ファラリスの雄牛

真鍮(しんちゅう)で鋳造(ちゅうぞう)された雄牛に
試しに入れられた作り手は
焱(ほのお)に炙られて 牛のように啼いた

無罪か有罪か 僭主(せんしゅ)の計り手
わずかな夢なら確かにあるけど
男か女か 僭主(せんしゅ)の寝具で
飽きられないように躍らさせられたなら

パンを盗んだ私にそんな価値があんのか
鍵があき ドアが開き 薪が焚(く)べられる

私の震えはすがるように見えて
「私は男です。見たままの女です。」
"此奴は血迷ったか それとも面白可笑しさか"
「お好きに私を抱いて試してください。」

作り手のように 僭主(せんしゅ)の好奇心
助かるわずかな夢にすがるしかない
反則だって 僭主(せんしゅ)の次第さ
我が身のためなら愚かにもなれる生命(いのち)

私の代わりに犠牲になる者はいない
鍵があき ドアが開き 薪が焚(く)べられる

「毎晩のように喘(あえ)いだっていいの。
けして飽きさせない。何だってしますから。」
"此奴は面白いぞ 弄(もてあそ)ぶのに丁度いい
お前に本当の天国を教えてやる"

私は助かった 炙り焼かれずに済んだ
吉か凶か知らないけど 僭主(せんしゅ)の遊具に

その日から城では劈(つんざ)く悲鳴が
夥(おびただ)しく響き渡り続く有様
言葉では表せない僭主(せんしゅ)の趣味嗜好にまだ
服さえも許されず 寝具に括られた私

「真鍮(しんちゅう)で鋳造(ちゅうぞう)された雄牛に
どうか ぜひ入れてくれませんか?
薪に火を焚いて 牛のように啼くから…。」

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