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BCSのデザイナーが学んだロゴ制作で見落としてはいけない6のこと

こんにちは、SEVEN DEXのデザイナーのさくです。
SEVENDEXではビジネス・クリエイティブ・スタジオ(通称BCS)に所属しており、最近ではロゴ制作の支援をさせていただく機会が増えました。

“戦略・設計から制作まで総合的に能力を持ち合わせるチーム”として、ロゴの制作フェーズというのはプロジェクトの終盤になってきます。

「戦略からどうロゴに繋げているの?」「意味や価値ってどうビジュアライズしているの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、そういった疑問を元に巷の書籍や記事であまり見ないけどBCSに限らず全てのロゴ制作において結構大事なことなんじゃないか…?と思うことをピックアップしてまとめてみましたので、ロゴ制作のヒントにしてみてください。


会社・サービスのフェーズを理解すること

ロゴを依頼される際、
「今のロゴがダサいからかっこよくしたい」
「まだロゴがないからつくりたい」
といった「なんでもいいからとりあえず作ってほしい」的なテンションだったりすることがあります。(依頼背景を整理されていることもたまにありますが、結構稀かなと思います)

しかし、ヒアリングを進めていくと

「創業初期はスタートアップのお客様が多かったが、だんだん大きい会社のお客様も相手にするようになってきた」
↓だから
「会社として信頼感のあるようなしっかりしたロゴにしたい」

「従業員が少ないからカルチャーに"うちらしさ"があったが、従業員が増えてきてカルチャーが理路整然としなくなってきた」
↓だから
「ロゴをつくってアイデンティティを確立したい」

といったようにロゴを変えたい理由や作りたい理由の多くは会社やサービスのフェーズと結びつくことがよくあります。

会社やサービスのフェーズを知ることで、

  • ロゴを作りたい理由 / 変えたい理由

  • 会社やサービスをどう見せたいか、見られたいか

がより正しく捉えられようになるのではないかと思います。

ロゴは会社やサービスがとりたい未来のポジションに導いてあげる手助けとなるべきです。
そんなロゴをつくるためには、現状の会社のフェーズを理解し、どのような戦略で市場をとりにいくのか理解しているとロゴのゴールが見えてくるのではないでしょうか。

デザイナーフィルターを一度外すこと

「ロゴはシンプルで美しくあるのが正解」とデザイナーのエゴ的な考えから始めず「その会社・サービスにとってどうあるべきか」と真正面から向き合うことが大切です。

そう考えると、必然的に戦略の理解が必要になります。

「戦略からどうロゴに繋げているの?」とよく聞かれるのですが、私はむしろ戦略から考えないとロゴがつくれないな、と思います。

前述の通り、会社やサービスのフェーズはもちろんのこと、会社の歴史、理念、ビジョン、さらには経営者の熱い想いや人生そのものなど膨大な情報量を、ビジュアルとしてちっちゃいファイルに濃縮させなければなりません。

膨大な情報量の奥深くにあるアイデンティティの核を表出させるために、余計なこうあるべき論やフィルターは一旦置いておいて、経営者や事業責任者の方と同じ目線で対話をすることを心掛けています。

シャレを利かせること

カタチをつくるとき、わかりやすいシャレが利いているかというのはよく意識しています。

シャレ(洒落)とは本来

1.  その場に興を添えるために言う、気のきいた文句。ある文句をもじったり、同音や似た音の言葉に掛けて言ったりする。
2. 戯れにすること。冗談事。
3. 気のきいた身なりをすること。華やかに装うこと。
4. 今風で、あかぬけていること。

デジタル大辞泉(小学館)

といった意味がありますが、1に近いニュアンスで使っています。語呂合わせ、言葉遊びのような発想をロゴに持ち込んでいるイメージです。
"シャレを利かせる"の言葉をロゴ制作において正しく言い換えると、"想起性のあるモチーフをつくる"といったところでしょうか。

「シャレをつくりな」と先輩デザイナーにアドバイスもらったときは「なんのこっちゃ??」と思いましたが、以下の参考を元に説明してもらってからは「いいロゴはシャレが効いてるものが多い」という発見がありました。


ムヒのロゴマーク

例えば、ムヒのロゴマークは「m」の出っ張りがクリームに見えたり

VAIOのロゴ

VAIOのロゴはバイナリーコードの「1」と「0」でデジタルを表現していたり

ロゴをまじまじと見るのは業界人か変人くらいで、実際に世の中の大半の目にロゴが映るのは一瞬だったり、視界の外側になんとなく存在しているものだと思います。

企業理念や想いを込めつつ、ビジュアライズする際はこんな感じで誰が見てもパッと見で「あ〜、ね」って思えるような取っ掛かりをつくることを意識しています。

愛嬌が出るまで磨き上げること

綺麗なカタチができた時、カタチとして綺麗すぎて可愛げがない…みたいなことがよくあります。
コンセプトと造形が繋がっていてきたら形にすることで終わらさず、魅力を盛って磨き上げていく作業に入っていきます。

「磨き上げ方わからない…」となった場合はまず、参考を分析してみるといいかと思います。これまで集めてきた参考の「気持ちのいい部分」「好きな部分」を言語化してみてください。

こんな感じでざっくり

参考の添付画像の言語化はめっちゃざっくりではあるのですが、言語化してみようとすると観察する目が鍛えられ「それぞれどこが愛嬌なのか」が見えてきます。

私は一定のカタチができてきて「ここからどう磨いたらいいかわからない…!」迷走した時によくこの作業を挟みます。

オーディション番組でなぜか輝く子をつくるようなイメージで、愛嬌をつくりロゴを磨き上げていきましょう。

もっと軽い気持ちを持つこと

ビジュアルって不思議なもので、制作者のテンションが伝わってしまいます。

チームで戦略から練り上げてきて、自分がリレーのアンカーみたいな感じでロゴを制作する時、めちゃくちゃ重いカルマが自分にのしかかったような感覚になります。押しつぶされそうなテンションで先輩やチームにロゴを共有したら、楽しくないし良いものも出てきません。

思い詰めて画面に引っ付きながら制作したロゴを先輩デザイナーに見せたら
「自分で "イイ" と思ってないよね?」
ってバレてしまうようなことがありました。

その時の私のは「全然いいものができない…せめて真面目に働かなくちゃ」と夜遅くまで画面に向かって真面目にロゴをつくることをしていました。(熱中とは違う、ポーズのような感じになってしまっていた)

そうなったら負のループです。

行き詰まった時こそ、もっと軽く、楽しんでロゴと向き合った方がいいです。その方がアイディアも広がるし、自分のつくったものに愛着が湧いて「これよくない??」って自信を持って提案できると実感しました。

俯瞰して確認すること

急に言わずもがなすぎるって思ったそこのあなた。
私も思います。
でもめちゃくちゃ大事であり意外と抜けがちなので、自戒を込めて記載させてください。

俯瞰するためには3つの方法をとっています。

1. 他ロゴと並べる
2. 印刷する
3. プロジェクト外の人に見せる

1. 他ロゴと並べる
制作したロゴを中心に置き、周りに競合や参考にしたロゴを並べて水準を超えているかを確認します。

2. 印刷する
A4用紙の中心にロゴを印刷し、遠くから眺めて違和感がないかを確認します。ロゴタイプがある場合は逆さまにして変なアキができてないかも確認します。

3. プロジェクト外の人に見せる
どれだけ企業理念や想いなどをロゴに込めても、パッと見で想定のリアクションが得られない場合はそのロゴは"違う"のだと思います。

おわりに|作業者にならないために

"ロゴ" というアウトプットが明確なものだからこそ戦略を理解していないと「もっとこうしてほしい」といった指示を鵜呑みにするただの作業者になってしまいます。

プロのデザイナーとして一般論だけではなくデザイナーだからこそ見える視点で「その戦略ならこういう魅せ方をするべきだ」と提案していかなければなりません。

今回はそのような提案ができるようになるための、あまり世で語られていない部分である「戦略からの考え方」「ロゴの磨き方」といった観点で語ってみました。
みなさんのロゴ制作のヒントになれたら幸いです!


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