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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第93番 おなら (Sinfonia No.93, 1791)

1790年、ハイドンさんのご主人様のニコラウス・エステルハージ候(Nikolaus Esterházy)が亡くなりました。その後継ぎはアントン・エステルハージ候(Anton Esterházy)だったのですが、アントン候は音楽には無関心で、ハイドンさんには年金を与えることにして解雇してしまいました。

そのハイドンさんに目をつけたのが音楽興行師のヨハン・ペーター・ザロモン(Johann Peter Salomon)さんで、ザロモンさんがロンドンで開催していたコンサートにハイドンさんを招聘しました。ハイドンさんは、その招聘に応じて、1791年から1792年と1794年から1795年の2回、ロンドンを訪れました。

この2回のロンドン訪問の時に作曲したのが第93番から第104番の12曲の交響曲です。1回目のロンドン訪問の時に作曲したのが第83番から第98番の6曲(第1期)、2回めの訪問の時のものが第99番から第104番の6曲(第2期)で、「ザロモン交響曲」「ロンドン・セット」「ザロモン・セット」と呼ばれます。「ロンドン交響曲」と呼ばれることもありますが、交響曲第104番が単体で「ロンドン」と呼ばれるのが日本では普通なので、「ロンドン交響曲」というと交響曲第104番のことを指すのが普通だと思います。

交響曲第93番の初演は、1792年2月17日でしたが、2月20日のタイムズ紙は、次のように報じました。

「比類のないハイドンのペンによる新しい序曲は、この素晴らしい音楽の樹のかなりの枝を形成しました。このような並外れた質のつながりがすべての楽章に込められており、演奏者と聴衆の両方が熱狂的な情熱で満たされました。アイデアの斬新さ、楽しい気まぐれと良いユーモア、すべてがハイドンのいつもの崇高な偉大さと組み合わさって、ますます全員の魂と感情を掴んでいきました。」(Wikipediaドイツ語版)

ハイドンさんのロンドンでの人気の高さが窺われます。作曲順は、第96番、第95番の次の3番目であると考えられています。

交響曲第93番ニ長調(Sinfonia No.93 D dur, Hob.I:93)
第1楽章 Adagio — Allegro assai 序奏が厳かです。
第2楽章 Largo cantabile 最初のテーマが弦楽四重奏です。最後にファゴットの「おなら」があります(次の動画の12:06あたり)。
第3楽章 Menuetto. Allegro エネルギッシュなメヌエットです。
第4楽章 Finale: Presto ma non troppo ハイドンさんは第1楽章にくらべると弱いフィナーレだと言っていたようです。

われらがアダム・フィッシャー(Adam Fischer)さんが現在首席指揮者を務めているデンマーク国立室内管弦楽団(Danish Chamber Orchestra)を指揮したものです。

以下、プレイリストです。

ジョージ・セル(George Szell)さん指揮クリーヴランド管弦楽団(Cleveland Orchestra)の演奏
レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)さん指揮ニューヨーク・フィルハーモニック(New York Philharmonic)の演奏
ゲオルグ・ショルティ(Sir Georg Solti)さん指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(London Philharmonic Orchestra)の演奏です。

(by R)

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