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本日の一曲 ハイドン・シリーズ

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多作であるハイドンの曲を一日一曲ずつ聴いていきましょう。
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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第43番 マーキュリー (Sinfonia No.43 "Merkur", 1771)

交響曲第43番は、1772年の楽譜出版社の目録に記載されていることから1771年の作曲と考えられているそうです。また、愛称の「マーキュリー(水星)」は、ハイドンさん自身がつけたものではなく、1839年の目録に初お目見えになったのですが、その由来は不明だそうです。水星は、その天体の動きが速いことから、ローマ神話の商業と盗賊の神メリクリウス(Mercurius)にちなんで、「マーキュリー(Mercury)」と名付けられたそうなので、この交響曲第43番は、水星、マーキュリーのテーマ

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第42番 ロンド (Sinfonia No.42, 1771)

交響曲第42番は自筆譜が残され、1771年の作曲であることが分かっているそうです。いよいよハイドンさんにもロマンの風が吹いた「疾風怒濤」(シュトゥルム・ウント・ドラング)時代の曲です。最終楽章にロンド(輪舞曲)が使われた最初の交響曲ということになっています。 ただ、このロンドは、変奏曲とのハイブリッドであり、「ハイドン様式のロンド(Haydnesque rondo)」と言われたりします。 交響曲第42番ニ長調(Sinfonia No.42 D Dur, Hob.I:42)

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第41番 3連符 (Sinfonia No.41, 1768)

交響曲第41番も自筆譜が存在せず、楽譜の出版や筆写譜の存在などから考えると1768年ころの作曲であると考えるようです。同時期の交響曲としては、第34番の「こだま」や第48番「マリア・テレジア」があるということです。 1767~1768年は、ハイドンさんがエステルハージ家の楽長に就任したころにあたります。第41番にもティンパニとトランペットが加わっていますが、これも後から付け加えられたものと言われています。この第41番の調性はハ長調ですが、ちなみにモーツァルトの交響曲第41番

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第40番 フーガ (Sinfonia No.40, 1763)

交響曲第40番は自筆譜が存在し、1763年、エステルハージ家の副楽長時代の作曲で、第12番や第13番と同時期であると言われています。 第40番も、第12番や第13番と同じようになかなか充実した曲で、穏やかで落ち着いた雰囲気の交響曲です。 交響曲第40番ヘ長調(Sinfonia No.40 F Du, Hob.I:40) 第1楽章 Allegro 落ち着きのあるメイン・メロディーにランニング・ベースのような低音部の伴奏がつき、充実感のある楽章になっています。 第2楽章 An

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第39番 海の嵐 (Sinfonia No.39 "Tempesta di mar", 1765)

交響曲第39番の調性はト短調で、これまでで第16番に続いて2曲めの短調の交響曲になります。 短調の交響曲であるため、疾風怒濤時代の作曲とする説もありますし、4本のホルンが使われていることから、エステルハージ家副楽長時代の作曲とする説もあります。 交響曲第39番ト短調(Sinfonia No.39 g moll, Hob.I:39) 第1楽章 Allegro assai ト短調による楽章です。疾風怒濤時代と考えられる根拠となるロマンティックな音楽です。 第2楽章 Andan

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第38番 こだま (Sinfonia No.38 "Echo", 1767)

交響曲第38番も自筆譜がなく、研究により1767年ころの作曲とされています。第2楽章にヴァイオリンのメロディーをこだまのように繰り返す部分があることから「こだま」あるいは「エコー」と呼ばれています。ティンパニとトランペットは後から付け加えられたものと考えられています。 交響曲第38番ハ長調「こだま(エコー)」(Sinfonia No.38 C Dur "Echo", Hob.I:38) 第1楽章 Allegro di molto 威勢のよい楽章です。 第2楽章 Andant

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第37番 隠れた1番候補 (Sinfonia No.37, 1757)

交響曲第37番は、筆写譜に1758年と書かれているため、1757年ころの作品、すなわち交響曲第1番と同時期、あるいは、第1番より前の本当の第1番の候補だとされています。したがって、モルツィン家時代の作曲とされています。 ティンパニとトランペットが目立って演奏されていますが、初期の楽譜にはティンパニとトランペットのパートはなかったそうです。ティンパニとトランペットが演奏されているのは、32番と33番がありました。 交響曲第37番ハ長調(Sinfonia No.37 C Du

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第36番 (Sinfonia No.36, 1761)

交響曲第36番は、エステルハージ家副楽長時代に戻ります。交響曲第33番と同時期に作曲されたものと言われています。 36番の第2楽章は、当時楽団にいたヴァイオリン奏者のルイージ・トマシーニ(Luigi Tomasini)さんとチェロ奏者のヨセフ・フランツ・ヴァイクル(Joseph Franz Weigl)さんのために書かれたのではないかと言われています。 交響曲第36番変ホ長調(Sinfonia No.36 Es Dur, Hob.I:36) 第1楽章 Vivace 3拍子

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第35番 エステルハージ王子 (Sinfonia No.35, 1767)

ハイドンさんは、1761年にモルツィン家からエステルハージ家に移り、最初副楽長だったのですが、1766年3月3日に楽長だったグレゴール・ヨーゼフ・ヴェルナー(Gregor Joseph Werner)が亡くなり、ハイドンさんが楽長を引き継ぎました。 交響曲第35番は、楽長を引き継いだ後の1767年の作品であり、ハイドンさんの「疾風怒濤時代」に属する曲だと言われています。この時代は「短調を多用し、実験的ともいえる多彩な技法を駆使する一時期」(日本語版ウィキペディア)と言われて

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第34番 イギリスの哲学者 (Sinfonia No.34, 1765)

交響曲第34番は短調の緩徐楽章から始まる曲ですが、以降の楽章が長調であるため、調性としてニ長調とされることもあるそうです。ただ、この34番がハイドンの初めての短調交響曲であると言われています。これまで、若い番号では26番が短調交響曲でしたが、作曲年代はこちらのほうが先だと言われています。 作曲時期については、エステルハージ家副楽長時代で、疾風怒濤時代の前とされているようで、交響曲第25番と同時期と言われています。 研究によると、ヴェネツィアの劇作家カルロ・ゴルドーニさんの

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第33番 祝典 (Sinfonia No.33, 1760)

交響曲第33番は、第32番と同じくティンパニとトランペットが使われており、一聴しても祝典的な雰囲気があり、第32番と兄弟であり、同時期のモルツィン家時代の作曲と思ったのですが、作曲時期については諸説あるようです。エステルハージ家には最初ティンパニとトランペットがなかったとか、第32番とは設計が違うなど。 交響曲第33番ハ長調(Sinfonia No.33 C Dur, Hob.I:33) 第1楽章 Vivace ティンパニとトランペットが使用された祝典の雰囲気のある楽章です

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第32番 ティンパニとトランペット (Sinfonia No.32, 1760)

交響曲第32番は、また時代が戻り、モルツィン家時代の作曲になります。ティンパニとトランペットが大活躍するので、祝祭的な場面で演奏されたのではないかと考えられています。 交響曲第32番ハ長調(Sinfonia No.32 C Dur, Hob.I:32) 第1楽章 Allegro molto このアダム・フィッシャーさんの演奏でも、何事かと思うくらいティンパニが全面に出ています。 第2楽章 Menuet & Trio 通常とは異なり、メヌエットがアダージョより先に来ています

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第31番 ホルン信号 (Sinfonia No.31 "Hornsignal", 1765)

交響曲第31番も1765年のエステルハージ家副楽長時代に作曲されました。愛称の「ホルン信号」はホルンが大活躍するからで、当時楽団にホルン奏者が4人いたことから、彼らのために作曲されたものだと思われます。各楽器のソロが多くフューチャーされており、協奏曲のようです。 別名には「狩場にて」(auf dem Anstand)や「ニュルンベルクの郵便ホルン」もあるそうです。 交響曲第31番ニ長調「ホルン信号」別名「狩場にて」(Sinfonia No.31 D Dur "Hornsi

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第30番 アレルヤ (Sinfonia No.30 "Alleluja", 1765)

交響曲第30番もハイドンさんエステルハージ家副楽長時代の1765年の作品です。第1楽章にグレゴリオ聖歌の「復活祭のアレルヤ」の旋律が用いられているので、「アレルヤ」という愛称がついています。この旋律があるため、1765年の復活祭の日曜日に教会で使用された可能性があるとのことです。 ただ、筆者の力不足で、この旋律を使っているグレゴリオ聖歌の音源が見つかりません💦 交響曲第30番ハ長調「アレルヤ」(Sinfonia No.30 C Dur "Alleluja", Hob.I: