最近の記事
本日の一曲 vol.470 リンダ・ロンシュタット 悪いあなた (Linda Ronstadt: You're No Good, 1974)
アメリカのシンガーであるリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt, 1946年7月15日生)さんは、自らを「カメレオン」である、声を大きく変えることができる、と話しています。 リンダさんのシンガーとしてのスタートは音楽が好きな一家に育ち、兄姉妹でのハーモニーから始まったことから言えることだと思います。リンダさんの生い立ちについては、2022年にリンダさんのドキュメンタリー映画「サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」が公開されました。 この映画のオープニングでは、リン
本日の一曲 vol.468 バッハ ヴァイオリン協奏曲 (Johann Sebastian Bach: Violin Concertos, 1723)
ヴァイオリニストにとって、バッハ、ハイドン、モーツァルトというドイツ・オーストリアのバロックから古典派の音楽は扱いがとても難しい音楽です。ヴィルトゥオーゾ的なテクニックは使わないので、音をたどるだけであればむしろ易しい音楽かもしれません。しかし、言ってみれば、リスナーの要求が極めて高い音楽なので、迂闊な演奏はできないのです。また、音符が少ない分、解釈の幅が広がってしまうので、ヴァイオリニストが一生かかって取り組まなければいけない音楽だとも言えると思います。 ヴァイオリンの初
マガジン
記事
本日の一曲 vol.466 ヤードバーズ 幻の10年 (Yardbirds: Happenings Ten Years Time Ago, 1966)
ヤードバーズは、ボーカルのキース・レルフ(Keith Relf)さんとドラムのジム・マッカーティ(Jim McCarty)さんが中心となり、1962年に結成されたバンドで、バンド名は、ジャズのサックス奏者チャーリー・バーカー(Charlie Parker)さんのニックネームだった「yardbird」が由来になっています。 そして、ヤードバーズは、何よりも、エリック・クラプトン(Eric Clapton)さん、ジェフ・ベック(Jeff Beck)さん、ジミー・ペイジ(Jimm
本日の一曲 vol.465 マウント・イーリー 巨大な火 (Mount Eerie: Huge Fire, 2024. cf. Bruckner & Celibidache)
マウント・イーリー(「不気味な山」という意味)は、アメリカ・ワシントン州アナコルテス出身のフィル・エルベラム(Phil Elverum, 1978年5月26日生)さんのプロジェクトです。 フィル・エルベラムさんは、マイクロフォンズ(The Microphones)というバンドで、「水」「火」「山」をテーマにして音楽を展開するなどの活動をしており、つぶやき系のボーカルと時たまノイジーな演奏からなる音楽でした。マイクロフォンズの2000年にリリースされた「水」をテーマにしたアル
本日の一曲 vol.463 クイーン グレイト・キング・ラット (Queen: Great King Rat, 2024)
2024年10月、1973年7月にリリースされたクイーンのデビューアルバム「戦慄の王女(Queen)」に当初収録予定だった「マッド・ザ・スワイン(Mad The Swine)」を4曲目に加えて、当時の音源を磨き直してミックスもやり直したものに、当時のデモテープ、ライブ、カラオケを加えた豪華バージョンが「クイーンⅠ(Queen I)」としてリリースされました。 すでにデビューアルバムのリリースから約半世紀を経てからのリリースですが、音の「抜け」がよくなり、これまで聴こえなかっ
本日の一曲 vol.461 マイ・ブラディ・ヴァレンタイン ホエン・ユー・スリープ (My Bloody Valentine: When You Sleep, 1991)
シューゲイザーと呼ばれる音楽があります。「靴を見つめる人」という意味ですが、ライヴでギタリストが足元のエフェクターを操作するため足元ばかりを見ていることから、ある意味、シニカルに付けられた名前です。 ひとまず、シューゲイザーの代名詞である「マイブラ」、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「オンリー・シャロー(Only Shallow)」をお聴きになってみてください。 音が割れた轟音、もはやノイズに聞こえるギターの音の上に、何を歌っているのか分からない女声が聞こえてきます。こ
本日の一曲 vol.460 サイエンティスト 吸血鬼のダンス (Scientist: Dance Of The Vampires, 1981)
はじめにジャマイカの音楽であるレゲエ発の音楽として「ダブ(Dub Music)」と呼ばれるものがあります。これは、たまたまエンジニアがトラックにリバーブ(残響)効果をかけてしまったところ、これがけっこうイケるんじゃないか、ということになって広まったものです。そして、ベースとドラムというリズムセクションを強調したサウンドエフェクトが「ダブ」と呼ばれるようになりました。 「ダブ」は、おそらくクラシック音楽が築き上げてきた理論とはまったく関係のないところにある「感覚的」なものだ
本日の一曲 vol.457 ザ・ウェイラーズ コンクリート・ジャングル (The Wailers: Concrete Jungle, 1973)
今年2024年の2月、アメリカ映画「ボブ・マーリー:ONE LOVE(Bob Marley: One Love)」が公開されました。 映画は、おそらくボブ・マーリーさんの伝記として、ほぼ忠実に事実を描いていると思われます。ストーリーとしては、回想シーンはあるものの、1976年12月5日の「スマイル・ジャマイカ・コンサート」開催のアナウンスから始まり、狙撃事件からロンドンでの活動を経て、1978年4月の「ワン・ラブ・ピース・コンサート」までが描かれます。 本日ご紹介するのは
本日の一曲 vol.456 ブニアティシヴィリ モーツァルト ピアノ協奏曲第23番 (Mozart: Piano Concerto No.23 K.488, 1786. Played by Khatia Buniatishvili)
カティア・ブニアティシヴィリ(1987年6月21日生)さんのモーツァルトの新譜が公開されましたので、ご紹介します。収録されているのはピアノ協奏曲第20番と第23番、ピアノ・ソナタK.545と、おそらくカティアさんが弾きたいものを弾いたのだと思います。 本日はその中から協奏曲第23番の第2楽章のアダージョをご紹介します。オーケストラは、アカデミー室内管弦楽団(Academy of St Martin in the Fields)、ブニアティシヴィリさんの弾き振りです。 この