【理論編】高ドーパミンを断つという意識を持つ
理論編なので抽象的な内容になってしまうのですが、ご容赦ください。
私たちは様々なものに依存しています。
アルコール・タバコ・ドラッグ(合法も違法も)・スマホ・インターネット・ポルノ・ギャンブル・糖質・セックス・エクストリームスポーツ・とまあ他にも様々なものがあります。
皆多かれ少なかれ何かに依存しており、その程度が甚だしくなって社会生活が営めなくなったり、自分や他者に著しい苦痛を与えてしまう状態が「依存症」となります。
毎日の晩酌が楽しみだ!程度ならセーフですが、毎日浴びるほど酒を飲んで、もはや自分の意志では止められない、周囲に言われても依存を認めない、となると赤信号です。
依存の本質は「もっと、もっと」と「新規性」
さて、依存の本質とは何でしょうか?
つまるところ、「もっと、もっと」と「新規性」です。
例えばポルノだとすると、男性のみなさんは中学生の頃は水着のグラビアアイドル程度ですら興奮して致せたわけです(女性のみなさんは別の何かで置き換えてください)。このドーパミン量を仮に10としましょう。
脳は欲張りさんですから、同じグラビアアイドルの画像を何度も何度も見ていると、飽きてきます。贅沢ですね。出るドーパミン量が10から9、8、7……とだんだん少なくなってきます。
ですから、今度は別のグラビアアイドルの水着写真を見ます。これで、また出るドーパミン量は10になりますが、これまた何度も見ていると、また9、8、7……と少なくなっていきます。
さて、そんなことを繰り返していくと、だんだん「水着なんかじゃ興奮しねーよ」となります。
そこで、インターネットを検索すると、出るわ出るわ、性行為に及んでいる画像や映像がわんさか出ます。
ネットポルノは人間にとって刺激が強すぎます。
生身の相手のドーパミン量を5、水着のグラビアアイドル写真を10とすると、平気で50とか100とか超えてきます。
そんなのばっかり見てたら、ドーパミンが出まくってしまい、ドーパミンを受け取る役割を脳内で果たしている、ドーパミン受容体が壊れるのも当然です。
そして、2次元のイラストなどのフィクション(AVもフィクションですが)に手を出すと、もう終わりです。物理法則を無視した何でもありの世界ですから、もうドーパミン量が200とか300とかになります。
そんな強すぎる刺激に何年も、十数年もさらされ続けると、どうなるでしょうか?
毎日サルみたいに、スマホ片手に非現実のオカズでオナニーを続けていると、どうなるでしょうか?
答えは簡単、ドーパミン受容体が完全にいかれてしまい、「もはや日常生活がどうでもよくなり」ます。
卑近な例では、メディアで見るアイドルとか、同じクラスの女の子とか、あるいは電車で向かいに座っているお姉さんとかが、かわいく思えなくなります。
だって生身の人間を見て発するドーパミン量が5とかの一桁台なのに、家ではスマホ片手に200とか500とかのドーパミン量をドバドバ出しまくってるんですから。
ましてや、「空が晴れ渡っていてきれい」とか「新発売のパンがおいしい」とか、「家族のお使いで感謝された」とかの、微量なドーパミンは、もはや感じ取れなくなります。
ドーパミン受容体が、壊れてしまうのです。
ドーパミン受容体の崩壊
ドーパミン受容体は、あまりにも高容量のドーパミンを受け続けると、その数が減ってしまいます。これを「ダウンレギュレーション」と呼びます。
これが何を意味するかというと、自分自身で躁状態とうつ状態を繰り返す「躁うつ」を作り上げている、ということになります。
コカインやマリファナといった違法薬物の依存症者は、薬物をやっているときだけが快感で、他のあらゆる日常生活は灰色の世界にしか見えなくなります。
それと全く同じで、あまりにも高すぎる高ドーパミン刺激に日常的にさらされていると、その高い刺激が当たり前になってしまい、もはや日常生活は「うつ」にしか思えなくなります。
その結果、不眠・長引くうつ状態・不安障害・無気力・神経過敏・イライラ・攻撃性の亢進・食欲不振などの様々な症状が出ます。
問題は、この状態をしばしば別の精神疾患と間違えられてしまって、不必要な治療が行われてしまうことがある、ということです。
依存を断てばこの状態は収まるのだとしたら、そもそも依存によって引き起こされた状態、ということです。
そして、患者はしばしば自分が依存している、ということの認識に欠けることが多いですから、誤った治療が何か月も、下手したら何年も続く、という悲劇が起きるわけです。
(詳しくは、岡田尊司『インターネット・ゲーム依存症』をご覧ください)
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