ライブレポート『Sam Wilkes & Jacob Mann@Billboard Live Osaka』
(ライブレポの過去記事はこちらからお読みいただけます↓)
Tuxedo以来となる、ビルボードライブ大阪です。
当連載も5ヶ月振りの更新となります、大変ご無沙汰しております。これから年の瀬にかけてのライブ予定を先にお伝えだけしときますと11月にJesse Van Ruller Trio、12月にはVaundy(チケットが取れたら、haruyoiも観に行きます)年明け1月にはTOMOOちゃんを迎え撃つことになっとります。楽しいねえ。書くかもしれないし、書かないかもしれない。気長にお待ちくださいね。
前週のKassa Overall公演の余韻が抜け切らず、ハシゴすることにしました。との声もあちこちから聞こえてくる。Louis Cole率いるKNOWERやBig Bandでもお馴染みSam Wilkes、Jacob Mannがタッグを組む。バイオグラフィーらしいバイオグラフィーが調べてもなかなか出てこない辺り含め、謎の多い二人ではあります。アラサー世代?というやんわりとした認識だけがある。
ステージにはRoland JUNO-106とYAMAHA DX7が向かい合って並んでいた。Samの足元には、おびただしい数のエフェクター。昨年東京でPino Palladinoを観た時にも感じた「Shelter-in-Place」観、あるいは「おうちセッションを見学させてもらっている」かのような居心地の良さ。個人的にツボなんですよね、あの空気。今日はジントニックじゃなくオレンジジュースにしよう。
テクノ全盛の80年代に生み出されたアナログシンセを駆使し編み上げられたアルバムがさながら立体音響のような臨場感で迫ってきた。音圧凄かった。Jacobが黙々と重ねた音をSamが壊す、あるいは歪な形に積み直してみたり積み木の角を削って丸みを付けたりといったような何かそんな質感。主導権はあくまでJacobにあるのだけど、別にSamがラジコン役って訳でもない。
虫の目、鳥の目。主観と客観。お互いの音を聞き合いながら補ったり時には出し抜いてみたり。二人がたまに見せる子どものように無邪気な笑顔には、南カリフォルニア大学時代からの深い関係値が窺い知れました。一見、Samばかり忙しそうに見えますけどJacobだって1トラックであれだけのループを組み立てている訳で。平気そうな顔してますけど彼、凄く大変そうでした。
『Perform the Compositions〜』(2022)からの楽曲を中心に、Jacob Mann Big Band「Kogi」やJames Frederick Hanley作曲のスタンダード「Zing! Went the Strings of My Heart」も披露。Joe Henderson「Black Narcissus」カバーも渋かった。アンコールは「Dt. T」この日一番Samの首がクネクネしていて滅茶苦茶カッコ良かったです、座りながら踊った。ヘルニアに気付けてな。
2023年に入り、それぞれの活動や音楽性にも著しい変化。かたや12弦ギターを片手にどこか訛りのあるフォーキーでエヴァーグリーンな音像をニコニコ顔と共に届けてくれたSam、かたや大胆なバンドサウンドに舵を切りMax Oxを彷彿とさせるサウンドに移行した感のあるJacob。ソロワークとなると、ますます個性が分かれて面白いですねこの二人。本当に良いライブを観た。
ビルボードライブを巡る日本ツアーの隙間に、何やら不気味な2日間の穴。東京から横浜へ、不可解なとんぼ返り。つま恋で開催される「FESTIVAL de FRUE」にもSamの出演が決まっていますから、考えようによっちゃこの隙間も"スケジュール"と捉えられなくはない。絶対レコーディング仕事でしょうこれは、続報を楽しみに待ちたいと思います。目撃情報もお待ちしてます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?