しょちぃ

元ケータイ小説おりおんクリエイター。電子書籍化済。インディーズ作家。気ままに好きに書い…

しょちぃ

元ケータイ小説おりおんクリエイター。電子書籍化済。インディーズ作家。気ままに好きに書いてるのでジャンルは決めてはいません。 名前の"しょちぃ"はAIりんながつけました。 よろしくお願いします。

マガジン

  • 夜明けの鏡

    内気で平凡な女の子のかの子は大学の時に付き合っていた尚輝と結婚し、平凡な毎日を送る。 ある日突然病気になったかの子は苦しい毎日の中、不思議な緑色の人から不思議な玉を受け取る。その玉を受け取ってから親友の真希と静佳を巻き込み、かの子に闇の影が襲ってくる。

  • 火の玉の如く

    スポーツ選手としてボクシングで頂点を目指していた主人公は事故によりボクシングができなくなったとき、新たなスポーツとしてサッカーと出会います。サッカーには全くの素人でしたが、かつての名選手秋山譲治との1対1の勝負に負けたことがきっかけで、サッカーへの情熱が芽生えていきました。本小説は、主人公の成長と、スポーツというものの魅力を描いた物語です。

最近の記事

火の玉の如く25(小説)[完]

ほのかさんを抱きしめ、しばらく水面に映る月の明かりを俺は見ていた。 ほのかさんのぬくもりがやさしく伝わる。ほのかさんを強く抱きしめて俺は言った。 「俺、約束するよ。ほのかさんを必ず守る。必ず幸せにするよ」 「いや、許さん!」 突然声が聞こえた。俺は声のほうを見た。ほのかさんも見上げた。オッサンだ。あの野郎どこまで邪魔するつもりだ。 「オッサン!何言われようが俺はほのかさんと結婚します!」 「お父さん!私も蓮くんと結婚します!私は好きな人と結婚したいの!」 オッサ

    • 火の玉の如く24(小説)

      表彰式。MVPが発表される。スタジアムに静寂が走る。静まり返るスタジアムの静寂を破るアナウンスが突然鳴り響いた。 『MVPはクリムゾンウォーリアズ、上山蓮!!』 アナウンサーの声に俺は信じられない思いに包まれていた。ボーっとしているとオッサンが俺に言った。 「上山!早く行かんか!」 俺は表彰台にあがるとMVPのカップを受け取った。MVPのカップを高々と頭上に差し上げる。再び歓声がスタジアムを包み込む。興奮と歓喜がさらに熱気を帯びていた。俺は歓声に応えると力強く拳を突き

      • 火の玉の如く23(小説)

        相手のカルロスが俺に食い下がる!くそ!負けてなるものか! カルロスをかわしてボールをボランチの天野さんに渡す。それを今川が奪いにくる! 前を見ると立石さんの横が開いている。俺は手を上げた! それでも今川はボールに食い下がる! 俺は走り出し、今川とボールの奪いになった! 「今川さん、俺は素人だろうが、根性じゃ負けられないんだよ!特にあんたにはな!」 俺はそういうと無理矢理ボールを奪った!そのまま駆け上がる!さらに!さらに!前に前に! 行くんだ!今この瞬間も燃えろ!俺

        • 火の玉の如く22(小説)

          いよいよ優勝を賭けた一戦が始まる。この日の為に備えてきた。 ほのかさんのことは忘れたことは無いがウォーミングアップ中、スタンドを見ても姿は見えない。真由さんがテーピングを施し俺に言った。 「上山くん、今日は負けられない一戦ね。みんなあなたを頼りにしてるわ。頑張ってね!」 俺は真由さんに微笑んで言った。 「はい!頑張ります!」 真由さんはニコッと笑って俺の肩を気合いを入れるように叩きペンチに戻った。村上さんも俺を鼓舞するかのように何度もうなづく。 もう闘いは始まって

        火の玉の如く25(小説)[完]

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        • 夜明けの鏡
          32本
        • 火の玉の如く
          25本

        記事

          火の玉の如く21(小説)

          翌日、練習に参加し、いつものようにヘトヘトになった。練習が終わりオッサンが俺に近寄ってきた。 「上山、話がある。ちょっとクラブハウスの食堂まで付き合え」 「わかりました」 オッサンの話は何かわかっている。ほのかさんのことだろう。俺はオッサンの後ろを歩き、クラブハウスの食堂に向かった。 食堂に着くとオッサンが手で合図して食堂のみなさんに言った。 「すいません。何か飲み物、俺はコーヒー。上山は?」 「俺はオレンジジュースお願いします」 食堂の方が俺たちに飲み物を座っ

          火の玉の如く21(小説)

          火の玉の如く20(小説)

          俺は泣き続けるほのかさんの肩に手を置いて見つめているしかなかった。 しばらく沈黙があたりを覆った。ほのかさんの泣き声がただ響くだけだ。 ほのかさんは肩に置いた俺の手を強く握り搾り出すように声を出した。 「……私…ね、結婚するの」 「えっ?」 俺はその言葉に頭が真っ白になった。俺の顔を見てほのかさんはさらに涙を流しながら、そして強く俺の手を握った。 「私ね、スタリオンズの今川さんと結婚するの…」 さらに俺は言葉を失った。スタリオンズの今川と結婚……それってどういう

          火の玉の如く20(小説)

          火の玉の如く19(小説)

          駆け抜ける火の玉その後、俺たちは順調に勝ち星を重ねていった。首位をキープしたままリーグ戦もいよいよ佳境をむかえる。ついに1週間後はスタリオンズとの優勝を賭けた一戦だ。 この試合に負ければ俺たちはスタリオンズに逆転優勝を奪われる。スタリオンズは簡単に勝たせてくれる相手ではない。これまで三連覇を果たした強豪だ。絶対に勝たなければならない。 俺たちは1週間後の優勝を賭けた一戦を前に練習に集中していた。 「立石!岩橋!もっと早くあがれ!天野!戸田!確実にボールをまわせ!」 オ

          火の玉の如く19(小説)

          火の玉の如く18(小説)

          後半も俺たちは何度か猛攻を受けたが、しのいだ。俺たちの勢いに相手も飲まれている! 何度か俺たちもブルドッグスもチャンスがあったがモノにできなかった。 俺は不思議な空間にいた。身体はクタクタだけど、心はやけに躍っていた。そして魂が熱く燃え盛り、このスタジアムと一体になるのを感じていた。 やがてホイッスルが鳴った。 「「「やったあ!!!!」」」 俺たちの勝利だ!みんなが駆け寄る。 「上山!やってくれたな!」 矢野さんが俺に握手を求めて、そう言った。俺は矢野さんと握手

          火の玉の如く18(小説)

          火の玉の如く17(小説)

          その後も俺たちクリムゾンウォリアーズは順調に勝ち点を重ねていった。リーグ戦も気がつくと中盤を越えた。俺も技術面では課題がたくさんある。練習もより考えながら行なった。 今日はブルドッグスとの試合だ。数試合を終え、首位をキープする為の大切な試合、落とすわけにはいかない。緊張感が身体を走る!武者震いを感じる身体をそのまま闘志をみなぎらせる。 ユニフォームに着替えて試合前のウォーミングアップをする。皆、今日の試合が重要だとわかっている。緊張と期するものを感じさせる顔つきで無言でウ

          火の玉の如く17(小説)

          火の玉の如く16(小説)

          試合はそのまま進み、やがてホイッスルがスタジアムに響いた。 「やったあ!勝ったぜ!」 足立さんがそう言って駆け寄る。 俺たち、みんな駆け寄り互いに抱き合う。 「上山、よくやった!監督の特訓の成果が出てきたな!」 矢野さんが俺の肩を叩き、そう言った。確かにあの無意味に見えた最初の頃の走り込みでスタミナもつき、動きも良くなった。 俺は元々速かったが、あの走り込みでさらに加速がついた。 テクニックも矢野さんやオッサンにしごかれて、それなりに加速を武器に点を取ることができた。

          火の玉の如く16(小説)

          火の玉の如く15(小説)

          後半が始まった。サンズは後半からロペスという選手を投入してきた。こいつがまた速いうえにこちらの攻撃をことごとく粉砕する。 早くも後半は5分経った。俺は村上とずっとウォーミングアップを続けている。オッサンはずっとベンチに座っていたが、立ち上がった。 「上山!交代だ、いけ!」 オッサンが気合いの入った声で叫ぶ。俺はピッチに向かった。俺の番号と交代する選手の番号がボードに映し出された。山崎と交代だ。 『クリムゾンウォーリアーズ、選手の交代です。山崎進に変わり上山蓮!ナンバー

          火の玉の如く15(小説)

          火の玉の如く14(小説)

          リーグ戦開始 数ヶ月経った。いよいよリーグ戦が始まった。あの練習試合から俺はさらに鍛え抜いた。以前とは数段比べようの無いほど力はついた。 俺はロッカールームで背番号8のユニフォームに着替える。この日の為にやってきたんだ! 必ず優勝する。それまでは意地でもやってやる! オッサンがみんなを呼ぶ、スターティングメンバーを発表するみたいだ。 「今日はいつもの連中で戦ってもらう。ただし、左のサイドハーフは山崎だ」 オッサンの言葉に驚いた。俺でも村上でもなく、山崎だって?俺はオ

          火の玉の如く14(小説)

          火の玉の如く13(小説)

          リーグ戦直前の練習が始まった。俺はいつも以上に張り切った。負けるわけにはいかないんだ!俺を応援してくれる人の為にも! あんな無様な試合をしたにもかかわらず矢野さんはあいかわらず俺を指導してくれる。 「上山!だいぶ上達したな!信じられないぐらいの成長だぜ!」 矢野さんが俺を教えながら言った。俺もあの練習試合の後、自分で反省した。何がたりないのか?俺の武器はなんなのか? 今、俺の中には俺なりの答えがある。あとはそれを実践するだけだ。 「みんな集まれ!」 オッサンがマネー

          火の玉の如く13(小説)

          火の玉の如く12(小説)

          翌日、俺は喫茶店に向かった。ほのかさんに励まされ元気にはなったが、まだみんなの冷たい視線は気になる。 喫茶店のドアを開ける。あいかわらず大きな音でベルが鳴る。 「よう。上山くん。聞いてるよ、練習試合、M大に逆転負け」 ずけずけ言ってくれるぜ。マスターは。 俺は黙って座るとマスターが飾っているオッサンの写真を見た。 「なあ、マスター、秋山譲治って凄い選手だって言ってたけど、そんなに凄かったのか?」 マスターはいつものようにミルクティーを入れ、俺の前に置くと言った。 「

          火の玉の如く12(小説)

          火の玉の如く11(小説)

          俺が河川敷に座りボーっとしていたら俺を呼ぶ声が聞こえてきた。 「蓮くーん!そんなところにいたの?さあ帰りましょう。ご飯もできてるわよ」 ほのかさんが俺にそう言ってきた。探してたのか? 「ほのかさん、俺を探してたんスか?」 ほのかさんは俺の横に座り、静かな表情で俺に話し始めた。 「父から聞いたわ。今日の試合負けたんだって。蓮くん、今までは父もメンバーのみなさんもわかりやすくチームと呼んでいたけど、これからはクラブと呼ぶわ」 俺はほのかさんの言葉の意味がわからない。ほ

          火の玉の如く11(小説)

          火の玉の如く10(小説)

          後半が始まった。立石さんが岩橋さんにボールを回して、そのまま谷内さんにパスし、M大に大きく攻め込む! 相手がボールを取りにくるのを谷内さんは軽快な動きで抜き、俺にパスする!俺はボールを受け取るとそのままドリブルで攻め込む。 相手はドリブルで攻める俺のボールを取りにくる!俺はそのまま、攻め込んだ! 「上山!立石が手をあげている!大きくパスしろ!」 後ろからディフェンダーの戸田さんが叫んだ! 俺は立石さんが合図を出していたのがわからなかった。ええーい!ままよ!そのまま攻め

          火の玉の如く10(小説)