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父性(エッセイ)10
先輩とルームシェアをしたり、友達の家に居候をして、家に帰らなくなった。家にお金を入れるのもやめた。たまに弟と外食をするくらいで、家族とできる限り関わらないように過ごした。
荷物を取りに家に帰った時に、玄関に新聞紙が敷かれていた。とても臭い。父の車も母の車もなかった。弟の車はあった。
弟に聞いたら、玄関で、父は母に灯油をかけて、火をつけようとしたそうだ。弟が、父に
「灯油じゃ燃えないよ。やるならガ
父性(エッセイ)11
私が結婚をした直後に両親は離婚をした。
私はダブルワークをしていた。町の近くのコンビニでバイトをしていた。
町の人は警察がうちに来て大騒ぎになったことには触れなかった。みんな優しいのだ。
父がコンビニに来ることはなかった。
しかし、私の車のワイパーに手紙が挟まれていることはたびたびあった。筆ペンで書かれた綺麗な文字から、下品な言葉が発せられていた。
弟と一緒に住みたいという内容の手紙もあった。家
父性(エッセイ)ラスト
ずっと父とは縁が切れていたが、弟が亡くなった時は知らせなくてはならなかった。
父方の親族に伝えてもらうようにした。
父は、すべての連絡を無視したらしい。弟の死を、近所の人から聞いて知る形となった。
(と父が電話で言っていた)
葬儀に来るように、親戚が連絡をした。父は全てを無視した。親戚は連絡をし続けた。葬儀場の番号からもかけてもらった。
離婚をしていて、母が喪主になっているから来るのに抵抗がある