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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第100番 軍隊 (Sinfonia No.100 "Military", 1794)

交響曲第100番は、12曲のザロモン交響曲の8番目(第2期の2番目)の曲で、「軍隊」という愛称が付けられています。その由来は、第2楽章と第4楽章にトルコ軍楽(メフテル、Mehter)が用いられていることです。初演時の広告にはすでに「軍隊交響曲」と書かれていたそうですので、ハイドンさんご本人が命名したのかもしれませんね。

ロンドンでの初演後、ある評論家が第2楽章について、「戦争の地獄のような轟音が、恐ろしい崇高さのクライマックスへと高まっていく」と書いたそうです。そのような解釈ならば、1曲全体がトルコの軍隊がやってきた!というふうに見ることもできると思います。

18世紀後半、ヨーロッパでは異国趣味としてトルコがもてはやされていたそうなので、ハイドンさんもトルコ軍楽を取り入れたのでしょう。モーツァルトさんのオペラ「後宮からの誘拐(K.384)」やピアノ・ソナタ第11番(K.331)第3楽章「トルコ行進曲」、ベートーヴェンさんの「トルコ行進曲」(「アテネの廃墟」からのトルコ行進曲による6つの変奏曲 Op.76)などがあります。

オペラ「後宮からの誘拐(Die Entführung aus dem Serail, K.384)」序曲(Overture)で、コリン・デイヴィス(Sir Colin Davis)さん指揮聖マーチン・イン・ザ・フィールズ・アカデミー(Academy of St Martin in the Fields)の演奏です。

ピアノ・ソナタ第11番イ長調(Piano Sonata No.11 A Dur, K.331)第3楽章「トルコ行進曲」(Alla Turca)で、藤田真央さんの演奏です。

「アテネの廃墟」からのトルコ行進曲による6つの変奏曲(6 Variations on an Original Theme, Op.76)で、エミル・ギレリス(Emil Gilels)さんの演奏です。)作品76

交響曲第100番ト長調「軍隊」(Sinfonia No.100 G Dur "Military", Hob.I:100)
第1楽章 Adagio; Allegro (0:22) 軍隊という愛称の由来は先に述べたとおり第2楽章と第4楽章にあるということなのですが、第1楽章も軍楽に聴こえます。
第2楽章 Allegretto (C Dur, 7:35) 平穏からトルコの軍隊がやってきます。
第3楽章 Menuetto: Moderato (12:55) 日常を楽しむ余裕の楽章です。
第4楽章 Presto (17:35) トルコの軍隊との和解の楽章です。

マンフレート・ホーネック(Manfred Honeck)さん指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団(Israel Philharmonic Orchestra)の演奏です。フィナーレの最後にひと工夫があります。

以下、プレイリストです。

ブルーノ・ワルター(Bruno Walter)さん指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)の演奏
オットー・クレンペラー(Otto Klemperer)さん指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(New Philharmonia Orchestra)の演奏
トーマス・フェイ(Thomas Fey)さん指揮ハイデルベルク交響楽団(Heidelberg Sinfoniker)の演奏
オイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum)さん指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(London Philharmonic Orchestra)の演奏
ニコラウス・アーノンクール(Nikolaus Harnoncourt)さん指揮ロイヤル・コンセルヘボウ管弦楽団(Royal Concertgebouw Orchestra)の演奏です。

(by R)

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