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火の玉の如く17(小説)

その後も俺たちクリムゾンウォリアーズは順調に勝ち点を重ねていった。リーグ戦も気がつくと中盤を越えた。俺も技術面では課題がたくさんある。練習もより考えながら行なった。

今日はブルドッグスとの試合だ。数試合を終え、首位をキープする為の大切な試合、落とすわけにはいかない。緊張感が身体を走る!武者震いを感じる身体をそのまま闘志をみなぎらせる。

ユニフォームに着替えて試合前のウォーミングアップをする。皆、今日の試合が重要だとわかっている。緊張と期するものを感じさせる顔つきで無言でウォーミングアップを続ける。オッサンが俺たちに声をかけた。

「みんな集まれ!今日は首位をキープする重要な試合だ。ブルドッグスは強敵だ。特にマルコに気をつけろ。酒井、千葉、真田も日本代表だ。いつも以上に気を引き締めろ!いけ!俺たちは戦士だ!」

オッサンの言葉の後、俺たちの気合いの声がスタジアムに響く。オッサンが俺を呼び止めた。

「上山、お前はファイターだ。気迫で闘うタイプだ。技術的には以前にも増して確かに向上した。しかし、技術に頼ろうとするな!敵もお前のスピードを警戒してくる。お前はただゴールを目指せ!お前をあえてミッドフィルダーにしたのはお前のスピードと闘志をかったからだ!ゴールを目指せ!いいな!」

「はい!」

俺はそういうと闘いの場に走って行った。ホイッスルがなる。試合開始だ。

ボールは岩橋さんから立石さんに渡った。
そこをすかさずブルドッグスの真田が仕掛けてくる!

なんて速さだ…あれが日本代表の速さとうまさか。感心していられない!俺は"疾風のサムライ"に鍛えられた男だ!

すぐさま俺は真田からボールを奪う!横から千葉が来る!しかも酒井にも挟まれた!

やばい!しかし、かまってられっかー!
ただゴールを目指す!そのままドリブルで突き進む!

しかし、酒井にボールを奪われた!酒井には久野さん、天野さん、戸田さんの3人がついた!

天野さんが酒井にしがみつき離れない!その隙を戸田さんが見逃さずボールを奪う!

「上山!受け取れ!」

戸田さんの言葉と共にロングパスが放たれた!俺はボールを奪うとゴール目指して走り出す!

「上山!トップはまかせろ!そのまま突っ切れ!」

岩橋さんが俺に叫ぶ!
岩橋さんと立石さんのフォワード2人が敵をふさぐようにマークする!その隙を俺は駆け走る!

一気に駆ける!中盤から前にボールを前に前に動かしながら!

ゴールキーパーと1対1だ!よし!決めてやる!

「いっけー!!」

俺は叫びながら力いっぱいボールを蹴った!
ゴールキーパーの横にボールは一直線に飛ぶ!

ゴールネットが揺れた!ホイッスルが鳴る!

『ゴーォォォル!!!』

スタジアムに響くアナウンスと共に歓声が鳴り響いた!

「よし!上山!」

立石さんが俺に近寄り背中を叩きながら抱きつく。他のメンバーも俺に近寄り背中や肩や頭を叩きながら抱きつく。

1点は手に入れた。しかし、相手は強豪。気は抜けない。

俺は歓喜に躍動するスタンドを見た。
スタンドの一番前にほのかさんがいる。今日も俺の応援に来てくれたんだ。
他のサポーターも歓喜に踊る。

ベンチを見るとオッサンが鋭い目付きでいた。口元が「よし!」と言ったように見えた。
その横で真由さんもガッツポーズをしている。

驚いたことに村上もガッツポーズをしている。
俺は村上に手を振って挨拶した。

「上山!この後も気を抜くな!まかせたぞ!」

村上の声が聞こえた。俺は驚いたが喜びが心の中に湧いてきた。

「村上さん!この後も全力を尽くす!」

そう言って俺は拳を村上に突き出した。村上も応えるように拳を突き出した。気がつくとフィールドの中のみんなもベンチのみんなも同じように拳を突き出している!

俺はチームが一体になったことを感じた。そうだ、皆もそう感じている顔つきだ。恐れるものは何も無い。さあ、このまま突っ切るぜ。俺はさらに気合いを入れた。スタジアムを駆け抜ける風がより燃えている。

よし!これからだ!俺たちは一つになった。この後もいくぜ!

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