、なんらかの制約や、特定の立場でのその出来事への評価が加えられている。基礎知識や前提知識がないと、その隠された制約や、どの立場から評価の話なのかすらも分からない。それがとてもひん曲がった評価であるかもしれないのに、前提知識がない故に「それが正しい」と思わされてしまうのだ。

さらに、その話の前提にあることを知らないままで論じれば、話がおかしくなるに決まっている。

女系天皇を認めるか?という話があったとする。
「女性だからダメなんておかしい。男女平等だー!」という議論になると話がおかしくなる。そもそも天皇、皇室って何か?とか女系って何?を知らないで話すと、そういうずれた話になる。女性天皇と女系天皇は字面は似てるが全く違うものなので、そこの議論も混同するとさらにカオスの様相を極める。

国際関係のニュースであれば、中国船が日本の領海内に侵入してきた、というニュースがあったとする。これも「領海に入ってくるとかダメでしょ!」というレベルの思考で止まっている人も多いかもしれないが、是か否か以前に、「中国」という国は何なのか?何を考えているのか?その歴史は?など、どういった背景を持っている国なのかを知っているかどうかで、その出来事への見方も大きく変わるだろう。チベットや台湾への関わり方を知っていれば、アメリカやイギリスなどの国とは明らかに違う国であることがわかるはずだ。ただ単に領海入っちゃった!とかいうレベルの話ではなく、その出来事を通して、中国が日本にどんな影響を与えようとしているのか、という視点で考える必要がある。

テレビなどで報道される内容は、かなり噛み砕かれて表現されるので、分かった"つもり"になりがちだ。だが実際は、基礎知識が前提の上で初めてわかることが本当は多い。前提知識がないまま、聞いたニュースの一面だけで論じるのは危険だ。論じるな、とは言わないが、専門分野でない限り前提知識や基礎知識が充分にないということは自覚しておいた方が良い。適当なことを言っていれば、本当にそれを理解している人には一瞬で見破られてしまう。

正直どこまでが基礎なのかも、きっと追求したら終わりがない世界なのかもしれないけど、少しでもそのニュースの裏側にあるものを想像してみることがまず最初の一歩だ。一つは、とにかく本を読むことが解決策だと思うので、私も日々知識を増やして本当の意味で「論じる」ことのできる人になっていきたい。

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