花織切れても縁は切れん

2018年2月28日 09:52

ヨイショと持ち上げてお話ししたけりゃ
澄ました顔して盃に酒入れ
あっヨイショあっヨイショ、と
心で笑えどけして表情(かお)に出しやせん
あっヨイショあっヨイショ、と
ええ表情(かお)したけりゃ月の宵が良いどすな

金で買われたあっしの人生は
あんたの好きな舞妓に様変わり

好きで好きであんたの私欲に嗤いはせんよ
小人閑居(しょうじんかんきょ)して不善を成す
花織切れても縁(えにし)は切れん
誰しも内緒はありますさかいな

悪態ばかりのネット社会にさえ
酒にヒラリと櫻の花びらの銭
あっヨイショあっヨイショ、と
黒革の手帖あっしの旨がそのもの
あっヨイショあっヨイショ、と
あんたを出世(あげ)ようあっしと素で営みを

あっしは人格などありゃせんと
あんたに云われた通り成り下がり

好きで好きであんたの嗜癖に嗤いはせんよ
金毘羅船々(こんぴらふねふね) 遊ぶも噺(はやし)
花織切れても縁(えにし)は切れん
あんたから餌は水銀混ぜられ

いづれあっしも年老い使いもんになりゃせん
さよいらん日を迎えたら下駄で歩く

私欲嗜癖あんたの強欲に嗤いはせんよ
金毘羅船々(こんぴらふねふね) 遊ぶも同様
花織切れても縁(えにし)は切れん
時代は変われども腹色は変わりゃせん
遣る事成す事お咎め無しの記章
水銀飲んだら骸(むくろ)の櫻
冥土へ発てども縁(えにし)は切れん