八窓席(京都南禅寺 金地院)
「金地院 八窓席(はっそうのせき)」
京都南禅寺の金地院に現存。
大徳寺孤篷庵の忘筌・曼殊院の八窓軒とともに、「京都三名席」に数えられる茶室です。
この三畳台目の草庵風茶室には、十三畳の書院・六畳、八畳、水屋が併設されています。
既設建物を活かすのを前提につくられた、制限のある中での遠州の創作。なので、既存建築を「遠州好みに改造した」といった所です。そんな中ではありますが、随所に遠州の作風が見られます。
点前座は中柱の袖壁を立てた台目構え、上下の棚の大きさが異なる雲雀棚。床と点前座を並べる手法は遠州が好んだ手法です。点前座側の床脇には墨跡窓があきます。
袖壁にも下地窓があります。これにより、袖壁は軽快さをもつことで、床の間に重みが加えられています。さらにこの下地窓は、点前座と客座の隔離感を消す役もこなしています。
点前座背後には上下に連子窓と下地窓。柱を介して隣にも連子窓を並べて全面が窓となっています。名前のとおりなんといっても窓の多さが特徴的ですが、茶室内には六窓のみです。
床柱(向かって左手)には赤松皮付き丸太、相手柱にはくぬぎの皮付き丸太、床框は黒漆塗りです。相手柱のとなりには少しの小壁がつくため、主従の関係がつかず、左右共に床柱とする二本柱の形式となります(※一般的には壁付の方を相手柱とします)。
躙口は客座側壁面の中央につきます。通常は隅に設けますが、これも遠州の用いた手法です。また、躙口の外には濡縁がつき、縁から入る仕様となっています。
窓の多さや床の間を前にした点前座の構え、壁面中央に設けた躙口、これら特徴が武家流の茶を推し進めた遠州の作風によく見られるものです。
遠州の侘びが表現された草庵風茶室。重要文化財に指定されています。
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