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ミヒャエル・ハイドンの音楽(1)《セレナーデニ長調 P.87》

ミヒャエル・ハイドンの音楽(1)《セレナーデニ長調 P.87》

本シリーズでは、ミヒャエル・ハイドンの音楽を愛してやまない筆者が、知られざるミヒャエル・ハイドンの名曲を解説していきます。

1. ミヒャエル・ハイドンの人生 ヨハン・ミヒャエル・ハイドンは、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)の弟として、1737年9月17日にオーストリアのローラウで生まれた。兄と同じく古典派を代表する作曲家である。しかし、現在ではあまりに高名な兄の影に隠れ、その作

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古典派のコンチェルト・グロッソ

古典派のコンチェルト・グロッソ

1. コンチェルト・グロッソとは 「コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)」はバロック時代に使われた音楽の様式です。オーケストラは、独奏(ソロ)も担当する「コンチェルティーノ」と、総奏(トゥッティ)のみを担当する「リピエーノ」に分かれます。つまり、オーケストラの中にいるそれぞれのパートの代表者(首席奏者)が、時にはソロを弾いたり、他のパートの代表者たちと数人でアンサンブルをしたりするわけです。ソロ(

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オーケストラ、給与体系の歴史

オーケストラ、給与体系の歴史

 大学を卒業してから、お仕事で「首席奏者」を弾かせていただく機会が徐々に増えてきた。「首席」で弾くと「首席手当」がもらえる。すなわち、他の人よりもギャラが少し高い。確かに管楽器の首席奏者たちはソロが多く、弦楽器の首席奏者はボウイングを決めなければならず、或いは音楽のイニシアティブを取るために曲をより理解しなくてはいけないから、他の奏者よりも準備に時間がかかる。とはいえ、例えば同じ「1番オーボエ」で

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ウィーンフィル、コントラバス奏者の歴史

ウィーンフィル、コントラバス奏者の歴史

1.ウィーンフィルとは ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が世界最高峰のオーケストラだと聞いて、それを疑う人はいないだろう。歴史的な意味、音楽的な水準、そして現代のクラシック音楽界の存在感、どれをとっても第一級だ。
 ホームページの最初にはこう掲げられている。

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ほど、西洋音楽の歴史および伝統とこれほど深く結びついているオーケストラは他にないでしょう。

 その成

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